アメリカ東海岸で急増中! 地産ハーバリストの子育て
ハーブと共に育てる子どもの健康

春名聡子(Akiko Haruna)
Glolea! 国境を越えたホリスティックな学びのアンバサダー

こんにちは。アメリカ東海岸は紅葉の美しい季節になりました!

心と体の学びアンバサダー、春名聡子です。

 

アメリカ東海岸では、ローカルな薬草によるヒーリングを行う“ハーバリスト”となる人達が増えています。ハーバリストとその子ども達は、どんな生活を送っているのでしょうか。自然が溢れ、手の届く所に自然の薬がある環境で2人の子どもを育てる、とあるシングルマザーのハーバリストの生活を、のぞいてみました!

 

10月より、私はメリーランド州の田舎にある“コミュニティ・ハーバリズム(コミュニティ薬草治療)”教育センター、Centro Asheに住居を移しました。センターは国立公園に隣接し、森と川に接する自然豊かな環境。若い有機農家さんの畑も隣接しています。家の裏庭には東海岸原産のハーブ(薬草)が茂り、センターでは、薬の殆どが 裏庭から採れるハーブから手作りされています。

▲秋のハーブ畑のハーブ達。霜が降りてもまだまだ元気です。

Ayoがハーバリストになったわけ

教育センターに隣接するグループハウスのルームメイトの1人、Ayoはいつも明るい笑顔が印象的な女性。2人の息子の子育てをするシングルマザーのハーバリストです。ハーブの世界に興味を持ったのは、長男Kofiの妊娠がきっかけ。妊娠初期から出産前まで、妊娠初期の安定を支えるハーブ、体をいたわるハーブ、スムーズな出産準備をできる体へハーブといった、それぞれの段階に応じたハーブティーがある事を学んで、それらを飲んでいたそうです。

▲Ayoと次男のTamau。ドライハーブが壁にかかっています

しかし Kofiは幼少期から重度の喘息を患う事となりました。これが、Ayoがハーバリストになる事を決めたきっかけです。当時ワシントンDCで子育てをし、オフィスワークをしていたAyoは、ストレスや空気の悪さがKofiの疾患に影響しているのでは、と思っていました。Ayoの当時の夫は長らく喘息を煩っており、吸引器やステロイド治療に慣れていたため、Kofiにも同じような治療法を施していましたが、Ayoは幼い子どもの体に、化学物質を投入する事に大きな違和感を感じていたものの、他にどんな選択肢があるのか、当時は知りませんでした。

 

ある夜、Kofiの症状が悪化し、緊急病棟に駆け込み、幼い体にステロイドの大量投入を行わねばならない事になりました。Ayoは 深夜の病院のロビーで夫に向かい、「私はこんな状態はもう認めない! 医者になってもっと自然な治療法を見つけて、Kofiの喘息をこの手で治します!」と宣言しました。

 

仕事を辞め、自分の方向性を決めるためにニカラグアを旅行していた時、Ayoは地元の年老いたコミュニティ薬草治療師に出会い、自然と人の癒しに魂を捧げるその生き方に大きな影響を受け、直後にハーバリズムを教える大学院に入学。3.5年かけて修士を取得し、ハーバリストとしての人生を歩み出しました。現在Centro AsheでAyoと子ども達は、自然の中でリラックスした生活を送り、クリエイティビティを伸ばしています。

▲アーティストでもあるAyoがCentro Asheで発案した、ハーブを素材にしたジュエリー。

ハーブと共に育てる、子どもの健康

Kofi は、その後、吸引器やステロイドの服用なしで喘息症状を抑える事ができるようになりました。毎冬、AyoはKofiのために呼吸器系のハーブ薬を作ります。ハーバリストとして転身を遂げた母の背中を見て育ったKofiは現在15歳、自分でオリジナルブレンドのハーブティーを作るそうです。2歳の次男KamauはAyoのハーブティーを毎日飲んで育っています。ハーブ畑で遊ぶのが大好きなKamauは、苦いハーブティーでも嫌がらずに飲むとの事(薬草治療では苦い味の薬は必須アイテムです)。

 

Ayoは親子留学のコンセプトに大賛成

 

彼女自身、10歳のKofiと2人でニカラグアの離島にバックパッキング旅行をして素晴らしい経験をしたそうです。

ママと子どもは世界を変えて行く牽引力。国境を越えて親子が旅をする機会が、どんどん増えるといいね!

とコメントしてくれました。

 

日本にも古来からあった薬草治療は、ここ数十年は合成薬の陰にひそむ形になりました。ハーブの世界は知れば知るほど、“健康”についての新しい考え方 。自然を知る事で、自然のリズムとバランスを生活と体に呼び戻す事、季節毎の自然のエッセンスを取り入れ、季節疾患の予防に活かす事、自分の健康状態が崩れた時、 自分で体調を治す事ができるようになる事、薬となる植物が実は身近に溢れている事に気づく事。

 

*コミュニティ・ハーバリズムとは、地域コミュニティに根ざした薬草治療のかたちです。地場産の誰でも裏庭などから入手できるハーブを使う事に重点を置き、各地の文化や生態系に配慮し、地域コミュニティのメンバーがアクセスしやすい形で治療を提供し、メンバー自身が自分でハーブを使いこなせるようなキャパシティビルディングを行います。医療費が非常に高いアメリカでは、低所得者層の健康を支えるためのフレームワークとしても注目が高まっています。Centro Asheは、DC近郊では最初に出来た“コミュニティー・ハーバリズム”教育センターです。

記事をお読み頂きありがとうございました!

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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー

春名聡子(Akiko Haruna)
Glolea! 国境を越えたホリスティックな学びのアンバサダー
ワシントンDC

2008−16年まで北米在住。2015−16年北米ワシントンDCで夏のホリスティックな親子留学プログラム「グローバルコンシャス」を主宰。北米・中米・アフリカなど各地の自然に足を運んだ経験を活かし、現在、人と自然をつなげるジャーニー・ワークショップのプログラムForest Beats -森の鼓動-を運営。

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