佐藤久美子 教授[専門家インタビュー]幼少期から育む英語力、成功のカギは日本語力を伸ばすことにあった!? | Glolea![グローリア]

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[専門家インタビュー]幼少期から育む英語力、成功のカギは日本語力を伸ばすことにあった!?

佐藤久美子 先生(Kumiko Sato)
言語学者・玉川大学大学院教育学研究科 教授・NHK「えいごであそぼ」総合指導
佐藤久美子 先生(Kumiko Sato)
津田塾大学大学院文学研究科博士課程修了。ロンドン大学大学院博士課程留学。玉川大学文学部、リベラルアーツ学部教授、リベラルアーツ学部長、玉川大学脳科学研究所言語情報研究センター主任を経て現職。乳幼児の言語獲得・発達研究に従事し、その科学的成果に基づく英語教育を提案している。1998~2001年度NHKラジオ「基礎英語3」、2012年度「基礎英語2」、2013〜2015年度「基礎英語3」講師をつとめる。2012年度よりNHK Eテレ「えいごであそぼ」の総合指導もつとめる。2007年度より町田市教育委員会の委託を受け42校にカリキュラム配信など、小学校英語研修講師、講演多数。小学校英語指導者認定協議会理事。

子どもたちに人気のNHK番組「えいごであそぼ」。子どもに「英語が話せるようになって、世界に目を向けてほしい!」と願っているママであれば、一度はご覧になったことがあると思います。この「えいごであそぼ」の総合指導を担当されている佐藤久美子先生は、心理言語学や応用言語学、英語教育がご専門で、幼稚園や小学校向けの英語学習カリキュラムも作成・監修されており、子ども向けの英語教育の第一人者としてご活躍されています。その佐藤先生に、乳幼児の言語獲得のプロセスや効果的な英語教育の方法、日常生活で楽しく親子英語を始めるコツなど、子育て中のママがぜひ知っておきたい情報をお伺いしました。 

赤ちゃんの音の獲得はお母さんのお腹の中にいる時からスタートする!?

−−今、お子様の英語を幼少期からはじめる親御さんが増えています。子ども達が言葉を獲得していくプロセスや、脳の発達との関係についてお聞かせください

佐藤久美子 教授(以下敬称略):
日本で育つ子どもに英語を教えようと考えた時に、赤ちゃんが生まれてから少しずつ音を獲得し、言葉を習得していく過程についての知識があると、とても役に立ちます。

 

まずはそのことからお伝えしようと思います。

赤ちゃんが言語(日本語・英語)を獲得していくプロセスについて語る玉川大学 佐藤久美子 教授

実は、赤ちゃんの音の獲得はお母さんのお腹の中にいる時からスタートしています。

 

明確な母音や子音までは聞こえませんが、プールの中にいながら音を聞くような感覚で、お母さんの声の高さや速さ、リズムなどをちゃんと聞いているんですね。

 

ですから、生後2〜3日の赤ちゃんでも、お母さんの声とそれ以外の人の声、日本語と英語などの区別はできると言われています。

 

赤ちゃんはその後、お父さんやお母さんなど身近な人にかけてもらう声を聞きながら、母語の意味の区別に必要な音を理解していきます。

1歳頃には「母語」理解に必要な音を獲得するってホント?

例えば、日本語であれば「ダンプ」の「ダ」とランプの「ラ」は聞き分けが難しい音ですが、きちんと聞き分けないと意味が通じないですよね。こういった音の違いを聞き分けられるようになっていき、1歳になる頃には、母語を理解していく上で必要な音を獲得し終えます

「L」と「R」の発音は赤ちゃんのどの時期から判別できなくなるか語る玉川大学 佐藤久美子 教授

「L」と「R」の聞き分けが難しくなるのは
赤ちゃんが必要な音を聞き分けていく過程の“Less is more”にあった!

