子連れマレーシア移住って実際どう!?現地ママに聞く長期マレーシア親子留学・母子留学・教育移住のポイント〈ロングインタビュー〉
- 内海 裕子 (hiroko utsumi)
- Glolea! [グローリア]編集長
グローバル化する社会の中、教育をテーマにした記事や各種報道などで、マレーシア親子留学・母子留学・教育移住という言葉がメディアを賑わせることが増えてきています。
では、実際に子連れマレーシア移住を決断されたママ達は、どのようにマレーシアを選び、マレーシアで暮らしながらどのようにお子様方の進路を考え、成長を感じているのでしょうか。
Glolea![グローリア]編集部は、今、教育移住の地として話題の国であるマレーシアの中でも、首都クアラルンプールへ飛び。マレーシア国内で唯一カナダ・オンタリオ式の教育プログラムを取り入れているクアラルンプール近郊にある「Sunway International School」という現地インターナショナルスクールにお子様を通わせている2人のママ達に、現地でリアルな子連れマレーシア移住&教育事情についてお伺いしてきました。
目次
- マレーシア子連れ移住のきっかけは夫の仕事でした
- マレーシアの人々が幸せそうに生きている姿に惹かれて気がついたらマレーシアが好きになっていました
- 日本での夫の仕事はハード&仕事をしながらのワンオペ育児&家事で私も参ってしまって…
- 娘2歳、ゼロからのマレーシア転職活動!
- 子供は日本人学校入学からのスタート
- 進路選択は子供自身が考えて決断するよう常に促しています
- 日本の高校を親子で見学後、娘は日本の高校進学を選んだのですが…
- 日本の高校進学を目指して入試対策!日本の高校進学を目の前にして…
- 英語学習フォローのあるインターを視察し学校選びをしました
- インターでの勉強は「プラクティカル!」子供達はとにかく忙しくて大変です
- 未来の社会で活躍する子供達の素養を鍛える「プラクティカル」な学び
- 日本語力がカギ? 英語力ゼロ&海外経験ゼロから長期親子留学をするのであればいつがよいタイミング?
- いっそうのこと小学1年生から海外移住&インター進学という選択肢も
- 小学生高学年以上のお子様の場合は本人の意志を尊重するのが最も大切!
- インターに通い始めたら子供はすぐに英語が喋れるようになる…なんてことはありません
- 自らの意思で選択することがツラくても最後まで頑張りきれる力に
- インターナショナルスクール進学後の日本語キャッチアップは年齢次第
- ゼロからのマレーシア移住・長期親子留学・母子留学の場合はエージェントに頼む人も
- 海外でも、日本でも…子供はどの国でも活躍できるチャンスが拡がっていると感じられるように
- 長期の海外生活では「自ら選んでここにいる」という感覚が重要
- マレーシアは包容力のある国 様々な教育の選択肢があることも魅力だと思います
- 関連リンク
マレーシア子連れ移住のきっかけは夫の仕事でした
Interviewee Profile
古角さん(お子様:長女16歳、長男12歳)
2児の母。ご長女が2歳のタイミングでマレーシア移住準備を開始し、マレーシア在住歴約15年。ご長女は現地ナーサリーを経て、幼稚園年中より日本人幼稚園へ。現地日本人学校の初等部を卒業後、中学1年生からマレーシアのインターナショナルスクールへ進学し現在3年目。マレーシア生まれのご長男は幼稚園から小学6年生まで日本人学校に通い、小学6年の7月からインターナショナルスクールへ転校。
山下さん(お子様:長女16歳、長男13歳)
2児の母。ご長女が小学6年生、ご長男が小学3年生のタイミングで日本からマレーシア移住し現在5年目。マレーシア移住直後は日本人学校に通っていたお子様方はマレーシアのインターナショナルスクールへ進学。
——— お二方はそれぞれマレーシア暮らし何年目でいらっしゃいますか?
古角 マレーシアに来て、もうすぐ15年目に入ります。
山下 私は今年で5年目です。
——— マレーシアに家族で移住しようと思ったきっかけはありましたか?
