ニュージーランドの名門ボーディングスクールを通じて知る「未来教育指数世界1位」の学び方…中学・高校留学先にニュージーランドが選ばれる理由 

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グローバル化の進展やAIの発展など急激な変化が進む現代において、子供達が大人になる頃には従来の教育では対応しきれないという危惧を抱いている方も多いのではないでしょうか。

ニュージーランド留学(中学留学、高校留学)を選ぶ世界各国の学生

大学入試改革にも見られるように、生徒一人ひとりが自分で考える能力が必要になるとともに、変化が多く多様な環境に対応できることが必須になってきています。

未来教育指数世界1位のニュージーランド!

世界各国からの移民で形成される多様性に満ちたニュージーランドは、英誌『エコノミスト』で未来教育指数世界1位に選ばれました

 

多分野にまたがるスキル、創造的かつ分析的なスキルなどが評価対象となるこの指数で世界1位になったことからもわかるように、ニュージーランドの教育は生徒の個性を伸ばし、様々な選択肢を与えてくれます。

 

今回は、日本の中学・高校に相当するニュージーランドの「セカンダリースクール」の特徴、そしてボーディングハウス(学生寮)をもつ私立・公立の名門2校の訪問インタビューを通じて、ニュージーランドの教育をレポートします。

「個人の能力」を大きく伸ばすニュージーランドの教育の多様性とその魅力

ニュージーランド全土でのセカンダリースクールは※1 公立校、私立校をあわせて総数は約550校あり、広く留学生の受け入れを行っています

 

なかでも、海外からの留学生に嬉しいボーディングハウス(学生寮)のある学校は、

  • 公立校
  • インテグレイト校※2
  • 私立校

あわせて100校近くあります。

※1:セカンダリースクール:セカンダリースクールとは?  ニュージーランドの教育システムとその特徴…日本の教育制度と何が違う?[From Glolea!]

※2:インテグレイト校:インテグレイト校は、私立学校として創立され、学校運営に関して国の支援を受けている学校。私立校は生徒からの授業料のみで運営されている学校です。

 

留学生は「ホームステイ滞在」か「学生寮滞在」か滞在スタイルを選ぶことができます。

 

私立、インテグレイト校でボーディングハウスのある学校のなかにはイギリスのボーディングスクールの伝統を踏襲し、全人教育を目指す学校運営などイギリスのボーディングスクールと相似形の教育が行われていますが、費用はイギリスの1/3~1/2となっています。

 

また、アメリカやイギリスの私立系学校にみられるような入学難易度の大きな違いは、ニュージーランドの学校にはありません

 

公立校、インテグレイト校、私立校ともに、英語力よりも、本人の学習意欲を重視し認められれば、入学が許可されます。

 

ニュージーランドのセカンダリースクールは通常13歳から18歳(Year9からYear13)までの5年制です。

 

学校や学年によって授業の選択科目は異なりますが、高校の最後2年(Year12、Year13)はすべて自由選択になり、40以上の科目から自分の興味や能力をあわせて科目が選択できます。

 

さらに、学校によっては、ニュージーランド独自のカリキュラムNCEAではなく、国際バカロレア(IBディプロマプログラム)やケンブリッジ国際検定(CAIE)を選ぶこともできます。

 

得意分野や興味のある分野を集中して勉強ができる教育システムは、留学生にとっても、語学力という一生の財産ともに、個々の未来の可能性をぐんとひろげることでしょう。

留学生のための生活保障の服務規程

ニュージーランドでは「留学生の生活保障に関する服務規程※3」を国が定め、留学生を受け入れる教育機関はすべてこの規定に従うことが義務付けられています。

 

ニュージーランド資格庁(NZQA)によって定期的な監査を受けます。

 

留学生に対してフェアで適正な配慮を義務付け、留学生が学校や滞在先について不満を持った場合の苦情や相談窓口を国が定めているのは子どもを海外におくりだす保護者にとって大きな安心です。


※3:留学生の生活保障に関する服務規程2016(全文)[From ニュージーランド資格庁(NZQA)公式サイト/PDF・日本語]

学生寮併設が嬉しいニュージーランドの私立校訪問
女性の未来のリーダーシップを担う教育 クィーン・マーガレット・カレッジ(Queen Margaret College)

ここからは、名門私立女子校伝統ある公立の共学校2校の訪問インタビューを通じて、ニュージーランドのセカンダリースクールの教育とボーディングハウスの様子をレポートしていきます! 

