長森真希さん – (株)キャリーオン代表取締役/日英バイリンガルMC・アナウンサー・通訳 Vol.22
「私自身も世界に視野を広げながらも、息子には“世界へ飛び立つ翼”と“生きる力”を持たせてあげたいと様々な工夫をしています」 − 長森真希
Global+Learning=Glolea![グローリア]。世界とポジティブにつながる今と未来のためにお子様とともに学び続ける、素敵なGlolea!なママにフォーカスするインタビュー。今回は、国内最大規模の子供服リユースプラットフォーム「キャリーオン」を運営する株式会社キャリーオン代表取締役であり、日英バイリンガルMC/アナウンサー・通訳としても活躍されていたGlolea!なママ 長森真希 さんにお話をお伺いしました。
Profile: 長森真希 (Maki RUI Nagamori)さん
東京都出身。慶應義塾大学卒業後、海運世界最大手Maersk Line入社。コペンハーゲンでの幹部養成プログラムMISEメンバーに選抜され、グローバルマーケットでの貿易業務に従事。その後フリーランスの日英バイリンガルMC/アナウンサー・通訳として主に国際会議やスポーツ国際大会、海外トレードショー等で活躍。RUIは尊敬する曽祖母の名前をもらったこの頃の芸名が定着したもの。2013年株式会社キャリーオンを設立。国内最大規模の子供服リユースプラットフォーム「キャリーオン」を運営し、これまでに累計5万件以上の子供服取引に携わる起業家。長男7歳。
帰国子女でなく長期海外留学経験もない私がバイリンガルMC・通訳になるほど語学力をUpできた理由は…母の先見の明にあり!
−− 長森真希 さん流のGlolea!な生き方、子育てスタイル(=世界とポジティブにつながり子供と共に学び合う子育てスタイル)や、想いがあれば教えてください
長森真希 さん(以下敬称略):
現在、国内最大規模の子供服リユースプラットフォーム「キャリーオン」代表として活動している私ですが、これまでプロの日英バイリンガルMC/アナウンサー・通訳としてのお仕事もしてまいりました。
英語を扱う仕事柄「帰国子女ですか?」と聞かれることもあるのですが、私自身は帰国子女でもなければ長期の留学経験もなく、そのわりには特に苦労することもなく、ごく自然に仕事になるほどの高い英語力を習得していました。
そのため、自分のことは「純国産バイリンガル」だと思っています。
特に、英語が話せるようになることに対して、必死になって努力したという覚えがないのですが、なぜ苦労せずに英語力・国際コミュニケーション力を上げることができたかというと、これはひとえに母の教育先見の明のおかげなのではないかと思っています。
効果あり!「海外サマースクール」&「英語の先取り学習」
ではどのように語学力を伸ばしてきたかというと、
1. いわゆる教科書英語は5年生から家庭教師につき常に先取りする
2. 中高時代を通じて毎夏をイギリスのサマースクールで過ごす
この2点だけです。
このような教育環境においてくれた親には本当に感謝しています。
たったこれだけで私自身は、長期留学もせず、閣僚級晩餐会のMCも任せていただけるレベルのバイリンガルになることができました。
自身の成功体験から子育てに“海外サマースクール”を活用中!
強いて言えば、2番目の「 中高時代を通じて毎夏をイギリスのサマースクールで過ごす」をもっと早くから繰り返していたらもっとレベルの上がり方が速かったかな? と思います。
別にどこかの段階でものすごく英語を頑張ったとか、苦労して英語を習得したという記憶がないのです。
今思えば、30年前からその視点を持って私の学習環境を整えてくれた我が母こそ、本当の“グローリアママ”なのかもしれませんね。
このように、長期の海外経験だけが英語力と国際感覚を達成するのではないということは自分の体験からもよくわかったので、
わが子はもっと小さいときからスタートさせたらどうなるだろう?
という興味本位で、4歳を過ぎた時からシンガポールの通学型サマースクールに毎夏参加させることにしました。
日本での英語レッスンもその頃から開始。息子の“日本語力”もある程度確立してきた4歳は初めてのサマースクール参加にベストのタイミングだったのではないかと思います。
彼は日本での英語レッスンも「スクール」と呼んでいて、シンガポールのサマースクールと同じような気分で通っているようです。
幼少期の英語教育で大切なのは「英語」へのポジティブな感情を育むこと
ここで大切なのは
- 英語を強制しないこと
- 「英語イヤ」という拒否感を絶対に持たせないこと
だと思います。
以前、親子英語を教えていたことがあるのですが、子供に英語を習得させたいと私のクラスに来てくださるたいていのママが「英語キライ、英語苦手」というのです。
その英語への拒否感が大人になってからも英語学習を阻害している……。
それを覆すのはやっぱり至難の業なのです。
子供の気持ちが点火するタイミングをじっくり親が待つことも重要
子供達に英語を教える中で、親御さんが英語苦手な方ほど、
My name is 〇〇! I’m 〇years Old!
