浦脇香織さん – フリーランスライター Vol.19
「“様々な言葉や文化を持つ人たちと一緒に生きていく”という感覚を感じられる機会を子ども達と共に作っていきたい」 − 浦脇香織
Global+Learning=Glolea![グローリア]。世界とポジティブにつながる今と未来のためにお子様とともに学び続ける、素敵なGlolea!なママにフォーカスするインタビュー。今回は、フリーランスライターとしてご活躍のGlolea!なママ 浦脇香織 さんにお話をお伺いしました。
愛媛県出身、横浜市在住。中学生の時、市の海外派遣事業でアメリカでのホームステイを経験。外国語大学に進学し、アメリカのリベラルアーツ4年制大学に編入学、卒業後は日本語メディア会社でのインターンシップを経験。帰国後は大学院で国際関係学を学び、ベトナムのストリートチルドレン支援に関する研究を行う。海外ボランティア情報誌の編集、就職情報会社での留学経験者向けキャリアアドバイザーを経て、外資系コンサルティング会社の採用人事に。2012年に双子の女の子を出産し、幼稚園入園を機にフリーランスライターとして独立。長女3歳/次女3歳
世界には様々な国、文化、言葉があるのだということが感覚的に伝わると良いなと思いながら子育てをしています
−− 浦脇香織 さん流のGlolea!な生き方、子育てスタイル(=世界とポジティブにつながり子どもと共に学び合う子育てスタイル)や、想いがあれば教えてください浦脇香織 さん(以下敬称略):
私は英語が大好きで、これまでたくさんの国を訪れて、世界中に多くの友人ができました。
外国文化に触れることは新鮮でしたし、新たな発見の連続はとても刺激的で、自分を見つめ直す機会にもつながりました。それがいかに素晴らしいものなのか、自分の子どもたちにも世界の楽しさを伝えたい。
でもその一方で、外国語や外国文化に触れることを「特別」だとは思ってほしくないのです。
私たちが日本文化の中で暮らし、日本語を話し、日本食を食べる。他の国に住む人たちにとっても、それとまったく同じ「普通の日常」がある。子どもたちには、そんな感覚を持ってもらえたら嬉しいなと思っています。
子どもたちと一緒に外国文化に触れた直接的な経験は、今のところありません。でも、無理のない範囲で日常生活の中に英語を取り入れるようにしています。
日本のテレビ番組を見るように、英語のDVDを見る。子どもたちが興味を持ったものの英語での呼び方を教えてあげる。地球儀を見ながら
ここは中国っていう国で、パンダさんがいるんだよ
といったことを話すなど、世界にはいろいろな国、文化、言葉があるのだということが感覚的に伝わると良いなと思いながら子育てをしています。
生活の中で「親子英語」を楽しんでいます!
−−お子様の語学力アップや、異文化コミュニケーション力UPのために浦脇さんがされていることはありますか
浦脇:朝起きてから幼稚園に行くまでの時間は、無理のない範囲で英語を取り入れるようにしています。娘が
Good Morning!
と言って起きてきた時には私も
Good Morning!
と言ってハグをしたり(日本語で「おはよう!」と言ってきた時は、私も日本語で返します)。
朝食の時間に
What do you want to drink? Milk? Apple juice? Orange juice?
と欲しい飲み物を聞いてみたり。最近は、娘たちも
Apple juice, please!
と英語で返事をするようになりました。
NHKの幼児向け番組を見る日もあれば、BenesseのWorldwide Kidsを受講しているので、そのDVDを見ながら身支度をすることもあります。
夜寝る前の絵本の時間には、日本語も英語もいろいろな絵本を読みます。最後は手遊びをつけた英語の歌を一緒に歌ってからふとんに入ることが多いです。
テレビのそばに地球儀を置いているので、外国が出てきた時には一緒に地球儀を見るようにもしています。
私自身の英語力キープは、今のところ課題です。
子どもたちが幼稚園に行っている間、気が向けばBBC Newsのアプリでライブニュースをかけ流しています。本当はもっとリーディングにも力を入れて、英語で情報を得ていくことも習慣にしたいので、もう少し子育てが落ち着いたら英語の雑誌を読んだりしたいなと考えています。
英語は教室で行うものでなく「生活」を通して身につけて欲しい。米軍基地内国内ショートステイに注目しています。
−−Glolea!なママである、浦脇香織さんが最近注目しているサービスはありますか?
