坪谷 ニュウエル 郁子さん[前編]脱ガラパゴス教育! 世界で生きる力を育む『国際バカロレア(IB)』と教育の未来 | Glolea![グローリア]

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[前編]脱ガラパゴス教育! 世界で生きる力を育む『国際バカロレア(IB)』と教育の未来

坪谷 ニュウエル 郁子さん(Ikuko Newell Tsuboya)
国際バカロレア機構アジア太平洋地区委員、東京インターナショナルスクール代表
坪谷 ニュウエル 郁子さん(Ikuko Newell Tsuboya)
西イリノイ大学修了、早稲田大学卒。1995年「東京インターナショナルスクール」設立。 2012年、国際バカロレア機構アジア太平洋地区の委員に就任。 文部科学省とともに、国際バカロレアの普及に取り組んでいる。 2013年には住友商事(株)と合同でグローバル人材研究所を設立。国際バカロレアのメソッドを取り入れた探究型カリキュラムを使用し、英語を母国語としない子どもたちの教育にも力を入れている。 著書『英語のできる子どもを育てる』(講談社)『世界で生きるチカラ-国際バカロレアが子どもたちを強くする-』(ダイヤモンド社)など。

文部科学省が2018年までに200校まで認定校を増やすと明記したことで大きく注目が集まっている国際的な教育プログラム「国際バカロレア(IB:International Baccalaureate)」。国際的に通用する大学入学資格(国際バカロレア資格)が与えられる世界共通の教育プログラム導入が日本でも進められています。今回は、国際バカロレア機構アジア太平洋地区委員であり、東京インターナショナルスクール代表の坪谷ニュウエル郁子さんに、インターナショナルスクール開校の経緯、国際バカロレアとの出会い、国際バカロレア(IB)スクールで学んだ坪谷さんのお嬢様達のお話などをお伺いました。

子ども達に提供したいのは
I am special! you are special!という人間教育 – 坪谷 ニュウエル 郁子

 

−−国際バカロレア(IB)機構のアジア太平洋地区委員として、日本におけるグローバル教育改革の最前線にいる坪谷 ニュウエル 郁子 さんさん。そもそも坪谷さんが、「教育」と関わることになったきっかけは、何だったのですか?

 

坪谷 ニュウエル 郁子 さん(以下敬称略):「イングリッシュスタジオ」という英語塾を作ったのが、その始まりです。

 

私は、日本の高校を卒業後、アメリカの大学で学び、1985年に帰国しました。帰国後、初めて就いたのは、通訳専門学校の講師の仕事でした。でも、すぐに、勤め先の経営方針に疑問を抱いて、自分で英語塾を始めようと思い立ったんです。

 

お寺の境内にある、大正時代に建てられた小さな洋館に引っ越し、自分でペンキ塗りをして「イングリッシュスタジオ」という看板を掲げました。寺子屋というネーミングの方がしっくりくる、子どもたちが通う、小さな小さな英語塾です。

 

そこで、私が子どもたちに提供したかったのは、語学教育ではなく、英語を通して学ぶ

I am special! you are special!

という人間教育でした。

私が世の中に存在しているのは、すべての「YOU」があるからだ

ということ。空気、水、植物、宇宙、家族、お友だち、ご近所さん、そして他の国の人々。そういった全ての「YOU」があるから、自分が存在しているということを子どもたちに教えたかったのです。

 

カリキュラムは、世界各国の様々な教育法を研究した上で、鉛筆なめなめ私が、自ら作り上げたものです。当時はバブル絶頂期だったこともあり、生徒の数はどんどん増えて、6年間で都内に3つの寺小屋と1000名の生徒を抱えるようになりました。

自分の娘達のための幼稚園をつくることが
インターナショナル・プリスクール開校のきっかけとなりました

▲坪谷さんが手がけられてきたスクールの変遷や歴史を感じる写真の数々

 −−「イングリッシュスタジオ」という英語塾にはじまり、その後、「チルドレンハウス」というインターナショナル・プリスクール(幼稚園)を開校する坪谷 ニュウエル 郁子 さん。そこには、どんな経緯があったのですか?

 

坪谷:端的に言うと、自分の子どものために自分で幼稚園を作ったのです。

 

英語塾とはいえ、人間教育に踏み込んだカリキュラム作りをしていたこともあって、自分の子どもに受けさせたい教育が明確でした。

 

時間や環境、保育料などの条件について、20校以上の幼稚園やインターナショナル・プリスクールを見学したのですが、教育者の友人と一緒に見学に回っていて、疲れたので休憩をしている時に、いっそのこと自分で作ってしまおうということになったのです。

 

世界どこにいても継続して学習が続けられる世界標準の教育「国際バカロレア(IB)」との出会い

 

−−幼稚園の創設にはじまり、娘さんたちの成長に準じて、小学校・中学校まで作ってしまった坪谷 ニュウエル 郁子 さん。それが今の「東京インターナショナルスクール」になるわけですね。

 

坪谷:そうなんです。今年度は、51カ国から320名の小中学生が通学しております。そして、東京インターナショナルスクールを通じて出会ったのが「国際バカロレア(IB)」です。

 

小学校を開校した所、多数の保護者は日本での滞在期間が平均して3、4年の駐在員の皆さんでした。それを鑑みると、次の赴任国がどこであろうと、継続して学習が続けられる世界標準の教育を柱にすることがとても重要でした。そこで出会ったのが 「国際バカロレア(IB)」でした。

 

▲子ども達が毎日登る階段には素敵なメッセージが込められた標語が書かれていました

▲東京インターナショナルスクールの階段には素敵なメッセージが込められた標語が書かれていました

 

−−学校創設の1年後に、初等教育プログラム(PYP)を導入。その6年後に、中等教育プログラム(MYP)を導入し、長きに渡って国際バカロレア(IB)認定校として学校を運営。その実績がかわれて、国際バカロレア(IB)委員としての現在のご活躍があるのですね。

 

坪谷:今、文部科学省と進めているのは、2018年までに、国際バカロレア(IB)認定高校を200校に増やす計画です。

 

ただ委員という立場を離れ、私個人の意見を言わせてもらえるなら、日本中のすべての学校が国際バカロレア(IB)スクールになる必要はないと思っています。

 

たとえばモンテッソーリ、シュタイナー、イエナプラン、ピースフル、サドベリー、そして国際バカロレア(IB)。それぞれの「特長を持った学校」が、街に複数あることが理想だと思います。そして、それら複数の選択肢の中から、家庭の状況や、子どもの性格に合せて、選べるようになれば良いのではないでしょうか。

 

たとえば

うちは自営業で、子どもをあまり構えないから、モンテッソーリで自立心を育てよう

とか、

うちは小学校で不登校だったから、中学は自発性を根気強く見守ってくれるサドベリーにしよう

とか言った具合です。

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