今、ボーディングスクールに注目が集まる理由…英語で学ぶ本格的なグローバル教育の国内動向
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加速するグローバル&AI化する時代に向けて、注目度が高まっている世界で通用する英語力&スキルを伸ばす教育スタイル。「ボーディングスクール(寮制の寄宿学校)」「国際バカロレア(IB)コース」、「インターナショナルコース」「バイリンガルクラス」…等、今 日本各地・世界各国でひろがりはじめている教育改革の最前線を特集します。
「グローバル化」「AI(人工知能)化」がより一層進み、激変する3年後、5年後、10年後、20年後の未来とその社会を見据え、今教育にも大きな変革が求められています。
加速するグローバル&AI化する時代、今後の未来予測として、
「2011年度にアメリカの小学校に入学した子供達の65%は、大学卒業時、今は存在していない職に就くだろう」
– Cathy N. Davidson教授/米国デューク大学[出典:2011年The New York Times]
「私たちの推定によると、アメリカの総雇用者の47%の仕事が今後10〜20年程度で自動化されるリスクが高い」
「今後20年で、現在アメリカにある雇用の半分が、コンピューターにより取って代わる可能性が高い」
Michael A. Osborne准教授 Carl Benedict Frey博士/英オックスフォード大学
[出典: 2013 論文 THE FUTURE OF EMPLOYMENT: HOW SUSCEPTIBLE ARE JOBS TO COMPUTERISATION?]
…という発表も世界に衝撃を与えており、また、既にAI(人工知能)が人間の能力を凌駕する分野も出てきている中、子供達が大人になる時代に思いを馳せると、私達、現役ママ・パパ世代には想像もできないような未来の社会が世界に訪れていることが予想されます。
世界をとりまく想定を超えた変化に加え、日本は世界に先駆けて急激な人口減少・少子化・異次元の高齢化が進行しているという特殊事情も持ち合わせています。
急激に縮小する日本市場。人間の仕事の多くがコンピューターに取り変わる未来。
世界中の人・モノ・お金・情報…等、様々な文化・価値観が国境を超えて流動化し、かつ、時空を超えて網の目のようにつながる時代において、世界で通用するコミュニケーション力&スキルを子ども時代から備えるための教育への重要性はより一層高まっています。
今回の特集では、加速するグローバル&AI化する時代に向け、注目度が高まっている、世界で通用する英語力&スキルを伸ばす「ボーディングスクール(寮制の寄宿学校)」や、世界中から熱い注目が集まる「国際バカロレア(IB)認定校」、「インターナショナルコース」「バイリンガルクラス」…等を設置する学校の盛り上がりと世界各国の教育動向について3回特集を通じてお届けします!
特集第1回目となる[前編]では、英語で学ぶ本格的なグローバル教育の国内動向として、今「ボーディングスクール」に注目が集まる理由を探りました。
目次
機械と人間の境界がなくなる!?
グローバル&AI時代に求められる教育のあり方とは?
▲書籍「What School Could Be(学校の可能性)」の著者であり、ドキュメンタリー映画「Most Likely To Succeed(成功に一番近い教育とは)」プロデューサー ディンタースミス氏制作の動画「The Future of Work: Will Our Children Be Prepared?/仕事の未来」
私達人類は、これまで『農業革命』『産業革命』『情報革命』という、3つの大きな社会構造における革命を経験してきましたが、その流れの中で教育の世界も大きく変化してきた過去があります。
そして、今、目の前に迫るモノのIoT・ビッグデータ・AIで加速する『第4次産業革命』に向けて再び教育のあり方が変わり始めています。
と語るのは、The International School Times 編集長であり、GLOBAL STEP ACADEMY INTERNATIONAL SCHOOL(東京都・立川市)を運営する村田学さん。
この「第4次産業革命」に向けて、政府も対応策を練り始めています。
「第4次産業革命」とは? 第4次産業革命までの流れ
- 第1次産業革命:
18世紀末に訪れた水力・蒸気等を利用した工場の動力利用による機械化
- 第2次産業革命:
19世紀後半〜20世紀前半、電気・石油・科学・鋼鉄による大幅な技術革新により工場による大量生産が実現。
- 第3次産業革命:
日本の高度経済成長期と同時期に、電子工学・情報技術が産業に応用。コンピューターが登場し様々な自動化が実現。
- 第4次産業革命:←現在進行系で時代はこの渦中にいます!
AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、ロボティクス、バイオテクノロジーなどの新技術が急速に進化している時代を指し、私たちは現在その真っ只中にいる状態。この革命は、産業や経済、社会における生産性向上や効率化だけでなく、働き方や生活の質、価値観にまで大きな影響を与えている。第3次産業革命を凌駕する技術でオートメーションが進み新たな社会的価値の創造が促進される。
すでに「国境」「人種」「年齢」「性別」「業界」「組織」…等、あらゆる境界線が曖昧な社会になりつつありますが、この、「第4次産業革命」の進行により、ボーダレス化がより進行。
これまで私達人間が行っていた労働がAIやロボットによる補助や代替がすすむ「超スマート化社会」がはじまっています。
機械と人間の境界すら曖昧になる時代が近い未来に実現化されるとみられるため、各国教育機関、専門家が来る時代に備えた人材育成を急務と警鐘をならし、教育改革に向けた動きが続々と出てきています。
AIに仕事が奪われる?!超スマート社会に備えた教育に向けた見直しが行われる中で注目度が高まる「ボーディングスクール」
AI・グローバル化がより進行する、超スマート社会ではどのようなスキルが必要とされ、どのような教育が重要になってくるのでしょうか。
AIが苦手なものは、感情・倫理・道徳です。機械と人間の境界すら曖昧になっていく時代の中で、私達人間だからこそできることをより一層注視していくことがこれからの教育を考える上で大切になってきます。
では、人間だからできることとはどういうことでしょう。それは、世界的で地域的な文化理解と幅広い人脈を持ち、AIを生み出す側の人間として高い教養と倫理、哲学を持つこと。
国境・人種・年齢・業界・組織…すべてを超えて人と人の間を豊かな人間力でネゴシエーションできる人となることです。
これからの教育は、このような時代を見越して、AIやロボットには代替されない人間的な生き方、課題解決、価値創造について考えることが重要になってきます。
と、村田氏は続けます。
このような変革の時代に向けて、日本でも改めて注目されているのが、世界各国の子供達が集まるインターナショナルな環境に浸りながら学ぶスタイルです。
中でも、今、日本各地で英語&国際性を重視した画期的な「ボーディングスクール(寮制の寄宿学校)」設立の動きが広がってきており期待が高まっています。
世界で通用する英語力&スキルを育む国内「ボーディングスクール」&「国際バカロレア(IB)プログラム」のひろがり
広島県、瀬戸内海の中央に位置する大崎上島。穏やかなこの島が、日本の国際教育、日本の教育改革の旗手として今、大きな話題となっています。
広島県は、この大崎上島に多国籍・異年齢の共同生活を行う「広島叡智学園中学校・高等学校(英語名:Hiroshima Global Academy 以下、HiGA〔ハイガ〕/広島県・大崎上島町)」を全国に先駆けて県立の中高一貫の全寮制ボーディングスクールとして2019年に開校しました。
HiGAは「社会の持続的な平和と発展に向け、世界中のどこにおいても活躍できるリーダーを育成」することを目標に、中学1年生から親元を離れ、6年間にわたる学校生活・寮生活を通じて、インターナショナルな環境下で仲間と共に学び、共に成長していく中高一貫校として開校しました。
中高一貫校のHiGAでは、中学校1学年当たり40人が新規入学生であるのに対し、高校からの留学生と帰国生を合わせた受け入れ人数は1学年当たり最大20人となっており、留学生・帰国生比率の高い構成が特徴。
また、「より良い、より平和な世界を築くことに貢献する、探究心、知識、思いやりに富んだ若者の育成」を基にした教育を実践することで世界的にも注目されている国際バカロレア(IB)プログラムの認定校となりました。
※認定時期:2020年10月(IB・MYP)、2021年(IB・DP)
海外の大学にも進学できるような、生きた英語力の習得を目指し、中学1年生〜3年生にかけて、各教科を段階的に英語で学ぶ移行期とし、高校からは本格的に全ての教科を英語で学ぶカリキュラムが組まれています。
通常、世界ではこういった学校に通うにはとてつもな費用がかかり、ごく一部の富裕者層の生徒しか通えない。それを公立の学校として経済格差が教育格差を産まないように広島県が英断した。