山下 我が家の場合は、主人に対してマレーシアでの仕事オファーがあったのがきっかけです。
夫はアメリカ留学時代に、“英語を使って勉強する”という苦労を味わっていることもあり、私達は子供時代の海外経験や、英語で学ぶ環境づくりに対して前向きでした。
いずれ良いタイミングがあったら子供達には海外で学ぶ経験をさせてあげたいね
と夫婦で話し合っていたので、これは子供の教育面でも良い機会だということで、家族全員でマレーシアへ移住することを決断しました。
さて、ではどのタイミングでマレーシアへ行こうかという話の中で
中学生をすぎてから海外に出るのはちょっと勉強面でハードルが高いかもね…
という話になり、小学校の最後の学年はチャンスととらえ、お姉ちゃんが小学6年生、弟が小学3年生になるタイミングでマレーシアへ来ることにしました。
▲マレーシア・クアラルンプールへは日本の各空港(羽田・成田・関空・千歳)から直行便で約7〜8時間程度の距離感。赤道に近い国のため、南国らしい景色のある都会の風景が広がります。
——— 古角さんファミリーの場合はどうですか?
古角 元々は、夫の仕事関連で8か月間のマレーシア研修があり、それにくっついて来たのがはじめてのマレーシアでした。まだ子供が生まれる前の話です。
実は、はじめてこちらに来た当初は
はやく日本に帰りたい…!
と思っていました(笑)
我が家の場合、マレーシアにこんなに長く住むつもりは全くなかったんです。はやく日本に帰りたいと思っていたので、8か月間の研修後にすぐに日本へ帰りました。
でも、実際にマレーシアでの暮らしを経て、その後、日本での生活を再び始めてみてから「やっぱりマレーシアに住みたい!」と大きな心境変化がありまして。
結局、マレーシア移住してからそろそろ15年目に突入します。
マレーシアの人々が幸せそうに生きている姿に惹かれて気がついたらマレーシアが好きになっていました
——— 「はやく日本に帰りたい」というところから「やっぱりマレーシアに住みたい!」と思うまでにどのような心境の変化があったのでしょうか?
古角 8か月滞在したマレーシア。自由でのんびりしていて、みんな幸せそうに生きているな〜と。気がついたら、マレーシアという国を好きになっていました。
当時仲良くなって今でもお付き合いのあるマレーシア在住のご夫婦(マレー人のご主人と、インドネシア人の奥様)も、マレーシアですごく幸せそうに生きていらして。
そのカップルのマレーシアでの生き方や雰囲気を当初から「いいな」と思っていて。こういう生き方や環境づくりは、私のおかれている今の環境ではとうてい作れないなと思いました。
日本での夫の仕事はハード&仕事をしながらのワンオペ育児&家事で私も参ってしまって…
古角 また、一方で、8ヶ月間のマレーシア研修後、日本へ帰国した主人の仕事はとても忙しく、当時は夜の12時過ぎに会社から帰ってきて、また、始発で会社に行って……ということを1年間、平日はずっと休みなく繰り返していました。
そのため「これじゃ、私達の暮らしも人生もない…」という感じでした。
また、子供が誕生してからも、家には主人が全然いない状態が続き、産後の生活は私一人で家事・育児・仕事とずっとやっている状態で、ちょっとノイローゼ気味になってしまったんです。
その後、私は会社を休職することに。「これからどうしよう…」と思っていた矢先に、主人が
また、マレーシアに行く?
と聞いてくれて。
その時は、即答で
行く!
と伝え、家族みんなでマレーシア移住の準備をはじめたのです。
娘2歳、ゼロからのマレーシア転職活動!
——— 古角さんのご主人はマレーシア駐在で再びマレーシアで仕事をすることになったのですか?
古角 いえ、駐在ではなく、ゼロからのマレーシア転職活動を経てこちらに来ることになりました。
当時、主人は日本で日本企業に勤めていたので、マレーシア現地の人材紹介会社を通じ転職活動をはじめ、マレーシアでの職探しをしたんです。
最終的に、マレーシアでの仕事が決まってから、日本の家も全て処分してマレーシアへ。娘は当時2歳でした。
子供は日本人学校入学からのスタート
——— お二方、マレーシアに移られてすぐのお子様の学校はどうされたのですか?