と元気に言えることを「結果」として求める傾向がある気がします。
このような返答をスムーズにできるかできないかを求め、子供の英語力が積み上がるタイミングを待てずに途中で何度も英語スクールを変えてしまったり、結果を早急に求めるがあまりに子供に英語を嫌いにさせてしまった…というケースをイヤになるほど見てきました。
嫌がらせてしまってからではもう遅い
というのが私の信条です。
別に我が子は My name is 〇〇!の類のことをベラベラ話したりはしないけれど、確実に子供達の中に積み上がっているものがある。
「英語が特別なことじゃないという感覚」が育つことが一番大事で、幼少期の段階ではそれで十分なのではないかと思います。
そこからいかに興味の羽をのびのびと広げ
英語でお話してみたい! コミュニケーションしてみたい!
という気持ちに点火し、伸ばしていくかは子供次第。
なので、私の役目は「あの時あれをやらせてやればよかった」と後悔することだけはないよう、できるすべてのチャンスを与えてあげることだと思っています。
学費・時差・渡航時間・治安・教育レベル…等多角的に比較しシンガポールのサマースクールに決めました
−−毎夏の海外サマースクール先をシンガポールにされた理由はありますか?
長森:海外のサマースクールは千差万別ですが、一般的にいってハワイや北米、欧州は学費が高額です。また飛行時間が10時間を越してくると、小さいうちはやはり親子ともども辛いものがあります。
シンガポールのサマースクールの場合、英語圏の諸外国の中では、今はまださほどサマースクールの学費も高くなく(※本インタビュー時点で1週間500〜600シンガポールドル前後)、時差も1時間、比較的安全で気候も温暖、教育レベルも高く、かなりよい選択肢だと感じています。
しかし、シンガポールは滞在費が高いので、SNSで友人の中でシンガポールのサマースクールに興味のあるママを募ってルームシェアで滞在コストを抑えます。
シンガポールのサマースクールの魅力はインターナショナルであるということ
シンガポールのサマースクールにわざわざ連れていくことの最大のポイントは「多国籍のクラス編成」に尽きると思っています。
日本でも欧米型のサマースクールは盛んになっており、通学型から合宿型までバラエティ豊富です。しかし、どんなに指導者が優れた外国人教師であったとしても、参加者の多くは基本的に日本人の子供達です。
これは、一人で親元を離れてキャンプ生活を送る…といった面での成長はもちろん期待できるけれど、英語あるいは国際感覚を習得させるという観点での効果は、ゼロではないにしろあまりないのではないかと私は思っています。
本物のインターナショナル環境で“世界共通語としての英語”に触れさせる意義
世界の共通語はいまやネイティブスピーカーの話す「正しい」英語ではありません。
むしろ子供達が将来コミュニケーションしていくであろう相手は、私たちと同じく英語が第二言語の人の方が圧倒的に多い。だからこそ、どんな状況のどんな英語でも「あり」なんだということは今からわかっておいてほしいのです。
英語を学ぶのに発音を気にするなかれ!
これ、私の持論です。なので、あえて多国籍環境で学べるサマースクールであるシンガポールを選んでいます。
“発音コンプレックス”がゆえにツールとして使える英語の本質を見誤らないために考えておきたいこと
−−「発音は二の次に」という強い信念を長森さんがお持ちになられた理由やエピソードはありますか?
長森:大学卒業後、北欧系の企業に勤務していました。海運業界というのは当時からとっくに社内公用語は全英語で、書類も会議もすべて英語が当たり前でした。
そこで味わった英語力ショック。多少カタカナ英語であっても言葉を流暢にあやつりばしばしビジネスを決めていく上司。一方、発音を気にして一言もしゃべれない自分…。
さて、いったいどちらが本当に使える英語でしょうか?
世界には発音にクセがあって聞き取りづらいといわれる国の人は山ほどいます。けれど、それはすべて口に出してからの話。そのためには、この発音コンプレックスほど邪魔なものはないと思っています。
英語耳もきれいな発音もあったほうがいいですよ。あるに越したことはありませんが、でも、それはすべて「会話ができる」という前提があってのこと。言葉を口に出すことをしなければ聞き取れないも何もあったもんではありません。
賛否両論あるのはもちろん理解しています。それでもあえていいますよ…発音は二の次にしましょう!