とコメントするのは 国際バカロレア日本大使/東京インターナショナルスクール理事長の坪谷 ニュウエル 郁子さん。
HiGA 初代校長 林史先生は、
広島県立の中高一貫校として開校するHiGA。生徒の皆さんには、学校生活を通じて「自分はどう生きるのか」ということを考えてもらいたい。
と、語ります。
実は今、HiGAだけでなく、私立校を中心にインターナショナルな環境&様々な科目を英語で学べる
- ボーディングスクール(寮生の寄宿学校)
- 国際バカロレア(IB)認定校
- インターナショナルコース設置校
- バイリンガルクラス設置校
…等の設立が日本各地で行われています。
2018年に理工系リベラルアーツの全寮制ボーディングスクールとして開校した「国際高等専門学校(英語名:International College of Technology, kanazawa 以下、ICT/石川県・白山市)」は、高校1〜2年次の学生・教員・スタッフが白山麗の大自然のに囲まれた寮にて生活をともにしながら、学習や課外活動に取り組みます。
サイエンス&テクノロジーを英語で学ぶ「English STEM教育」が大きな特徴のICTは、数学・理科・情報…等、大部分の科目を英語で学び、3年次は全員がニュージーランドにホームステイしながら留学。4〜5年次には金沢工業大学の大学生と共に、高度なEnglish STEMを学び、グローバルな進路も視野にグローバルイノベーターを目指します。
2020年には、日本初となる小学生(1年生~6年生)向けの全寮制ボーディングスクールとして、英語イマージョン実施の一条校として神石インターナショナルスクール(広島県・神石高原町)が開校。
また、2022年には、英語で学ぶ国際バカロレア(IB)で学ぶ中高一貫校を目指し、白馬インターナショナルスクール(長野県・白馬市)が開校しました。
既に、卒業生を出し大学進学実績を挙げている、日本初の高校生向け全寮制インターナショナルスクールの一条校として開校されたユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン(英語名: UWC ISAK Japan/長野県・軽井沢町)。
2017年にはISAK〔アイザック〕第1期生(世界21カ国・地域より52名)が、また2018年にはUWC ISAK Japanとして初の卒業生(世界23カ国・地域より57名)を輩出。これを皮切りに、毎年卒業生はアイビーリーグと呼ばれるアメリカの名門私立大学や、近年注目を集めているミネルバ大学をはじめ、ヨーロッパ、中東、日本の名門大学への進学したり、同級生と起業するものなど進路も様々で世界に向けて活躍を広げています。
国内ではいち早く国際バカロレア(IB)を軸とする、世界トップレベルの教育プログラムを採用したことも大きな関心を呼び、主体的に行動して社会に変革をもたらす“チェンジメーカー”の育成を目指しているUWC ISAK Japanの卒業生は、今後の社会での活躍が大きく期待されています。
国際バカロレア(IB)とは?
国際バカロレア(IB)は「海外大学へのパスポート」と比喩されるほど、世界的に多くの教育機関で認められている国際的な大学入学資格につながる教育プログラムです。
現在、ハーバード大学やオックスフォード大学…等の各国名門校をはじめとし、世界75か国約2500以上の大学で「入学資格」や「受験資格」として認められている国際バカロレア(IB)の認定書(ディプロマ)。
国際バカロレア機構(IBO)に登録された認定校にて指定のカリキュラムを履修後、所定の成績をおさめて国際バカロレア資格(IB Diploma)を取得すれば世界各国の大学に自分の能力を証明できることになるのです。
実は、ここ数年、海外大学だけでなく、東京大学・京都大学・慶應義塾大学、早稲田大学…等の日本国内の大学においても国際バカロレア(IB)のディプロマスコアを用いた、通称「国際バカロレア入試」が広がってきていることもあり、より注目度が高まってきています…… ≫ 続きを読む
[出典:国際バカロレア(IB)- 海外大学進学や日本の大学入試にも使えるってホント!?世界に広がる国際標準の教育プログラムの魅力とその広がり From Glolea! [グローリア]]
従来型の国内インターナショナルスクールと、新設スクールとの大きな違いは日本の卒業資格を得られること!