よく日本人は英語の「L」と「R」の聞き分けが難しいと言われていますが、日本人の赤ちゃんもアメリカ人の赤ちゃんも、生後5ヶ月くらいまでは「L」も「R」も同じように聞こえています

 

でも日本人の赤ちゃんの場合、「L」と「R」が聞き分けられなくても、日本語での意味の分別には関係がないですよね。ですから、生後7ヶ月頃からだんだん英語圏の赤ちゃんと日本人の赤ちゃんの聞き分けに差が出てきます。日本人の赤ちゃんは聞き取りができません。

 

これは“Less is more”と言われるのですが、聞き取れる音が少ない方が早く学習ができるわけですよね。そうしてだんだん言葉の意味を理解することができるようになっていきます。

言語を獲得していくためには、言葉の「反復」が大切

−−子ども達が言葉を覚えていく過程でママができること、言語習得に重要な役割はありますか?

赤ちゃんの言語習得(日本語・英語)にママがはたす役割について語る 玉川大学 佐藤久美子 教授

佐藤:赤ちゃんは5〜6ヶ月くらいになると、「あーあー」といった喃語を話すようになりますね。この時、お母さんが「あーあー」と同じ言葉を反復してあげることがとても大切です。

 

赤ちゃんは、自分が発した言葉を反復してもらうことで、「お母さんに理解してもらって嬉しい!」と感じます。これは赤ちゃんにとってかけがえのないインタラクションであり、コミュニケーションの第一歩となります。

 

この積み重ねをしていくことで、赤ちゃんも少しずつお母さんの言葉を真似してアウトプットを出し、言葉を反復できるようになります。

 

この反復というのは

  • 音の配列に関する知識
  • ワーキングメモリー(短期記憶)

という2つの要素が重なって成り立ちます。

赤ちゃんは自分で言葉を繰り返しながら音の配列を長期記憶に貯めていく

赤ちゃんが言葉を意味を持った言語として獲得していくプロセスについて語る 玉川大学 佐藤久美子 教授

初めて聞いた言葉を自分で繰り返すことができるというのは、音の配列に関する知識が長期記憶の中にたくさん貯まっているということですね

 

それは、赤ちゃんの時からお母さんがいっぱい話しかけて、日本語の音を教えてあげてきたということです。

 

そして言葉を繰り返す力というのは、聞いた言葉を瞬時に暗記して言葉として出すという、ワーキングメモリー(短期記憶)です。ワーキングメモリーは、お子さんがアウトプットの機会をたくさん与えてもらい、練習を積み重ねることで鍛えられていきます。ここでも、お母さんとのコミュニケーションがとても大切になってきます

 

このように、まずは言葉をインプットして音を与えること、そしてコミュニケーションを通して音の反復を促し、言葉をアウトプットとして出せるようにしてあげること。言語の習得には、このプロセスが大事になってきます。

子どもの英語力と日本語力の相関とは

佐藤:音をたくさん反復することが言語の習得につながるとお伝えしましたが、これは日本語だけではなく、英語の習得に関しても同じことが言えます。

 

3歳〜6歳の子どもたち約200名を対象に実施した調査で、「日本語の語彙力が高い子どもは、日本語の反復が上手にでき、さらに英語の反復も上手にできる」ということが分かったのです。

子供の日本語の語彙力が英語力にも関係してくるという調査結果について語る 玉川大学 佐藤久美子教授

まずは日本語でコミュニケーション能力を高めて、 英語学習の土台作りを

子どもに英語を身に付けてもらうためにはどうすればいいですか?

と、子どもの英語教育に熱心なママからよく質問をうけるのですが、私はまず、

日本語でのコミュニケーションを大切にして、言語習得の土台となる「コミュニケーション能力」を引き出し、高めてあげることが大切

だとお答えしています。

 

コミュニケーション能力というのは、日本語も英語も関係ない力ですよね。これをまずしっかりと育んであげれば、英語を始めようかな? と思った時に、ちゃんとその準備ができているということになります。

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