コロナ禍におけるオンライン授業でクラスメイトとの信頼をどう築く?アメリカで行われている素敵な試み「Student of the day」
[世界のコロナ対策&オンライン学習事情]
- 安立淳子(Atsuko Adachi)
- Glolea! サンノゼ学齢期・年の差子育てアンバサダー
前回の記事『オンラインを活用した遠隔授業「オールディスタンスラーニング」で始まったアメリカの新学期』でもお伝えしたとおり、カリフォルニア州では新学期もオンラインを活用したディスタンスラーニングスタイルが続いています。
全ての授業がオンラインという形で新学期が始まって、早一ヶ月が経ちました。
新しい時間割にも慣れ、Zoomを利用したパソコンやタブレットの画面越しではありますが、クラスメイト同志の交流も少しずつできてきて、先生方も新しい生徒たちの様子を少しずつ分かってきてくれたことをひしひしと感じる今日この頃です。
今回は、キンダーに入学したとたんオンライン授業で新学期が始まった5歳の息子のキンダーガーテンのクラスでどのようなオンライン授業が行われているのか、また、毎日誰かが主役になれる素敵な試み「Student of the day」ついて紹介したいと思います。
目次
キンダーガーテンで行われているオンライン授業
日本の国語にあたる「Language Arts(LA/ランゲージ・アーツ)」はどのように教えている?
息子の通うキンダーでは
- 1時間目:約45分間
- 2時間目:30分間
- 3時間目:30分間
合計3時間の授業をそれぞれ10分から15分の休憩を挟んで行ってます。
1時間目は子供達の集中力が一番ある時間でもあるからか、2時間目、3時間目より少し長めの45分を使って「Language Arts(LA/ランゲージ・アーツ)」と呼ばれる日本でいう国語に近いスタイルの授業が行われます。
今月は“Fable(フェイブル/寓話)”と呼ばれる、動物を主人公とした物語の読み聞かせから始まります。
- ウサギとカメ(The Hare and the Tortoise)
- ライオンとネズミ(The Lion and the Mouse)
など、日本でも広く読まれている物語を読みながら、子供たちに自分だったらどうするかを考えさせ、自由に発表させます。
また秋はリンゴが季節の果物であることから、
- リンゴができるまでのお話
- リンゴの木を全米に広げてくれた人のお話
- リンゴのパーツ[stem(軸), core(芯), skin(皮), fresh(果肉), seed(種)]をどのように呼ぶのか練習
- リンゴにちなんだ工作
…などなど、一つのテーマから理科や図工の授業にもつながるような総合的なお話をしてくれます。
さらに日本の英語の授業ではあまり注目されていないのかもしれませんが、Syllable(シラブル/音節)も学んでいます。
以前お届けした記事でも『アメリカの学校で子供達が必ず学ぶ重要単語「Sight Word(サイト・ワード)」』について取り上げましたが、実際、キンダー入学後からはじまったオンライン授業を受ける息子に寄り添ってみて
なるほど! そういうことか!
と私が学ばせてもらっているくらいです。
先生は子供たちにも肌でわかりやすいよう、名前を「音節」に分けて子供達と一緒にジェスチャーでSyllableを数えるのです。
肩に手を置いて1音節、次が肘で2音節、手首で3音節です。
一般的に名前の音節が4つ以上あることは稀のようで、息子の名前が4音節あることで先生も大きく取り上げてくれ、息子も誇らしげに指の先の4音節目まで手を伸ばして嬉しそうに学んでいました。
オンライン授業でMath 数字と計算はどのように教えている?
3時間目の30分では数字と計算について勉強します。
- 今月の学びは1−20までを言えるようになること&数字でかけること
- アルファベットでの書き方を覚えること
- 日付と曜日を覚えること
です。
また色や形の違うボタンを使って仲間分けのクイズも取り入れながら数と形も学びます。
数はただ数えるだけでなく、サイコロやクリップを使ってつなげていきながら数を感覚的に捉える試みもしてくれます。
パターン(○→□→△)などの法則も使いながら次にくる図形を予測させたり、ゲーム感覚で子供達の興味を引きつけながら進めてくれるので、子供達も楽しそうに授業に参加しています。
小さなご褒美でモチベーションをUPしながら率先して善い行いをしようと頑張る子供達
アメリカの学校ではポイントが貯まるとご褒美がもらえるという仕組みがあります。
息子のクラスでは静かにお話を聞けたり、素早く指示を聞けたりするたびにハートの形をした石を一つずつビンにためていきながら授業を進めていくのですが、それがいっぱいになるとご褒美がもらえるのです。
ご褒美は小さな文房具や絵本など小さなものですが、子供達にとってはたまったハートを数える時間や、教材ピックアップの時に手渡してもらえる小さなご褒美が嬉しくてみんな率先して善い行いをしようと頑張っているのです。
毎日誰かが主役になる!