浦脇:米軍基地内で行われている、ファミリー単位で交流する形の英会話スクールに興味があります。
半日〜1日のショートステイを通して、一緒に料理などを楽しみながら英語で交流することができたり、子どもがいる家庭であれば子どもたちも一緒に遊んだりできるようです。
子どもたちには、できれば英会話は「教室で行うレッスン」ではなく、「生活」を通して身に付けてほしいなと考えています。
近い将来に、そういった経験を子どもたちと一緒にできれば嬉しいですし、私自身もお互いの育児の話を気軽にできるような友達作りにつながればいいなと思います。
自分自身の英語力キープ&ブラッシュアップをはかるために英語で発信される情報にもっと触れたいです
−−浦脇さんが今、チャレンジしていることもしくは、これからトライしてみたいことはありますか?
浦脇:語学力アップのところでも触れましたが、私自身の英語力キープ&ブラッシュアップも兼ねて、もっと英語で発信される情報に触れていきたいなと思っています。外国の育児雑誌を読んだり、子育てに関する本を読んだり、ニュースを見たり。
言葉と思考、そこからつながるアクションはとても関連性が深いと思うので、英語を通して得る情報には今までになかった考え方や気付きがあり、子育てにしてみても、そこから違った向き合い方ができるかな? と考えています。
開発途上国の子ども達の里親にいつかチャレンジしてみたいと思っています
浦脇:まだ先の話になると思いますが、子どもたちがいろいろと分かるようになったら、開発途上国の子どもの「里親」をしてみたいなと思っています。
月額や年額で決まった金額を援助することで、里子となる子どもの生活や進学をサポートするというもので、支援団体によってさまざまなプランがありますが、お手紙等で交流することができるものもあります。
私はアメリカにある大学に留学していたことがあるのですが、渡米直後に9.11の同時多発テロが発生しました。
中西部の田舎町にいた留学生にとって、その後の外国人への風当たりはとてもきつく、差別を受けることもありましたし、逆に暖かくサポートしてもらったこともありました。
同じように留学生として学んでいたさまざまな国からの友人たちと、本音で語り助け合うことも多かったです。
「様々な事情を乗り越えて、人としてつながることができないか」と考え国際関係学を専攻した大学院時代
私は
国によって政治的・経済的ないろいろな事情を抱えているけれど、そういったものを乗り越えて人としてつながることはできないか −−
ということを、留学生活の中で絶えず考えていました。
その想いから、帰国後は日本の大学院で国際関係学を専攻し、主に開発途上国の平和構築や人権問題について学びました。
在学中は中国、カンボジア、ラオス、ベトナム、インドといった国を実際に訪れて、それぞれの社会で子どもたちが抱える問題を目の当たりにしてきました。
今を必死に生きる人々のキラキラとした笑顔や頑張る姿に心打たれたインド・ベトナムでの日々
ゼミの研修旅行で行ったインドは特に印象的で、復興が進まない南部の津波被災地で子どもたちと一緒に過ごしたほか、マザーテレサの「死を待つ人の家」でボランティア活動も行いました。
さまざまな問題を抱え、今を生きようと必死に前を向く人たちの中にも、キラキラとした笑顔がありました。
現地の人たちが普段食べているものと同じカレーをごちそうしてもらった時には、日本のインド料理屋で食べていた「インドカレー」とは全く違った美味しさがありましたし、見るものひとつひとつが新鮮で、今も思い出深い旅のひとつです。
修士論文ではベトナムのストリートチルドレン支援政策を取り上げ、実際に現地でもストリートチルドレン保護施設や自立支援組織の活動を見てきました。
そこで、日本やフランスなど諸外国が現地NGOとして入り、地道な支援活動を続ける姿に非常に考えさせられました。