古角 マレーシア移住し、当時2歳だった長女は現地ナーサリーへ入学。その後、幼稚園の年中さんから現地日本人学校に転入し、小学6年生まで日本人学校に通っていました。
しかし、日本人学校は中学校までで高校がないので、
「どこかのタイミングで、マレーシア現地のインターナショナルスクール入学も視野に検討しなければならないな…」と思っていました。
はじめは、日本人学校の中学を卒業して、高校からインターナショナルスクールに入学するのがいいかなと思っていたのですが、実際に、マレーシアでインターナショナルスクールにお子様を通わせているママ達が
英語力などのキャッチアップに最低3年はかかり、そこからようやく本当に勉強できるレベルになるから、高校から入学するのでは慣れた頃に卒業を迎えてしまうのでそれでは遅いと思うよ
と教えてくれたのです。
進路選択は子供自身が考えて決断するよう常に促しています
古角 マレーシアの日本人学校に通う娘の進学に関する選択肢は2つ。
- マレーシアのインターナショナルスクールに中学もしくは高校から進学
- 日本人学校の中学卒業後、日本に帰国し、寮のある日本の高校に帰国子女として進学する
というものでした。今考えられる選択肢と情報を娘にそのまま伝え
あなたはどうしたい?
と本人に聞きました。
まだ、娘が小学5年生の段階での選択ということもあったのでしょうか
高校から寮で暮らすのはイヤだ。中学校からマレーシアのインターに進学したい
ということだったので、インターナショナルスクールへの進学に向けて英語の勉強をしはじめ、中学1年生からインターナショナルスクールに入学ました。
日本の高校を親子で見学後、娘は日本の高校進学を選んだのですが…
古角 その後、中学2年生のタイミングでもう一度、今後の進路についての選択肢について娘に
- 帰国子女枠で日本の高校受験をして、寮のある日本の高校に進学したい?
- それとも、このままマレーシアに住み続けてインターナショナルスクールに進学したい?
と問い、彼女自身に高校からの進路も選んでもらいました。
その際は、実際に見てみないと判断しにくいと思い、日本の進学先として検討していた高校も彼女と一緒に見学しにも行きました。
その結果、本人の意志として
中学卒業後は日本の高校に進学したい
という気持ちを伝えてくれたので、
それでは、日本の高校入試の準備をしようね!
ということで、入試に必要な点数を上げるためのTOEFL iBT®対策の勉強をはじめました。
日本の高校進学を目指して入試対策!日本の高校進学を目の前にして…
古角 我が家の娘の場合、2歳からマレーシア暮らしが始まったので、彼女の中で日本への憧れは強く「一度は日本に住んでみたい」という気持ちも大きかったようで、日本の高校への進学したいという気持ちを後押ししたのではないかと思います。
勉強をはじめて、TOEFL iBT®のスコアも日本の帰国子女枠の高校入学要件を超えてきたので
じゃ、日本の高校に進学できるね!
と、現実的に日本の高校へ進学できる事になり始めてから、だんだん娘の日本の高校進学へのトーンが下がってきてしまって
やっぱり、日本の高校進学はやめようかな…と思ってる
という話に。
最終的には子供が
マレーシアのインターに進学したい
と自ら選択して、結果的にマレーシアのインターナショナルスクールに高校進学しました。
——— 日本の高校進学を希望していた娘さんのトーンが最終的に下がってきてしまった理由はどこにあったのでしょうか?
古角 最初は
日本に行きたい! 高校から日本に行けるの嬉しい! ヤッター!
と思っていたところから、いざ日本の高校に進学できることが現実的になってきた時「日本でやっていけるのかな…」「親元離れていくのか…」と、色々なことが現実的になってきて。
最終的には「やっぱり、マレーシアのインターに進学したい」と娘自身の決意が固まっていったという形だと思います。
——— 山下さんファミリーの場合はマレーシア移住後どのように学校探しや進路選択をされてきましたか?
山下 私達も、マレーシアに移った当初は姉弟ともにマレーシアの日本人学校に通っていました。
しかし、私達の場合は、夫の仕事の関係でマレーシア生活は長くなるだろうということは分かっていたので、長女が中学生に上る前に
- 中学校もこのまま日本人学校に進学し、その後日本の帰国子女枠で高校進学、日本の大学受験をしたい?