 

一校目としてご紹介させていただくのは、「クィーン・マーガレット・カレッジ」。

 

ニュージーランドの首都ウェリントンにある唯一の私立女子校で、国際バカロレア校として、初等教育プログラム(PYP)から中等教育プログラム(MYP)、ディプロマプログラム(DP)までを提供していることでも有名です。

 

1919年に設立された歴史ある私立女子校で、プレスクールからYear13まで、約700人の生徒が通っています。

 

学校は各国の大使館が建ち並ぶ閑静な地区にあり、土地柄、各国の大使館関係者の子女も多く、日本人留学生は4名在籍しています。

ニュージーランドボーディングスクール留学

▲ジェーン・アン・ヤング校長先生と生徒。一人ひとりに目が行き届く、大きな家族のような雰囲気が魅力のクィーン・マーガレット・カレッジ。日本からの留学生をまねて、ピースサインでにっこり。

ニュージーランドボーディングスクール留学をしている日本人留学生と先生

女子校としての学びに大きな意義があると考えていて、教科の学びに加え、多様な文化活動とスポーツが存分にできる環境、学校内外の活動のなかで、リーダーシップ・スキルを伸ばす教育をしています。

 

今回は、女性の未来のリーダーシップを担う教育を行う「クィーン・マーガレット・カレッジ」 のジェーン・アン・ヤング校長先生にお話をうかがいました。

ニュージーランドのボーディングスクール(寮制寄宿学校・全寮制)の校長

▲「”Passionate Learners, Resilient Woman, Future Leaders”情熱的な学び手であれ、しなやかな女性であれ、未来のリーダーであれ」全校生徒に向けたメッセージの前でほほ笑むジェーン・アン・ヤング校長先生

私たち教員は生徒たちのロールモデルになる必要があります。

 

生徒がどうやって学んだのか理解すること。生徒にどういった影響をあたえているか把握すること。ビジョンの実現を自分だけでなく、他者とともに目指すこと。21世紀の社会にふさわしい教育をあたえること。

 

学校も、生徒と同様に無限の可能性があります。

 

ニュージーランド、そして世界の若き女性への教育をリードしつづけるために常に挑戦しています

ニュージーランドのボーディングスクール(寮制寄宿学校・全寮制)の生徒作品

▲生徒が3Dプリンタで制作したマスコット。生徒は一人一台PCを持ち、クラスの課題や学校からの案内などはPCベースになる。

ニュージーランドのインターナショナル・バカロレア(国際バカロレア/IB)認定校のボーディングスクール(寮制寄宿学校・全寮制)日本からの留学生に対するきめ細かなサポート

▲ビジュアルアートクラスの作品 『壊滅的な美しさ』。使い捨てのレジ袋を使って制作されたドレス。一見美しくみえる海も使い捨てレジ袋によって汚染されていることを警告している

日本式のお風呂があるボーディングハウス

クィーン・マーガレット・カレッジでは、2017年にボーディングハウスを設立。

 

Year9(13歳)からYear13までの生徒が入寮することが可能です。

 

ボーディングハウス(寮)を設立するときに、

お風呂が恋しい

という日本人留学生の声を反映し、日本式のお風呂があるのもこの学校の特徴です。

ニュージーランドのボーディングスクール(寮制寄宿学校・全寮制)日本からの留学生に対するきめ細かなサポート

▲ボーディングハウスは留学生にとっての自分の家。リラックスできる環境をつくってあげたかったというローラ・デビソン先生

ボーディングハウスの生活では、先生だけでなく、日本人チューターも足を運び、生徒一人ひとりをこまやかにサポートする体制を整えています。

ニュージーランドのボーディングスクール(寮制寄宿学校・全寮制)日本からの留学生と個室の様子

▲ボーディングハウスの個室。ボーディングハウスは白を基調し、採光が大きくとられた明るい雰囲気

日本人留学生の声:
授業は大変だけど、サポートがあるから乗り切れる!