さまざまな事情で親と一緒に暮らせない子どもたちが寮生活をしていたのですが、一見するとみんなで楽しく集団生活を送っているように感じました。
それは運営するNGOのスタッフのみなさまの努力のおかげだと思うのですが、一方で非行に走ってしまう子も少なくないなど、やはり家庭の温かさを知らないからこその問題も多く抱えていました。
それでも近い将来に自立できるように、必死で勉強をがんばったり、手に職をつけようと訓練を受ける姿に心を打たれました。
娘達には“世界の子ども達と共に成長していく感覚”を持ってもらえたらと思っています
子どもたちと一緒に里親をしてみたい理由は
世界にはいろいろな事情を抱えた国があり、どこの場所でも同じように子どもたちが暮らしているのだ
ということを伝えたいから。
私たちは当たり前のようにごはんをお腹いっぱいになるまで食べて、幼稚園に通って、週末になればレジャーやショッピングに出かけるけれども、それが当たり前ではない子どもたちもたくさんいる。
そして何より、私たちはそれでもお互いに支え合いながら生きているのだということを知ってほしいから。貧しくて学校に行けず、食べるものも満足に得られないネパールの子どもがたくさんいる。
でもママである私は、アメリカ留学時代、そのネパールからやってきた学生にとても勇気づけられ、支えてもらった経験があるのです。そういうことを肌で感じて欲しい。
遠く離れているから会うことはできないけれど、それでもできることはある、と考えるきっかけにしてもらいたいです。そして文通等の交流ができるのであれば、一緒に成長していく感覚を持ってもらえたら嬉しい。
家族で話し合って、責任を持って引き受けなければならないことだと思うのでまったくの未定ですが、いつかチャレンジしてみたいなと思っています。
子ども達には楽しんで世界を広げてもらえたら嬉しいです
−−今後、お子様と共に世界とどのようにポジティブにつながっていきたいですか? お子様との将来の夢などお聞かせください。
浦脇:まずは日本での生活の中でできることを一緒に見つけながら、さまざまな言葉や文化を持つ人たちと一緒に生きていく、ということを感じてもらえたら嬉しいです。
私自身は、前述したように「国際協力」という形でのつながりに興味を持っていますが、子どもたちが音楽やスポーツなど趣味が見つかるのであれば、そういった切り口でもいいと思います。とにかく楽しんで世界を広げて欲しいです。そして日本人である自分の人生を、せいいっぱい楽しんで欲しい!
ささやかな夢としては、まずは日本にある外国料理のレストランを一緒に食べ歩きたいです。そして一緒に海外旅行やショートステイなども楽しめるようになったら嬉しいです。
英語も世界とポジティブにつながる感覚も…ママが自然体で楽しめていることが一番のメッセージになると信じて
−−Glolea![グローリア]読者のママ達へのメッセージをおねがいします。
浦脇:子どもたちと一緒に世界とつながっていくことについて、インタビューの機会をいただいたのでいろいろと考えてみましたが、実際の生活でできていることは理想の30%くらいです(笑)。
想いはたくさんあります。でも、やっぱり日々の子どもたちとの生活に一生懸命で、子育てに“追われているな”と感じる時間のほうが長かったりします。
でも、私はそれでもいいのかな?と思います。無理なく、自然に。
英語を取り入れていくことも、世界に触れていくことも、まずはできる範囲でママが自然体で楽しめていることが、子どもたちにとっても一番のメッセージになるかなと思います。
我が家は娘たちが2歳を過ぎたころから意識して英語をスタートして、ゆるゆるとおうち英語をやっているくらいの楽しみ方ですが、それでも子どもたちが眠たい目をこすりながら「Good morning!」と言って起きてくる、そんなささいなことが幸せです。