- インターナショナルスクールに中学から進学し、インターで6年間勉強した上で、大学受験をしたい?
と、子供にこれからの進路の大きな2つの可能性を伝え、我が家も、今ある選択肢の中から自分で進路を選んでもらいました。
本人も色々悩むところはあったようですが、
中学校からインターナショナルスクールに進学したい
という希望だったので、中学1年生からインターナショナルスクールに入学しました。
逆に、下の弟は、マレーシア移住後すぐに本人から
インターナショナルスクールに通いたい
という希望を伝えてきたので小学3年生からインターナショナルスクールに入学。
結果的に、現在2人ともインターナショナルスクールに通っている状態です。
英語学習フォローのあるインターを視察し学校選びをしました
——— 山下さんファミリーの学校選びのポイントは?
山下 マレーシア移住当初、長女は英語が全然できなかったので
英語のフォローがある学校じゃないと、授業についていけないだろうな…
ということで、英語のフォロー体制がしっかりしている学校をいくつか見学させてもらいました。
まずは、先に親が学校視察をし、その後、子供も一緒に視察と二段階で視察しました。
クアラルンプールや、クアラルンプール近郊には、
- イギリス系
- アメリカ系
- オーストラリア系
- カナダ系
…等、様々なインターナショナルスクールがあり、それぞれ学校のカリキュラムも方針も教育に対する姿勢も雰囲気も違います。
また、同じイギリス系と言っても、学校によってカラーや方針が違うので、学校見学をしてみて実際にスクールの様子を知ることは大切だと思いました。
インターでの勉強は「プラクティカル!」子供達はとにかく忙しくて大変です
——— 実際、インターナショナルスクールに通っているお子さんのご様子はどうですか?
古角 インターナショナルスクールに通う子供達はとにかく忙しそう! というのが母から見た印象です。
こちらの学校ではプラクティカル(現実に即した)な勉強をするので、宿題自体も1+1=2といった答えが既に用意されている勉強ではなく、抽象的な課題を与えられることが多いのです。
山下 抽象的な課題に対する答を自分で考えて、具体的にエッセーなどに英語で書いてまとめるという作業が本当に多い。
例えば
自由に、描きたいように絵を描いてきていいよ!
と先生から言われて
やったー! 好きなように絵が描ける♪
とルンルン気分で、自由に絵を描いたら、その後、先生からの宿題で
では、なぜあなたはこの絵をこのように描いたの? それをエッセーにまとめてきてね!
と、自分が絵を描いた心の動きを振り返りながら考察するという「リフレクション」をし、それを文字に起こして提出することを求められるのです。それも、もちろん英語で!
古角 そうそう。社会科でもそうですし、科学や物理の実験でも、何かを作って改善してというのを繰り返すプロセスの中に必ずリフレクションがあり、それをエッセーにまとめるということが、一連の流れとして全ての教科で繰り返されていくんです。
未来の社会で活躍する子供達の素養を鍛える「プラクティカル」な学び
——— ちなみに、学校の宿題や勉強を、親としてサポートしたりするのですか?
古角 私が受けて来た教育とあまりにも違いがあり、また、英語も学校システムも私自身が分からなかったので、長女の勉強や宿題を見るなどのサポートは一切できませんでした。弟の方は、放っておくときっとダメになると思ったので、かなり私が教えました。
子供のタイプや習熟度によって親の勉強サポート方法は違うと思うのですが、親による勉強サポートがなかった長女の場合、分からないことがあれば、とにかく「辞書を引く⇔先生に聞く」をやり続けてましたね。
これを2年、3年続けてようやく今余裕が出てきたかなという感じがしています。
山下 我が家もです。
古角 ただ単に暗記したり、作りっぱなし、やりっぱなしということではなく、思考を具現化・具体化し、リフレクションで自分の考えや意見をまとめ、英語で文字に起こして、見出された改善点をまた形にする…を繰り返す。とにかく、思考しアウトプットするということを全ての教科でやっている感じがします。
まさに「プラクティカル」な学びを日々実践中という感じです。
山下 子供達も、このプロセスに慣れるまでは本当に時間がかかると思いますし、大変ではあると思います。
しかし、実際に社会に出てもこのようなプロセスで様々なプロジェクトを進めていくことになると思うので、こういったトレーニングを通じて子供達が大人になって仕事をする上で必要な能力を鍛えられていると感じています。
日本語力がカギ? 英語力ゼロ&海外経験ゼロから長期親子留学をするのであればいつがよいタイミング?