東京の立教女学院の交換留学制度をつかってお越しになったRさんとMさん。学校の留学プログラムに応募するために英語を勉強してきたそうです。

選考基準にはパスしたけど、英語の授業についていくのは大変です。でも、みんなが親切に話を聞いてくれるので乗り切れます。先生と生徒の関係が近くて、対等に話をするのが印象的です(Rさん)

渡航する前はやっていけるか不安でしたが、学校でも寮でも先生やチューターが身近にいて困ったことがあってもすぐに助けてくれます。先生は、クラスでも生徒の意見を絶対に否定しないのが特徴かと思います(Mさん)

長期留学できているSさんは

憧れていた獣医さんがニュージーランド出身の先生で、ニュージーランドに留学しました(Sさん)

と語ります。

 

卒業後は、ニュージーランドのオタゴ大学や獣医学科のある海外の大学への進学を希望しているそうで、グローバルに活躍できる獣医さんになりたいと抱負を語ってくれました。

日本からニュージーランドへの留学生

▲先生や先輩が “You can do it“ ”Well done! Good girl! ” って褒めてくれたり、ハイタッチしてくれたり。そういう環境が励みになると言う日本からの留学生

約百年の歴史、文武両道の公立高校 マウント・アルバート・グラマースクール(Mount Albert Grammar School)

2校目としてご紹介させていただくのは、約百年の歴史、文武両道の公立高校 「マウント・アルバート・グラマースクール」です。

ニュージーランドのボーディングスクール(寮制寄宿学校・全寮制)

マウント・アルバート・グラマースクールは、ニュージーランド最大の都市オークランドの中心地から、車で20分ほどのところにある公立高校。1922年に男子校として創立したという、約百年の歴史を持ちます。

 

Year9〜13まで、約3,000人の生徒が通う、大規模な学校です。

 

現在は共学になっていて、男女比はほぼ半々です。ヨーロピアンが4割を占めるほか、先住民マオリが13%、アジア系は23%と、ニュージーランドらしく多様な民族構成になっています。日本人留学生は11人在籍しています。

 

文武両道の高校で、学業でニュージーランドのトップ6校のうちの一つに選ばれただけでなく、スポーツでも全国大会で数多く優勝しています。

ニュージーランドのボーディングスクール(寮制寄宿学校・全寮制)の校長

マウント・アルバート・グラマースクールのフィオナ・バーカー副校長先生にお話をうかがいました。

 

同校ではYear9(13歳)で入学すると、最初の年は幅広い教科に触れるカリキュラムになっているとのこと。そして学年が上がるに連れて、生徒一人ひとりが自分にあった進路を見つけていきます。

これはわが校だけでなくニュージーランドの学校すべてに言えることですが、

  • 自己管理能力
  • 問題解決力
  • 困難からの回復力

…といった重要な能力を、すべての教科を通じて生徒が身につけられるようにしています(バーカー副校長)

英語漬けで友達が増えるうえ、規則正しい生活が送れるボーディングハウス

マウント・アルバート・グラマースクールの特徴の一つが、男子のみのボーディングハウス。

 

高校の敷地内にある寮ボーディングハウスには約120人が暮らします。

 

ボーディングハウスのメリットは、すぐに顔見知りができて、同世代との生活で英語漬けになるということ。ボーディングハウスに滞在している日本人留学のN君に話をききました。

自分はコミュニケーションを取るのがうまいほうではないのですが、寮にたままた同じクラスの子がいて、その子を通じてクラスの友達が増えていきました(N君)