様々な場面でプロとして英語を使ってきた経験も踏まえて、まずは
- 英語で言いたいことが言いたいように言えること
- 世界のどこにでも行けること
- 英語でも仕事ができること
これらの能力があれば、日本だけでなく世界をフィールドにして生きていくためのステージに充分立つことができると考えています。
そして、バイリンガル、マルチリンガルであっても、深く思考する軸は一言語だと言われています。英語力はもちろんのこと、それ以上に母国語力はとても大事だと考えています。
バイリンガル教育はいろんな持論も説もあり、難しいですよね。
しかし、帰国子女でもなく、長期海外留学をせずとも仕事の場面で世界各国の人々とコミュニケーションをとり、プロとして通訳や日米バイリンガルMCとして英語を使いこなしてきた私の立場からお伝えしたいと思うことは「赤ちゃん時代に目の色変えて肩に力を入れずとも、十分可能性はある」ということを少しでもお伝えできたらいいなと思います。
−−シンガポールでのサマースクール&ルームシェアの様子を詳しく教えてください
サマースクール費用が比較的リーズナブルなシンガポールですが、滞在費はとても高いのです。
特に、子連れの場合サマースクール期間中ずっとホテルに滞在するのは日々の生活面で厳しい。サマースクール期間中は3週間程度シンガポールに滞在するので、やはり洗濯機やキッチンがあると何かと便利です。
そこで思いついたのがルームシェアという方法。
毎年友人から有志の仲間を募り、コンドミニアムで3ベッドルームの部屋を借りて過ごしています。プライベートで利用しているSNSで
シンガポールのサマースクール行くけど一緒に行きたい人いる?
と投稿し、サマースクール仲間を募集してルームシェアします。各親子でベッドルームを一つずつ使いました。キッチンやリビングは共同なので、合宿状態でした。
朝は8時にスクールバスに乗り、16時に迎えに行くまでは完全に親の立ち入らない別世界。これは子供にとっても良い選択でした。
うまい具合に子供達の年齢がバラけていると、行き帰りのスクールバスでは一緒だけれど、スクールに着いたらクラスは別。程よい安心感と環境を子供達に与えることができたのではないかと思います。
また、シンガポールは夕方になってもほどよく暑いので、帰宅後に毎日1〜2時間コンドミニアムのプールでみんなで遊ぶのも楽しみでした。
−−サマースクール中の食事はどうされていましたか?
毎日の食事はデリバリーを利用したり自炊したりしていました。シンガポールは外食大国で自炊する方が高コストだったりするのですが、それでは子供達が疲れてしまいますので日本からお米や素麺などを持参しました。
たいていのコンドミニアムでは朝食サービスがついてきますので、朝はそちらを利用。フルーツや卵なども豊富でした。
子供のランチはスクールで給食が出ます。
−−シンガポールサマースクールを共にした働くママ達はどのように時間を工面しましたか?
約3週間のサマースクール中、働くママたちは日中はそれぞれPCに向かって仕事をしています。
日本との時差が少ないので、Wi-Fiさえあれば仕事もできるというのもシンガポールを選んで良かったと感じるポイントでした。
−−サマースクールのプログラムはどのような選択肢がありますか?
小学生低学年の現在は、サマースクールのプログラムの中でもスポーツやアート&クラフトを中心としたコースしか入れないのですが、もう少し年齢が上がると
- サイエンス
- ロボティクス
- シェフズクッキング
- マンダリン
…など、豊富な選択肢が増えてきますので、また違うコースに参加させたいと思っています。
−−サマースクール中の週末はどのように過ごされましたか?
週末は、シンガポール動物園や、シンガポールの巨大プール施設アドベンチャー・コーブ・ウォーターパークなどへ遊びに行ったりしました。
夏に滞在すると、8月のはじめにあるシンガポール建国記念日の花火も見られて楽しいですよ!
