世界中の小中高校生と日本の子どもたちが、インターネットと英語を駆使し、巨大壁画制作を通じて国際協働学習を行うアートマイル国際交流壁画共同制作プロジェクト。これまでに世界57の国と地域から860校28,780名の子どもたちが参加してきたこの壮大なプロジェクトの発起人、ジャパン・アートマイルの代表である塩飽隆子さんにグローバルな視野をもって自ら考え行動する次世代を育てるアートマイル・プロジェクトについて詳しくお話をお伺いいたしました。
地球自然保護や世界平和に多大な功労があった人に贈られる「アースデー・アワード」をNY国連本部にて日本人で初めて受賞された塩飽さん。どのようなご活動をされていらっしゃいますか?
子どもたちが世界と出会い、世界の子どもたちと友だちになって一枚の壁画(1.5m×3.6m の大型絵画)を共同制作する「アートマイル国際交流壁画共同制作プロジェクト(International Intercultural Mural Exchange)」(略、アートマイル)を国際協働学習のツールとして開発し、2006年度より兵庫県赤穂市に事務所を置いて、国内外でプロジェクトを推進しています。
アートマイルは、グローバルな21世紀を生き抜く力を学校の教育現場で育てる学習プログラムとして全国の小中高校で取り組まれています。最近では大学の教員養成の学部でも取り組まれるようになりました。アートマイルは、小学校の図画工作の教科書、中学校の美術の教科書にも掲載されているんですよ。
アートマイルには2014年度までに世界57の国と地域から860校28,780名の子どもたちが参加しています。
ずいぶん多くの国から参加があると思われるでしょう。これは、私たちジャパン・アートマイル(略、JAM)が複数のグローバルネットワークを持っていることに加えて、公的な機関からの支援があるお陰だと思っています。日本では文部科学省と外務省から後援をいただき、途上国ではJICA(国際協力機構)が協力してくださっています。
また、2014年度にはユネスコからESD(Education for Sustainable Development)の奨励プログラムとして位置付けられました。
私たちJAMは、日本の子どもたち・各国の子どもたちが、アートマイルを通じて、世界で起きていることに興味関心を持ち、世界に開かれた広い視野で自分の生き方を考え、世界の人々と協働して平和で持続可能な未来を創る人になって欲しいと願って活動しています。
なぜ、アートマイルに取り組むことになったのですか?
アートマイルには、母体となるArt Miles Mural Projectというプロジェクトがあります。
それは、1990年代に国連職員としてボスニア・ヘルツェゴビナの内紛で戦争孤児となった子どもたちを支援する仕事に従事していた米国人女性ジョアン・タウフィリス(Joanne Tawfilis)さんが、親も親戚も殺された悲惨な状況にある子どもたちが仲間と一緒に絵を描くことによって笑顔と言葉を取り戻した経験を経て、「世界平和のメッセージを込めた絵をみんなで集まって描いて平和への想いを共有し、作品を展示することで平和のメッセージを世界の人々に伝えましょう!」と呼びかけて、1997年に始めたプロジェクトです。
2001年にはユネスコの「平和の文化の10年」のプロジェクトとして認定され、これまでに125カ国から50万人が参加している世界規模のプロジェクトです。