ニュージーランドのボーディングスクール(寮制寄宿学校・全寮制)の生徒たちの様子

ボーディングハウスの中庭にはバスケットコートもあります。

 

英語がたとえ苦手でも、スポーツを一緒にすることで友達が増えていくようです。

 

ボーディングハウスの生活は、安全なのはもちろん規則正しい生活が送れます。消灯時間はYear10までの生徒は21時40分、Year11以上でも22時10分とかなり早め。

 

朝は6時半に起きて寮生全員がランニングをするそうです。

ニュージーランドのボーディングスクール(寮制寄宿学校・全寮制)の個室の様子

ラグビーをやっているという、日本人とNZ人の両親をもつ生徒さんの部屋を見せてもらいました。

 

部屋の中は、きれいに整頓されています。

 

ときどき先生の見回りがあって、散らかっていると注意されるそうです。最上級生は個室ですが、Year12以下は基本的に二人部屋。色々な人との生活をうまくやっていくことを自然と学んでいく環境のようです。

日本人留学生の声:○X式のテストじゃない。自分の意見を持つようになる

日本からニュージーランドへの留学生
2月から留学しているH君は、現在17歳でYear12。

ニュージーランドに来る前は英語を全然勉強していなかったので、最初の2〜3週間は大変でしたね。今は寮に入っていますが、当時はホームステイをしていて、ホストマザーやファーザーの名前もすぐには覚えられなかった。クラスの生徒の名前も聞き取れないし(H君)

それでも、来た当初は学校に日本人がいなかったので自分から積極的に英語を話すしかなかったそうですが、一人友達ができればそこから次々に友達が広がっていきましたとのこと。

それでスピーキングは上達したと思います(H君)

都内の中高一貫の進学校に通っていたN君は、中学3年生のときに留学してきました。現在15歳でYear11。また中学生だったということで、安全面を重視して留学先はニュージーランドを選んだとのこと。

治安の良さは日本と変わらないですね(N君)

日本では文法や単語中心に英語を勉強していてスピーキングは全くやっていなかったので、英会話力はニュージーランドに来てからぐんぐん伸びたそうです。

日本とニュージーランドの教育の違いについて聞いてみると、

自由。ニュージーランドの教育が好き(H君)

テストも、○Xじゃなくて自分の書いた内容を見てくれる(K君)

選択科目の自由さ、評価されるポイントが一律ではないことをあげ、自分に合っていると感じているようです。

 

10月から留学しているYさんは、

自分の意見を書かなきゃいけないことが多いから、日本にいるよりも自分の考えを持つようになった。プレゼンもしないといけなくて、最初はすごく難しかったし、すごく苦労した。でも、将来役に立ちそう(Yさん)

文系科目以外の理科などでも自分で長文を書かないといけないので、英語が苦手だときつい。でも長文を書く練習になる(N君)

N君はこの冬、元の日本の高校に戻るそうですが、

ニュージーランドの授業は暗記だけじゃない。自分で考える事が必要。日本だけで勉強していると、日本の授業が当たり前と思ってしまうから、日本とニュージーランド、両方の教育を知れたのはよかったと思う(N君)

と語ります。

日本は取れる科目がほとんど決まっているけど、こっちの高校は選び放題。自由なのが気に入っています(K君)

と語るK君は、フード&ホスピタリティという授業を今とっていて、将来はホスピタリティの仕事に付きたいと思うようになったそうです。

変容する未来の社会で生きる力を身につける

世界各地からの移民を惹きつけ、ダイバーシティ=多様性を尊重すること、違いから学ぶことに未来の可能性を築いているニュージーランド

 

一人ひとりのチャレンジ精神を尊び支援する環境は、幼児教育から一貫して重んじられる価値観「自立した学び」への支援と対になっており、ニュージーランドの教育のキーワードになっています。


取材協力:

  • ニュージーランド大使館 エデュケーション・ニュージーランド(ENZ)
  • ニュージーランド航空

記事をお読み頂きありがとうございました!

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