先生が足りない! 教師不足はITで解決する!? オランダ教育事情
- 倉田直子(Naoko Kurata)
- Glolea! 多様性&マルチリンガル子育てアンバサダー
どこの国の教育現場にも、解決しなくてはならない問題があると思います。
ここオランダでは、小学校および中等教育(日本の中高一貫教育のような制度)教師の人手不足が大きな問題になっているんです。
真剣に対応してくれない(ように見える)政府に対し、現場の教師たちはストライキを起こしたり、様々な方法でカバーしようと奮闘しています。その中でも、最近見かけた「とっておきの方法」をご紹介させてください。
世界一電子タブレットを使う国「オランダ」
あまりイメージがないかもしれませんが、オランダの教育現場はIT化が進んでいます。
私が知る限り、オランダの小学校の教室にはたいていスマートボード(電子黒板)が導入されています。
我が家の娘が通っている小学校は、クラスに数台iPadも常備されています。現在は最高学年なのですが、最高学年はひとり1台使える数が揃っているそう(持ち帰りはなしで、学校管理)。
日経新聞がまとめたデータによると、オランダは世界一タブレットを使う国でもあるのだそう。
教師不足と現場の苦労
そんなオランダは、前述のように教育現場の人材不足にも悩んでいます。
仕事量と責任が給与に見合っていない!
と以前より現場の教師たちから不満があがっており、定期的にデモやストライキが行われているのです。
そんな様子を目の当たりにした学生たちが教職を敬遠してしまったり、より良い仕事を求めて現場を離れる教師が出てきてしまっていることが原因のよう。
そのため、どこの小学校も中等教育も万年人手不足にあえいでいて、クラスを合併させたり生徒を他の小学校に通わせるようにしたり、あの手この手でしのいでいるのです。
ドイツ語授業をライブストリーミング受けるライデンの学校
つい最近は、とある中等教育校がこんな解決方法を採用してニュースになりました。
▲Leerlingen krijgen les via livestream(生徒たちはライブストリーミングで授業を受ける)
ライデンという街の学校では今年度から、ドイツ語の授業は画面越しにライブストリーミングで行うことにしたのだそう。一応教室には、別の先生が生徒の監督役として立ち会ってくれています。
画面越しの先生に自分のノートを見せるのが手間…
など、このスタイルがベストだとは言えないながらも、そうでもしないとドイツ語の授業が維持できないということは生徒たちも理解しているようです。
ちなみにこのドイツ語講師の方は、学校から50km離れた場所にお住まいなのだそう。
教師のほうでも、あまり遠い学校に通うのは躊躇しますけど、この方法なら距離を気にせず授業できますからね。時間の調整さえつけばオランダ中の学校にレッスンできそうです。
学校のIT化が済んでいるからこその解決策
一般の学校でライブストリーミングでの授業とは、時代の進化を感じます。
ただ、そもそもの前提として、電子デバイスやスマートボードが教室に普及しているオランダだからできる解決策だとも言えます。日本が同じことをしようと思うと、まずは機器の導入から始めないといけませんね。
今回は「教師不足はITで解決する!? オランダ教育事情」をお届けしました。次回は「算数は万国共通じゃない? 世界でやり方いろいろ」をテーマにオランダからの情報をお届けします。お楽しみに!
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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
- 倉田直子(Naoko Kurata)
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- ハーレム
オランダ在住ライター。2004年にライターデビュー。2008年に家族の仕事都合で北アフリカのリビアに移住。リビア在住中に、現地の生活をリポートする海外在住ライターとして活動開始。2011年8月、英国スコットランドに移住。2015年夏よりオランダ在住。2008年生まれの娘は日英蘭語のトリリンガル。