日本の卒業資格が得られない…従来型のインターナショナルスクール
外国籍の子供達を主な入学対象としている従来型のインターナショナルスクールの場合、日本の学校法では各種学校もしくは無認可校と規定されるため、日本人の児童が通ったとしても一部の学校以外は、日本の卒業資格は得られません。そのため、一般的な日本人家庭の子供達が入学・卒業するには大きなハードルがありました。
新設校の多くは日本の卒業資格取得ができることも大きな魅力
インターナショナルスクールの全寮制高校として、はじめて日本の学校法における一条校として認められたUWC ISAK Japanの開校をターニングポイントに、現在、日本各地でも開校が次々と進んでいる
- 教科横断の探究型学習プログラム採用
- キャンパス内の国際性と国際交流
- 英語イマージョン教育
国語以外の科目を英語で学ぶ教育。主に、授業やキャンパス内のコミュニケーションが英語で行われる。[イマージョン(Immersion)=浸すこと]。
…等を実施する学校群の多くは、日本の卒業資格を取得できる一条校での開校を目指しています。
※入学をご検討されている学校が一条校として設置・認可されているかどうかは各学校にご確認ください。
日本の文化に日々触れながら、日本人ならではの感性を育むと同時に、世界とのコミュニケーション力、AI時代にも自分らしさを発揮してしなやかに生きるスキルを習得する。
インターナショナルな学習環境や、様々な教科を英語で学ぶことを叶えながらも、日本の学校卒業資格も取得できる。
そんな学校が、上記に挙げたようなインターナショナルな環境で学べる「ボーディングスクール(寮制の寄宿学校)」をはじめとし、“英語で学ぶ”ことや在学中の留学を積極的に推進する「インターナショナルコース※」、世界共通の大学入試資格とそれにつながる小・中・高校生向けの教科横断の探究型学習プログラム「国際バカロレア(IB)コース※」設置校、実践的な英語教育に力を入れている「バイリンガルクラス※」設置校などが、大都市圏を中心に増加しているのです。
※学校によりコース・クラス名称は異なる
また、日本政府も、急速にグローバル化が加速する現状を踏まえ、社会課題に対する関心と、深い教養、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素養を身に付け、将来、国際的に活躍できるグローバル・リーダーを高等学校段階から育成する「スーパーグローバルハイスクール(SGH)」を指定し、英語教育を重視したカリキュラム、英語を母国語とする教員の採用、海外留学できる学校の充実化に努めています。
このように、政府による様々な後押しもあり、公立校・私立校…様々な学校が本格的なグローバル・AI時代に向けた教育方針を掲げ始めているのです。
今、ボーディングスクールに注目が集まる理由…英語で学ぶ本格的なグローバル教育の国内動向:まとめ
今、目の前に迫るモノのIoT・ビッグデータ・AIで加速する『第4次産業革命』に向けて、世界各国で新時代の教育のあり方について議論が活発に行われている中、これまでの日本では考えられないような、キャンパス内の高い国際性を重視し、授業やコミュニケーションを英語で行うイマージョン教育を本格的に導入するような一条校のボーディングスクール(寮制の寄宿学校)が開校するなど日本国内の学校教育にも大きな変革の波が押し寄せています。
お子様の進路を本格的にご検討される際には、来る時代に向けてどのように教育プランを考えていくかを中長期的な視野で親として検討すると共に、ぜひ
これからどんな未来が来るだろう? どんな時代になっていくのだろう?
あなたは、その未来の社会でどのように活躍したいだろう?
と、お子様ご自身が自分の未来を想像し、どんな学校でどのように学びたいか、自らの進路を主体的にクリエイトするきっかけとなるような対話をセッティングしてみましょう。
人生100年時代と言われる今。
実は、子供達だけでなく、現役で働くパパ・ママ世代にとっても、加速するグローバル化やモノのIoT・ビッグデータ・AI…等で革命的に急変する世界を視野に、自らのキャリアプランを更新したり、人生設計をしていくことは非常に重要です。
ぜひ、本特集を一つのきっかけに、家族みんなで新しい時代に一人ひとりがどのように生きていきたいのかを、進路やキャリアプランを話し合う中で、わくわく想像する時間をつくってみていただければと思います。
次回のグローバル・AI時代到来!世界で通用する英語力&スキルを育む学校とその選び方特集[中編]では、アジア各国でも注目度が高まるボーディングスクール事情と、実際に海外のボーディングスクール在学中の生徒&ボーディングスクール卒業生として世界をポジティブにつなぎ活躍する子育て中のママのインタビューをお届けします。お楽しみに!
[特集]グローバル・AI時代到来!世界で通用する英語力&スキルを育む学校とその選び方
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