シンガポールであわや大事故!「シンガポーリアンオバちゃん」vs.「欧米マダム」から学んだこととは…
- Ai
- Glolea! シンガポール子育てアンバサダー
目次
シンガポールの動物園にはバスで行く? タクシーで行く?
こんにちは! Glolea! シンガポール子育てアンバサダーAiです。
シンガポールに来て、まだ数週間のころ、こんなことがありました。その日は当時2歳半の長男と4ヶ月の次男を連れて動物園に行きました。
子どもたち二人が家に一日中いる生活だったので、上の息子がこよなく愛する動物がわんさかいて、安全な動物園は、私たち行きつけの公園のようなものでした。
あの時は一週間に3,4回出かけていたと思います。
その日も朝から動物園にでかけて、ホワイトタイガー、亀、サイ、ぞうのショー、サル山、サイ、白くま、チーター、ミーアキャット、イボいのしし、シマウマ、ライオン、キリン、ジャガー、を見て、大満足でバスで帰ることにしました。
タクシーだと13−16ドルくらい(1,200円から1,500円)。バスだと2.6ドル(200円行かないくらい)。
かなり値段が違います。
シンガポール動物園のヘビーユーザーな私達はバスを愛用していましたが…
月に一度行くくらいなら、タクシーのほうが楽だしいいのですが、なにせ私たちはシンガポール動物園のヘビーユーザーなので、特別なことがない限りはバスを利用していました。
次男は動物園の途中で寝て抱っこ紐の中ですやすや。私はベビーカーをたたんで、長男の手を引き、バスに乗り込みました。
ところがその日は少し混み合っていて、座る席が一つしかありませんでした。そこは運転席のすぐ後ろの席。少し足場も高くなっている席です。
そしてその席の後ろは、また少し高くなっていて、バスの運行時間表とか、他パンフレットなどがおいてあるちょっとした物置台になっていました。
物置台に登った長男…発進したバスで転落!
私はとりあえず長男をその席に座らせて
ここでちゃんと座って待ってるのよ、ママ、ベビーカーをあっちにおいて、戻ってくるからね!
と言い、彼がうなづいたのを確認してから、バスの中ほどにある、ベビーカーなどを立てかけられるところまで進みました。
後ろからもどんどん人が乗ってきます。長男に言い聞かせている時間も、後ろの人が詰まっていることが心配です。SorrySorry言いながら、ベビーカーを置いて、振り返ると、なんと長男は
ママー! 見てー! ジャガーだよ〜
と言いながら、席の後ろの高くなっている物置台に四つん這いになって登っていました。
危ない!
と叫ぶと同時に、バスは発車。
長男が床に転落していく様子が、スローモーションで見えました。
「シンガポーリアンオバちゃん」と「欧米マダム」の大喧嘩勃発!
私の叫び声で、バスは急停止。バス中に響く泣き声。
私は人をかき分け、長男を抱き上げ、頭をさすっていると、後ろの欧米系のマダムが話しかけてきました。
欧米系マダム:
あなた、ふたりも連れてバスに乗るのは無茶よ。この歳の子は何をするかわからないでしょう?
次からはタクシーを使いなさい。シンガポールはタクシー代安いんだし。うちも男の子いるからわかるわよ。忙しいわよね、こういうときにはお金をケチっちゃダメなのよ!
そんなようなことを言われて、はいすみません、とひたすら謝り、泣いている長男を抱きしめていると、通路を挟んで向かい側のシンガポーリアンの女性が立ち上がり、欧米系のマダムに向かって言いました。
シンガポーリアンオバちゃん:
なんてこと言うの。彼女にもバスに乗る権利があります。子どもが危ないのがわかっていたなら、なぜ助けなかったの。あなた落ちるの見てたでしょう。
私だって、もっと早く行けば落ちないですんだかもしれないと思って胸が痛かったわ。それをタクシー乗れですって!
シンガポーリアンの女性は、かなり怒っている口調だったので、それに驚いた欧米系の女性は、眉毛をぴくっとあげて
欧米系マダム:
私はあなたと話してるんじゃないわ。彼女と(つまり私と)話してるのよ。アドバイスをしただけ。あなたは落ち着きなさい。
と言いました。
それからしばらく、もう何を言っているのかわからないような言い合い(喧嘩)があり、その後、シンガポーリアンの女性は、
シンガポーリアンオバちゃん:
こういう冷たい人ばかりじゃないからね、次からは近くの人に、ちょっと見ててって頼めばいいのよ、子どもはみんなで育てるものなんだからね!
とか、いろいろ言ってくれたのですが、その時は、長男は泣いてるし、私もびっくりしてしまって、どうしていいかわからず、申し訳ない気持ちでいっぱい。自分も涙が出てきました。
バスに乗るのはやめましたが…タクシーでも事件勃発
それからしばらく、私はバスに乗ることはやめにしました。
またなにかあったら大変だ、と思いましたし、、、あの欧米系の人が言ってくれたことは本当で、長男は今、ちょっとでも目を離したらなにをするかわからない時期なんだとよくわかったからです。
このあとも動物園通いは続きました。タクシーを使うことが増えました。
そんなある日のこと。いつものようにタクシーを呼んで、長男を後部座席に座らせて、シートベルトをしっかり締めて、次男を抱っこしながら、ベビーカーをトランクに入れようと、車の後ろにまわりました。
この運転手さんは親切で、私がベビーカーをトランクに入れるのを手伝おうと、車から出てきてくれました。
と、そのとき、車が前にスーッと動いたのです。
車には誰も乗っていないはず、いや、うちの長男しか! 乗っていない!
