つながる喜びを胸に広い世界へ羽ばたいていってほしい
井上さゆりさんインタビュー[後編]
- 枝廣綾子(Ayako Edahiro)
- Glolea! 世界と出会い、伝えあい、つながる遊び場アンバサダー
皆様こんにちは! 認定NPO法人パンゲア理事/Glolea! 世界と出会い、伝えあい、つながる遊び場アンバサダー枝廣綾子です。世界の子ども達が言葉、距離、文化の違いの壁を乗り越えて、個人的なつながりを感じることの出来る遊び場「ユニバーサル・プレイグラウンド」を構築しているパンゲアの活動。連載7回目の今回は、パンゲア参加者のお母様、フォトグラファーの井上さゆりさんインタビュー後半です。パンゲアの活動の中で非常に重要な役割を果たしている、大人のファシリテーターとお嬢様の交流、それを見つめたお母様としての思いを語っていただきました。
目次
初めて出会う人たちや年下の小さい人たちと一緒になったとき、
ファシリテーターさんはよいお手本に−−
井上さゆり(Sayuri Inoue)さん/フォトグラファー
オハイオ州立大学ジャーナリズム学部卒業後、スポーツ写真エージェンシー、ロイター通信東京支局写真部やフリーランスで写真を撮る。99年にオランダに滞在し、オランダ写真資料館(ロッテルダム)に勤務。東京のオランダ大使館報道文化部で4年間、広報として奉職し、第二子の出産を経て、フォトグラファーとしての活動を再開。
フォトラルーチェ≫
井上:言語と時間・空間の障壁を乗り越えて世界中の子ども達が個人的なつながりを築くための『ユニバーサル・プレイグラウンド』を創るパンゲア。前回のインタビューで、「英語にこだわらないコミュニケーション」がパンゲアの良い点とお伝えしましたが、もう一つの良い点は、参加者の子ども達にとって、お兄さん・お姉さんのような存在であるファシリテーターのあり方です。
井上:パンゲアの活動では、プログラムを進行するリーダーと、活動をサポートする数人のファシリテーターさんたちが毎回来てくださいます。
また、パソコンを利用した活動を手助けする技術者の方々も必ずおり、常にそばで子ども達に関わってくださっています。大学生のお兄さんやお姉さんもいて、ファシリテーターも子ども達もニックネームで呼び合います。
参加者や世界とつながることを助けてくれる
子ども達の強い味方ファシリテーターさん
井上:4月からのプログラム参加にあたり、すでに人間関係ができあがっているリピーター参加者もいる輪の中に初めて入ることに娘は少し不安を口にしていましたが、ファシリテーターの皆さんのおかげでその心配はなくなったようです。
声をかけたり見守ったりしながら、一人にならないように心がけてくださっている様子が見てとれ、娘が楽しそうに話している姿を見て安心してお任せすることができました。
楽しい活動を支える細かな準備と配慮も
井上:これは、個々の意識に任せた場当たり的な対応では決してありません。
パンゲアの写真撮影の時に、スタッフミーティングの段階からおじゃまして準備の様子を見せていただいたことがありましたが、事前の研修で活動の狙いや目的を把握し、早く来所して細やかな点に気配りをしながら準備をしていました。
もちろん、ファシリテーターの方々のフレンドリーで献身的なお気持ちに支えられていることは間違いありませんが、組織としてもサポートする仕組みを導入している点にも感心するのです。
ファシリテーターさんはよいお手本
井上:娘はそんなファシリテーターの方々と一緒に活動できたことも楽しかったことのひとつに挙げていますが、皆さんがどんなふうに接してくださっていたか、中学生になった娘には覚えてくれていたらいいなと思います。
初めて出会う人たちや年下の小さい人たちと一緒になったとき、ファシリテーターさんはよいお手本になるはずで、これも娘にとっては貴重な学びであったはずだと思っています。
思い出の「パンゲアトランプ」
井上:私達のパンゲア参加が終了してから1年が過ぎましたが、娘は最終日にいただいたパンゲアのトランプを今でも大切にしていて、時々見ています。
ケニア、韓国、京都、東京の子ども達がそれぞれの活動中に話し合い、撮った写真や絵を使って製作したもので、「学校」や「給食」などの共通のテーマをそれぞれ4通り見られるようになっています。
「学校」は、娘が通っていた小学校の4階建ての校舎の写真が使われていますが、ケニアの学校は平屋建て。写真を見るだけでも違いがわかっておもしろいもので、トランプを見ながらまだ見ぬ国に思いをはせているようです。
パンゲアの活動が娘に植え付けてくれた国際交流の「種」が、いつどのように花開くかはまだまだ分かりませんが、つながる喜びを胸に広い世界へ羽ばたいていってほしいと思います。そして、少しでも多くの皆さまにパンゲアの活動を知っていただいて、この喜びを分かち合うことができたらと願ってやみません。
枝廣綾子のインタビュー後記
パンゲアの活動のひとつの特徴として、異なる年齢の子ども達や大人との交流活動であるということがあります。頼れるお兄さん・お姉さんとの関係を経験した子ども達は、何か困ったことがあったときには、同年代のお友達だけでなく、誰か年上の頼れる人に相談できる子になって欲しいと願っています。これは現代の社会を生きてゆく上で必須の能力ではないでしょうか。また、その子たちが頼れる大人を見習って、自分もそんな大人になりたいと感じてくれれば、そんな嬉しいことはありません。私もたまに若いボランティアスタッフの方から就職活動の相談など受けますが、嬉しいことですし、悩んだときに大人の意見を聞こうという若者は偉いなあと感心します。このような若い人はきっと会社に入っても上司から目をかけられるでしょうし、その方が絶対に得なのです。パンゲアでボランティアを経験された学生の皆さんは、いわば、言うことを聞かない子どもと要求の高い大人の両方と付き合ってパンゲアの活動を成立させることに貢献してくださった方々であって、この経験はきっと自分らしいキャリア構築で成功することにも役立つのではないかと楽しみに見ています。前回に引き続き、今回も使用させていただいた写真は全て井上さゆりさんの撮影によるものです。ありがとうございます!
− 写真提供: 認定特定非営利活動法人パンゲア
記事をお読み頂きありがとうございました!
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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
- 枝廣綾子(Ayako Edahiro)
- Glolea! 世界と出会い、伝えあい、つながる遊び場アンバサダー
インターネットを利用して、留学しなくても世界の子ども達が出会い、伝えあい、つながることのできる遊び場、「ユニバーサルプレイグラウンド」の研究開発と運営をする認定NPO法人パンゲアの理事をしております、枝廣綾子です。パンゲアには2006年よりボランティアとして関わっており、仕事は、グローバル企業の人事です。