英語動画&英語絵本で日常的に楽しく英語に触れられように環境設定しています
−−お子様の語学力アップや、異文化コミュニケーション力UPのために長森さんがされていることはありますか
長森:映画が好きな息子。英語が原語の映画は全て英語で観せるようにしています。例えば、子供が好きなディズニー映画をはじめ、ミニオンズ、スパイダーマン、アイスエイジ…などのキッズものはすべて原語で観せています。日本ではマイナーでしたが、「ジェイクとネバーランドのかいぞくたち」も息子はかなり気にいっていて、小学生になった今でも、時々思い出してはDVDを引っ張り出してきます。
また、英語絵本は家に常備しています。今は、Amazonで海外の絵本も簡単に入手できるのでありがたいです。息子はDr.Seussシリーズ、Froggyシリーズ、Five Little Monkeysシリーズが大好きで、たまに一人でめくって眺めています。
また、原語設定を英語にした私のお下がりのiPadやMacを自由に使えるようにしてあげています。時々充電を忘れて
うごかなーい
と言うのですが、それも彼の自己責任。今私が使っているMacbookも、近いうちに買い換えて彼専用にしてやろうと思っています。
息子が好きな海外のアニメ動画などをYouTubeで観ている間は、多少視聴時間が長くなっても黙認しています。
英語が話せることはスタートラインに立つ最低条件。必須スキルはICTと考えています
−−Glolea!なママである、長森真希さんが最近注目しているサービスはありますか?
長森:幼少期からのICT教育に注目しています。画面の中の世界に慣れておくことは今後とても大切なのではないかと考えています。
これからの世界は英語だけができてももはや生きていけません。英語を使って「何をできるか?」が問われてきます。「英語力は不可欠」などと言われていたのはすでに我々世代の一昔前の話で、現在では英語が話せることはもはやスタートラインに立つための最低条件です。
これからは、英語以上ににプログラミング言語、あるいはもう一言語の方が必須になってくると思います。
ただ、あまり早くいろいろやらせすぎては子供の負担が増えるばかりで、親の勇み足になりかねませんが、我が家では近頃ロボットに興味が出てきたのでちょうどいいタイミングと思い、先月から息子をロボティクスのクラスに通わせはじめたところです。
プレゼンテーションのスキルは日本語・英語関係なく重要になってくると考えています
また、英語であろうが日本語であろうが「プレゼンスキル」は今後より一層重要になってくると感じています。伝える力・プレゼンテーション能力がないビジネスパーソンこそいつかAIに仕事がとって代わられてしまうのではないでしょうか。
子供むけのプレゼンスクールがあってもいいのではないかと思います。また、そういう機会が多い習い事をさせるのも一つの方法だと思います。
若年女性への支援を今後も継続的に行っていきたいです
−−長森さんが今、チャレンジしていることもしくは、これからトライしてみたいことはありますか?
長森:孤立・社会的排除、性的搾取・DV、望まない妊娠・出産、貧困のリスクにさらされている若年女性への支援が現在非常に手薄です。
これまでも妊婦支援、母親支援、子育て支援等々、様々な女性支援活動に携わってきましたが、やはり、確実に次世代を担うことになるこれからの女の子をサポートすることが、未来を変える力になると思っています。
世の中全体としてみればまだまだ女性蔑視は根強いといわざるを得ず、ただ単に「女だから」という理由だけで蒙らねばならない悲劇は、第三国だけではなくこの国にもたくさんあります。
そしてそれらと幸いにも一切縁なく私が育ってこられたというのは、本当にたまたま運がよかっただけの偶然の幸せにすぎないのです。
微力ではありますがボランティア支援団体ISSHOのリーダーとしても参画しており、こういった支援のアプローチが困難な層への様々な活動を草の根的に続けているNPO等への協力を行っています。
得てして日本では、チャリティ活動というと滅私の精神、私財を投げ打つ奉公などばかりが礼賛されがちですが、決してそれだけがチャリティなのではなく、たとえ微力であっても、自分ができることを続けることに意味がある。
どこかで泣く子供や女性が、どうか一人でも少なくなりますようにという気持ちは変わりません。今後もたとえ細々とでも、この活動は続けていきたいと思っています。
また、現在代表として手がけている事業である国内最大規模の子供服リユースプラットフォーム「キャリーオン」。
事業を海外展開させては?