慌てて前にまわると、なんと、長男は自力で後部座席のシートベルトを外し、運転席に移動してハンドブレーキを下げていたことがわかりました。
(このとき、この車はPには入れず、ハンドブレーキだけをかけていた)
本人にはそのあと、車はまだキミにはまだ危ない、大人になってから運転しようねと一生懸命言い聞かせました。
手を離してしまったのがいけなかった…と激しく後悔
でも要するに、私が手を離したのがいけなかったのです。
バスにせよ、タクシーにせよ。
私は激しく後悔しましたし、とても悲しくなりました。
そして、私はそのとき感じました。
私が手を離したのはこの時だけではありません。
長男は手を繋がるのを嫌がるので、ひとりで歩いて行くことがたくさんあります。
私はもちろん追いかけますが、ベビーカーを押しているとか、前に人がいるとか、様々な要因で、すぐに手をつかめないことがたくさんありました。
あのときも、あのときも、危険なことが起こってもおかしくなかった。
私の子どもは、ものすごくラッキーなことに今、死なずに、大きな事故にも合わずに済んでいるんだ。
見えない手を感じます。私たちはそれに守られていたんだと。
我が子から学んだ子育てノウハウは我が子には実践できない
そして、衝撃の真実。これはあれから一年半たった今、感じていることです。
「私は我が子から学んだ子育てにおけるノウハウを、我が子には実践できない」ということです。
学んだことを、学んだ相手には返せない。学びはいつも少し遅れてやってきます。
あのときの2歳の長男にどうすればよかったのか、今の私は少しわかりますし、理解もできます。
でも当時の私は戸惑うばかりでした。長男はこちらの目がまわるほど元気で、片時もじっとしていません。どうやら本当に止まることはできない様子。もしや動き過ぎてしまう病気があるのではと本気で調べたこともありました。
そして今彼が4歳になったこのタイミングでも、今度は4歳ならではの悩みがあり、どうしたらいいのかわからないこともあります。
でももしかしたら、あと1年たったら、わかるのかもしれません。
悲しいかな、わかったことを実践できるのは人の子どもに対してです。
私は友だちの子どもに本を読んであげると、自分でもびっくりするくらいうまくいくことがあります。
ママではない、という新鮮さもあるでしょうが、呼吸をつかめるというか、気の引き方を長男で訓練されたからだと思います。
でも、今の長男にはその方法だと、まあ、ふつうです。
多分、今の彼に合った、もっと素敵なやり方があるんだと思います。
もちろん、たまに大ヒットすることもありますが、それも長くは続きません。
彼も成長し続けているからです。
そしてそれを次男に適用できるかというと、これもまたイマイチです。
次男には次男の個性があります。
精神的には次男のときのほうが、まあこんなもんかな、と思えるから楽、というのはありますが、基本的には次男と私、という組み合わせでは、私は初心者マークのままなのです。
自分の子どもで学んだことは次に繋いでいくしかない…
つまり、私のノウハウは、まっすぐには還元できず、ちょっと斜めの関係、“近所のオバちゃん”とか、“友だちのママ”とか、つまりは社会にしか還元できない、ということなのです。
自分の子どもからたくさん学ばせてもらって、それを次に繋いでいくしかない。
お前も後輩をかわいがってやれよ、と、飲みに連れて行ってくれた先輩の顔が浮かびます。
まるで部活の先輩と後輩みたいな世界。
ああそうか。このちっちゃい怪獣たち(息子たち)は、やっぱり私の先生で、先輩でもあったわけです…びっくり。
子どもはみんなで育てるもの
そしてあのときシンガポーリアンのオバちゃんが言っていた言葉を思い出します。
子どもはみんなで育てるもんでしょ
そうか。それはこういう意味だったのか。
うちの息子達も、私の見ているところでも見ていないところでも、きっといろんな人にたくさん育ててもらっていることでしょう。
その人が得た学びを、うちの息子にシェアしてくれているんだと思います。孫育てのほうがうまくいく、なんて話もよく聞きますが、それはこういうことなのかもしれません。
そして、子育て中に多くの人と関わるのはやはりとても意味があることなんだと、私自身もできるだけ他の子どもやお母さんと、ちゃんと関わっていこうと思いました。
私がこの原稿を書いている間に、Facebook CEO のマーク・ザッカーバーグが、第1子となる女の子が生まれたことをきっかけに自身の保有する Facebook 株のうち99%を慈善活動のために寄付することを発表した、というニュースが流れました。
5兆円にもなる寄付で、確かに目に見える形で、社会は変わると思います。
彼の娘さんへのメッセージもとっても素敵でした。
私たちのすむ社会はすでいる人達だけでなく、これから生まれてくる人の生活も今より良くしていくことができると信じています。あなたの世代が、今より良くなるために私たちにはまだやれることがある
−−(マーク・ザッカーバーグ/Facebook CEO)
これに比べたら、私ができることは本当に小さなことです。
でも子どもにこう言ってあげることはできます。
ママはあなたから目に見えない素晴らしいものをたくさんもらっているのよ。本当にありがとう。
私はあなたからもらった素晴らしいものを、他の人にも繋いでいきたい。
あなたもたくさんの人から素敵なものをもらっているから、ママもなにか恩返しがしたいんだ。それが結果として、あなたたちの世界を、より良くしていくことにつながったら、本当に嬉しい。
記事をお読み頂きありがとうございました!
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