——— 実際にお子様と海外で暮らしてみて、理想的には何歳くらいで本格的に英語環境下で学ぶ長期留学を開始するのが良いと感じていますか?
山下 完全に英語力も海外生活もゼロの状態で海外生活をはじめるならば、中学1年生のタイミングで来るのが最後のチャンスかなと思います。
古角 私もそう思います。
山下 我が家の場合、下の子供が小学3年生で現地のインターナショナルスクールに入学しました。
カリキュラムや学校の方針によっても違うと思うのですが、基本的に小学校の間って、ようは単語だけでも生きていける世界ではあると思うのです。
なので、あんまり英語をきちんと勉強できていないまま、思考は日本語という…。言葉の対策を全くしない状態ですと、ちょっと、どっちつかずになってしまいがちに。
でも、中学生1年生から入学した場合は、日本語力がかなり確立されている状態なので、中学から2年位かけてしっかり英語環境で学んでいけば、中学3年生位から英語で考えて、色々なこともできるようになるかなと思います。
いっそうのこと小学1年生から海外移住&インター進学という選択肢も
山下 もしくは、日本語力を今後一切問わないのであれば、いっそうのこと小学1年生くらいに海外移住&インター進学という形で来てしまうというのも、一つの選択肢として検討の余地があるかもしれません。
お子様の基本言語を英語とし、英語で言葉を発し、考えるという方向性で最初から全て英語に振り切るという…どっちかかなと思ったりします。
小学生高学年以上のお子様の場合は本人の意志を尊重するのが最も大切!
古角 ある程度日本語で話せて、自分の意志もはっきりしてくるというのが小学校高学年だと思うのですが、すでに高学年前後のお子様の場合は、本人の意志を尊重することが最も大切だと思います。
ある日突然、学校生活の全てが英語環境になるというのは、実際問題かなり大変ではあるのです。
山下 そうですね。
インターに通い始めたら子供はすぐに英語が喋れるようになる…なんてことはありません
古角 とりあえず海外留学して、インターに入ればすぐに英語が喋れるようになるのではと勘違いしやすいのですが、全然そんなことはないんです。
先生の言っていることも、友達の言っていることも全然わからない。全てがはじめてばかりの環境下で、子供達はものすごい努力で新しい世界&英語環境に慣れていく感じなんです。
だから、テスト前の子供はフラフラ状態なくらいです。
山下 英語力ゼロ&海外経験ゼロからの出発の場合でも、みんなと同じように宿題はやらなければならないですし、そもそもどんな宿題がどのように出されているのかも理解できていない状態なので、つたない英語で今日は何をすればよいのか、先生や友達に何度も聞いて、最初は泣きながらはじまるみたいな感じです。
古角 高学年になればなるほど、本人が覚悟を決めて、自分の意志で「ここで勉強したい」と選んで、自分自身の気持ちの中から「これを絶対にやりたい!」と思わないと続かないくらい、実際は大変です。
自らの意思で選択することがツラくても最後まで頑張りきれる力に
古角 「親に言われたからとりあえずインターへ入学した」みたいな感覚では、結果的に本人が辛くなるケースもあります。
我が家の場合は、私の都合でマレーシアに子供を連れてきたという部分もあるので、いつも進路選択の際には本人の意思を尊重しています。
例えば、娘が小学校に入学する前の未就学児のタイミングでも、
- 日本人学校へ進学
- インターナショナルスクールへ進学
か、様々な説明をしつつ本人に選んでもらいました。
その時は、本人の意志で、
日本に帰った時、ちゃんと日本で暮らせるようにしたい
ということで、小学校は現地の日本人学校を選択。
また、その後は5年生、中学校2年生のタイミングでも同様に「日本人学校か、インターか」と選んでもらって、本人の意志でインターへ。
常に本人に進路を選んでもらっています。
自分でこの道を選んで決めたんだ
という気持ちは、どんなに勉強が大変でツラい時があっても、逃げずに自らの力で頑張りきるエネルギーになります。
でもね、それくらい、ゼロから第二言語で学校生活の全てがはじまることは現実的に大変なことなんです。
インターナショナルスクール進学後の日本語キャッチアップは年齢次第
——— このような環境にいると、英語力は否が応でも伸びると思うのですが、逆に日本語のキャッチアップはどのようにされていますか?