というお声がけをいただくのですが、最近になってようやくそのストーリーが具体的に頭の中に描けるようになってきました。
単なる夢物語では仕方ないですからね。
次は、いかにそれを実現させるかだと思っています。
私はワークとライフをバランスさせる、いわゆる「ワークライフバランス」という考え方は好きではありません。自分のライフスタイルと事業のグローバルを視野に入れた成長は、常に一体のものです。
事業も私も一緒に成長させていくのが、今もこれからもずっと目標にするところです。
好きな活動を通じて世界中に友達を増やす経験をしてもらいたい
−−今後、お子様と共に世界とどのようにポジティブにつながっていきたいですか? お子様との将来の夢などお聞かせください。
長森:実は、漠然と「海外移住したいな〜」などという月並みなことを夢見ていた時期もあったので陶が、最近は、息子に世界へ飛び立つ翼さえ持たせてやれたら、それでいいかな、と考えるようになりました。
もちろん、その翼を持たせたところで、実際にそれで飛び出すのかどうかは彼自身の選択ですが、翼を持っているけど飛ばないのと持ってなくて飛べないのでは大違いだと思うのです。
息子が行きたいと思うところに自由に飛んで行き、それを巣で見守るおかあちゃん…みたいになれたら嬉しいですね。
ただ、ずっと日本でだけ暮らしていては本人にそういうイメージも湧かないと思うので、シンガポールのサマースクール以外にもどんどんいろんなところに連れていきたいですし、どこかで一度は本格的に海外教育を受けさせた方がいいと思っています。
そのためには、どのタイミングでどこにどう出したらどうなるのか、そして入学にはどの程度の英語力が求められるのか、ということを事前に絵を描いておかないとと思っています。それこそ、思い立って突然準備して間に合うものではありませんので。
例えば…アメリカ系かイギリス系かでも大違いです。IGCSEやIBなど、海外の教育システムの仕組みも理解しておかなければなりません。もちろん学費の算段も必要です。
ママはママの人生、君は君の人生!
どちらかが束縛したり犠牲になることなく母子お互いの人生を尊重し、チャンスは十分に与え、いざその時が来た時にどうにでもなる「生きる力」を持たせてやるのが、私の仕事だと思っています。
生の体験とリンクさせて世界の面白さと豊かさを味わいつくして欲しい
−−Glolea![グローリア]読者のママ達へのメッセージをおねがいします。
長森:一口に「グローバルな感覚を持つ子供に育てたい」といっても、まずは母親本人の世界が開かれていなければどうにもなりません。
そのためには、できる限り仕事を続けた方がいいと私は思っています。社会の歯車として社会に参加し視野を広げていくことはもちろん、経済的に誰かに依存することなく自立していることはとても大切ですし、そもそもやるべき仕事があるというのはそれだけで幸せなことだと感じています。
また、100%誰かに依存している状態では自分が最終の決定権を持っているわけではないので、家庭内で意見が一致しているうちはよくても、仮に将来意見が分裂した際には、子供にどのような教育や機会を与えてやりたいかということにも関わってきます。
経済的に余裕のある男性と結婚しても明日どうなるかはわかりませんし、状況が急変した時にもしなやかに対応するには、やはり「稼ぐ力」が必要です。
首都圏では保活の難しさも叫ばれて久しいですが、その対策含め、自分の人生ゲームの駒をひとつずつ進める気持ちで、ぜひ戦略的にやってみてほしいと思います。
もうひとつ。
厳しいようですが、我々の子供達が生きる時代は、英語ができなければワーキングプアにならざるを得ないと思います。
新興国はどんどん力をつけていますし、今の日本にはかつての勢いと競争力はもうない。
しかるに私の周りにもまだまだ英語を「数ある習い事のうちのひとつ」としか認識していない人が多く、これは国語・算数と同じレベルで、もはや「英語ができない=非識字」といっても過言ではない時代だということは痛感されていない。
これこそが日本の危機だと思います。
いまのところはまだ内需でなんとか生活がまわっているのであまりなんとも思わないかもしれませんが、世界の関心は今や日本にはないといっていいのではないでしょうか。
かつてアジアのハブ港だった横浜は今はその影もなく、グローバル企業のヘッドクォーターもシンガポールか他のアジア都市にうつっています。日本の組織のトップに英語が普通にできる人材が決定的に足りないことが致命的で、完全に世界から遅れ、取り残されています。
これから子供達が同じかもしくはもっとひどい危機に直面しないよう、親が賢くならなければならない。
そして何よりも大切なのは、では結局のところ子供にどんな人になってほしいのか? という出口戦略の描き方と教育への信念について、親が決してブレないことだと思います。
情報を賢く入手しつつも、あの人がこう言ってたから…これやらせるといいらしいから…とすぐに踊らされることなく、自分の信じる教育への信念を持って子供の将来にもっともよかれと思う道を構築してやること。親がしてやれることなんて結局そんなにたくさんはないのですものね。
今はありがたいことに調べればなんでもすぐにわかる時代です。知恵をつけ、行動し、ぜひ一緒にがんばっていきましょう。