素敵な試み“Student of the day”
いよいよ、今回の記事で私が最も伝えたいと思っているアメリカの授業で行われている素敵な試み「Student of the day(スチューデント・オブ・ザ・デイ/今日の生徒)」をご紹介します。
息子のクラスには全部で22人の子供達がいるのですが、毎日そのうちの一人がStudent of the dayとなります。
Student of the dayとなった子は、先生が作ってくれた王冠をかぶって自分の大好きなものを発表し、クラスメイトたちがその子について質問をしたり、先生が話題を広げてくれることによってクラスメイト一人づつを知ることができるとてもいい機会となっています。
2時間目の30分丸ごと一人の子供を取り上げてくれるのです。
その子の名前のアルファベットのマグネットを使ってどんな単語が作れるかを発表したり、その日のStudent of the dayの子の発表したものをクラスメイト一人一人が絵にまとめて提出し、先生が子供達のためにそれぞれ一冊の冊子に仕上げてくれるのです。
今日は息子がStudent of the dayの1日でした。
息子は大好きなものとして、
- パパにもらったレースカー
- ベイブレード
- ニンニンジャーの刀
についてプレゼンし、大好きな本としてヨシタケシンスケさんの「りんごかもしれない」の英語版の絵本を紹介していました。
クラスメイトたちからは
どんなゲームが好き?
好きな食べ物を教えて
何色が好き?
などの質問を受けてとても嬉しそうにしている様子がとても微笑ましかったです。
入学したばかりのゼロの状態から低学年の子供達の学び構築がオンライン学習のみでうまく進むのか、最初は懐疑的だった私。
しかし、このように従来の授業をディスタンスラーニング用にアレンジし、「Student of the day」を通じて子供達一人一人を主役にして日々取り上げてくれることで、子供達も確実にお互いにクラスメイトへの友愛と信頼が築けているような感覚を持っていることを肌で感じる毎日です。
また、最初は集中力の持続が難しかった息子も時間割のルーティンがわかってきたことでメリハリを持って授業に取り組むことができてきました。
英語の初期教育に「Syllable(シラブル/音節)」や「rhyme(ライム/韻)」を学ぶことが大切な理由
合わせて、息子のキンダーガーテンのオンライン授業を間近で見ることができる環境の中、私自身も
- Syllable(音節)
- rhyme(韻)
について知ることができ、英語という語学の特徴を改めて知ることができています。
- 意味を知るより先に読めること
- 発語できること
が後々の英語力の発展に必要なんだということに気付いてきています。
英語には日本の漢字のように字に意味がないと思い込んでいた私ですが、単語を分解して理解することで、全ての単語に共通して小さな塊の意味が付随しているんだと学ぶこともできました。
そのことに気づけたのもディスタンスラーニングの賜物だと思います。
ただし、やっぱり子供達につきっきりで半日終わってしまうとぐったりしてしまうのも事実なので、早く安全に平和に学校が再開してほしいと願う毎日はまだ続いています(笑)
今回は『コロナ禍におけるオンライン授業でクラスメイトとの信頼をどう築く?アメリカで行われている素敵な試み「Student of the day」』をテーマにお届けしました。
記事をお読み頂きありがとうございました!
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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
- 安立淳子(Atsuko Adachi)
- Glolea! サンノゼ学齢期・年の差子育てアンバサダー
- サンノゼ
アメリカジョージア州で高校時代を過ごし、言葉が通じない苦しさ、通じあう喜び、文化や感覚的な違いを肌で感じてきました。教育や文化、友人関係まで、私がかつてこんな風に教えてほしかったこと、今はこんな風に教えているんだという気づきも含め、米国サンノゼでの二人の子育てを通じて実直にリポートしていきたいと思います。