古角 我が家の娘も息子も、家でも普通に日本語で生活している状態ですし、小学生の間は日本人学校で学んできたので、日本語の会話力に関しては、双方ともにあんまり心配ないかなと思っています。
“日本語で読む力”に関しては、長女は元々読書が好きなタイプのため、難しい漢字が含まれている文章も読める状態です。
逆に、息子は活字が嫌いなので、漢字も少し危ういかなと思います。
山下 我が家も古角さんファミリーと近い状況にあります。ちなみに、息子はマレーシアに来てから小学3年生のタイミングでインターに入学したので、日本の環境で学ぶことをあまり経験していません。
なので、一度は日本の環境でちゃんと学ぶ経験をと思い、彼が小学5年生の時、マレーシアの学校が休みの間に日本の小学校に一時入学をさせてみたのですが…。
マレーシアのインターと、日本の学校があまりにも違い、日本の学校はインターに比べると、じっと座って「お勉強」という感覚が強く…すでに、それについていけないということが本人にとってショックだったようで、若干日本には帰りたくないかも…という気持ちみたいです。
もちろん、進学する年齢が近くなったら本人が選択できる時間を作る予定ですが。
古角 小学校低学年・中学年でインターに入った場合、日本語は聞けるし話せるけれども、日本語の文章を読むことが難しい…となりがちなので、日本語対策をちゃんと検討しなければならない場合が多い気がします。
ゼロからのマレーシア移住・長期親子留学・母子留学の場合はエージェントに頼む人も
−−−ちなみに、全くマレーシアに縁もゆかりもない中で思い立ってマレーシア親子留学、母子留学、教育移住を検討される方はどのようにご準備されている方が多いですか?
山下 日本でマレーシアの学校事情を細やかに調べて、マレーシア視察に何度も来て学校選びや住居選びする方もいらっしゃいますが、学校探しだけでなく住居探し、ビザ関連も含めマレーシア移住サポートなどをエージェントさんにまるごとお手配を頼まれて来る方も多い感じがします。
開催校は限られますが、サマースクールに参加されて感触を確かめる方もいらっしゃるようです。
海外でも、日本でも…子供はどの国でも活躍できるチャンスが拡がっていると感じられるように
−−−マレーシアで教育を受ける経験を経てお子様にはどういう未来を掴み取ってほしいと思いますか?
山下 日本では、中学受験したり、偏差値の高い大学に入って、良い企業と呼ばれる会社に入って…というのが、一つの価値観としてあり、私自身もそういう価値観の世代として育ってきました。
しかし、マレーシアに来てからは、視野を広く、海外でも日本でも、どの国でも、様々な場所で活躍できるチャンスがあると感じています。
私達は子供に自分で自らの未来を選んで歩んでほしいなと思っています。
古角 同感です。
長期の海外生活では「自ら選んでここにいる」という感覚が重要
−−−家族で長期の海外生活を送る時に大切だと思うことはなんですか?
古角 約15年間のマレーシア暮らしを通じて、様々なご家族との出会いがありましたが、
私は、様々な選択肢の中から自ら選んでここにいる
という感覚は、大人にとっても、子供にとっても大切だと思います。
例えば、長期親子留学、母子留学、教育移住で
私は子供の留学のために、子供の英語のためにこの国にいます
という場合、親御さんは実際つらそうで、
とにかく子供が卒業するまで我慢です…
となってしまい、それを間近で見ている子供も
親のその気持が重い
とい感じになりがちなんです。
親が
私はこの国に住んでみたいんだけど、一緒に来る?
