世界各国の子ども達と参加!サマースクールin京都
杉原 麻美さんインタビュー[後編]

枝廣綾子(Ayako Edahiro)
Glolea! 世界と出会い、伝えあい、つながる遊び場アンバサダー

皆様こんにちは! 認定NPO法人パンゲア理事/Glolea! 世界と出会い、伝えあい、つながる遊び場アンバサダー枝廣綾子です。世界のこども達が言葉、距離、文化の違いの壁を乗り越えて、個人的なつながりを感じることの出来る遊び場「ユニバーサル・プレイグラウンド」を構築しているパンゲアの活動。連載5回目の今回は、前回に引き続き、パンゲア参加者のお母様、淑徳大学 人文学部 表現学科 准教授 杉原麻美さんのインタビューをお届けします。昨年8月に実施したサマースクールKISSY(Kyoto International Summer School for Youth)でお嬢様が各国のお子様達と触れ合うことで、どのように変わっていったかということについてお話をお伺いさせていただきました! 

サマースクールで子どもたちが作り上げた
「ケニア、カンボジア、韓国、日本」が手をつなぐ場 

杉原 麻美(Mami Sugihara)プロフィール

杉原 麻美(Mami Sugihara)さん
淑徳大学 人文学部 表現学科 准教授。89年リクルート入社、「ゼクシィ」「赤すぐ」副編集長、「ケイコとマナブ」編集長を経て、14年4月より現職。

淑徳大学人文学部 表現学科 准教授 杉原麻美≫

 

今回は、母親の立場からみたパンゲアでの子どもの様子や変化についてお話させていただきます。

 

私自身は編集者として仕事をしてきた後、現在は大学教員として学生の「伝える力」を育む協同学習について、実践と研究を進めています。仕事上の立場からも、パンゲアでの子どもたちの様子は興味深く、学びのあり方についていろんなヒントをもらっています。

 

世界各国23人の子ども達と手を携えて共同制作!

パンゲア サマースクールKISSY

▲カンボジア、千葉、京都の参加者。国も年齢も異なる子たちもすぐに仲良く。

 

2014年8月。娘は京都で実施されたパンゲアのサマースクールに参加しました。

 

ケニア、カンボジア、韓国、そして日本の子どもたち23人が寝食をともにし、いくつかのアクティビティを楽しみながら、4つのグループに分かれての共同制作を完成させます。

 

制作テーマは

つながると、何かが起きる 

このテーマをもとに自分たちのグループで何を作るかという相談も「げんごろう」という同時翻訳システムを利用して皆で意見を出し合って決めたといいます。

 

それぞれが担当する業務を決め、協業しながらひとつの作品にまとめました。

人間には自分と異なる属性の存在とのコミュニケーションを「楽しめる」能力が備わっている 

パンゲア サマースクールKISSY

▲「げんごろう」(機械翻訳システム)を利用して作品づくりのアイデアを話し合う子どもたち。

 

娘たちのグループには、ケニア、カンボジア、韓国、日本の4つの国の衣裳を着た手づくり人形が並んでいました。そして、その4体の端と端に人が手をつないで微弱電流が流れると、人形が順番に踊りだします。

 

しかも、BGMには各国の代表曲が流れるという演出つき。

 

ケニア用に選ばれた曲は、今回のサマースクールにケニアから子どもの引率でいらしたケニア国立博物館のプログラムディレクター、ダニエル・ミテイさんに教えて頂いた「ハクナ・マタータ(スワヒリ語で「問題ない・大丈夫」という意味)」という曲でした。

 

明るいメロディが印象的で、娘は今でも時折思い出しては口ずさんでいます。

 

作品の最終発表では、子どもたちは会場にいる全員で手をつないでみることにチャレンジ。

 

残念ながら、人数が多いと微弱電流がうまく流れず、最終的には人数を絞っての成功となりましたが、彼らがこの作品に込めたメッセージ「みんなで手をつなぐと、何かがおきる」は、私たち大人にもしみじみと伝わるものでした。

パンゲア サマースクールKISSY

▲「手をつなぐと、何かが起きる」作品の端子から繋いだ手を通して電流が流れると、
音楽が流れて民族衣装を着た人形が踊ります。

▲その場でいた皆で手をつなぎました。さて、電流は流れるか? 音楽が流れて人形が踊るのか? ドキドキ!

▲その場でいた皆で手をつなぎました。さて、電流は流れるか? 音楽が流れて人形が踊るのか? ドキドキ!

 

サマースクールの様子を見ていてつくづく感じたのは

人間には本来、自分と異なる属性の存在とのコミュニケーションを「楽しめる」能力が備わっている

ということです。

 

異なる文化に触れて

違うのが、おもしろい

と感じ、もっと知りたくなり、理解したくなる。

 

そこには評価や上下関係がなく、純粋に「おもしろい」「すごい」「素敵」と思えた部分をリスペクトし合う関係だけがあります。

幼少期に「違い=おもしろい」と経験できることの重要性

パンゲア サマースクールKISSY

▲サマースクールの最後に皆で記念撮影。
言葉も文化も年齢も違う友達と話し合い、役割分担し、協力して作品を完成させることができました。

 

子どもの頃に「違うのが、おもしろい」という体験をもてることは、その後も、他者の良い面をみてそこから学ぼうとする力や、異質な人が集まった中でも協同できる力につながっていくように思います。

 

学校の中という閉じたコミュニティにいると、同年齢、同クラス、同じ地域など、同質ゆえの居心地もある反面、「おもしろい」「すごい」「素敵」の範囲も狭くなり、気づかぬうちに集団内での序列や上下関係にばかり目が向いて、それが集団にいる窮屈さにつながることもあります。

違うのが、いやだ

違うから、嫌い

ではなく、

違うのが、おもしろい

というリアルな経験ができる場として、このパンゲアのような活動が今後もっと広がることを願っています

枝廣綾子のインタビュー後記
昨年のサマースクールで杉原さんのお嬢様のグループが制作した作品の、皆が手をつなぐと、音楽が流れて人形が踊りだすという作品は、選曲や人形の民族衣装など細かい点までよくできていたことを覚えていますが、最終発表のときに、その場にいた全員で手をつなぎたい!と言い出した子どもの様子が特に印象的でした。子どもたちには希望を感じます。

− 写真提供: 認定特定非営利活動法人パンゲア

記事をお読み頂きありがとうございました!

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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー

枝廣綾子(Ayako Edahiro)
Glolea! 世界と出会い、伝えあい、つながる遊び場アンバサダー

インターネットを利用して、留学しなくても世界の子ども達が出会い、伝えあい、つながることのできる遊び場、「ユニバーサルプレイグラウンド」の研究開発と運営をする認定NPO法人パンゲアの理事をしております、枝廣綾子です。パンゲアには2006年よりボランティアとして関わっており、仕事は、グローバル企業の人事です。

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