くらいの感覚というか。
母子留学でマレーシアに来られているママ友の方々を見ていても、親が留学先の暮らしを心の底からハッピーに楽しんでいるという方の場合は、子供にとっても日々の暮らしはハッピーで、ちょっと学校の勉強が大変でも「ここが好きだから頑張ろう」と子供自身もそういう気持ちになる…みたいなところがあったりするんですね。
なので、親も子も、こちらでの暮らしを楽しみながら常に自らが選択してここにいるという意識を持っていることは、とても重要だと思います。
マレーシアは包容力のある国
様々な教育の選択肢があることも魅力だと思います
−−−最後に、マレーシアが好きでお子様も含め家族みんなでマレーシア移住するという選択をされたお二人から、長期マレーシア親子留学、母子留学、教育移住をご検討されている読者の皆様へメッセージがあればお願いします
山下 私自身、英語は全然得意でない状態でマレーシア移住し、実は、未だに英語が得意ですとは言えません。
しかし、多少カタコトな状態でもお互い様々なバックグラウンドを持っている人たちが共存しているのがマレーシアです。
なので、そういった言語や文化の面も含めてまるごと理解してくれる包容力があるということも魅力です。
英語が公用語の国の中でも、日本人が日本人としてそのまま受け入れてもらえるという居心地の良さがマレーシアにはあります。
古角 あとは、マレーシアには日本人学校があって、先生も熱心に教育してくださいます。
私たちは日本人学校も、インターナショナルスクールも両方経験してきましたが、インターナショナルスクールも、日本人学校も選べるというこの環境はありがたいなと思います。
マレーシアに来てみて、インターナショナルスクールに入学後「やっぱり合わないかも…」という感じであれば、中学生までなら日本人学校という選択肢もあります。
また、兄弟で、上のお子様は日本人学校、下のお子様はインターなど、それぞれの子供の希望や、タイプ、タイミングに合わせて学校を選んでいる方もいらっしゃいます。
マレーシアは多文化に触れられる国であるという部分も大きな魅力なので、マレーシアに家族で行ってみようという話になりましたら、お母さんもお子さんも…家族みんなで有意義にマレーシアで過ごして頂けたらなと思います!
−−−古角さん、山下さん、今回は貴重なご経験をお話いただきありがとうございました!
次回は、実際に母子留学・単身留学でマレーシアのインターナショナルスクールで学ぶ高校生のお二人に「実際にマレーシア留学を経験してのリアルな本音」を対談記事にてお届けします! お楽しみに。
インタビュー後記:
家族でマレーシア移住されて約15年目に突入する古角さん、5年目の山下さん。
お二方のお話をお伺いさせて頂き最も印象的だったのが、お子様自らが進路選択をできるように情報収集されながら、子供の意見を尊重し、必ず子供自身による選択機会を設けているというところでした。また、お母様であるお二人自身がマレーシアが大好きで、様々なハプニングがあってもマレーシアでの暮らしを心からエンジョイされていることが取材を通じ伝わってきて、これも長期的な視野で見た親子留学・母子留学・海外移住をより良い方向に導き、家族みんなで「来てよかった!」と満足度が高くなる要因として何より重要なポイントだと感じました。各国プチ親子留学等を経て、今後、自ら選んで長期で海外を経験してみたいと考えているファミリーや、旦那様の駐在等で海外帯同するファミリーにとっても、重要なキーワードがこのインタビューに溢れています。マレーシアを含めた各国海外進学をご検討中の方、日本国内進学を検討している方、どちらににとっても今後のお子様の教育を検討する上で、一つでも、二つでも参考になるようなエッセンスを本インタビュー記事でお届けできていたらこんなに嬉しいことはありません。
取材協力
Sunway International School
カナダ・オンタリオカリキュラムを提供しているマレーシア現地インターナショナルスクール。カナダ人講師が多く、ICT教育にも積極的、放課後の課外活動も盛ん。寮完備のためお子様の単身留学も可能。
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世界をポジティブにつなぐ子ども&ファミリーを世界中に増やしたいという想いから、ちょっとグローバル志向なママ&キッズのための情報サイトGlolea![グローリア]創刊。大学卒業後NY&ペンシルベニアで小学校の先生を経験後Webプロデューサー・編集者に。趣味は、息子との「プチ親子留学」に思いを馳せること。「英語」「スペイン語」「中国語(北京語/広東語)」で世界各国のママ&働く女性とおしゃべりすること。資格:英語学習コーチ。