留年・飛び級当たり前!みんな同じでなくてもいいオランダの小学校
- 倉田直子(Naoko Kurata)
- Glolea! 多様性&マルチリンガル子育てアンバサダー
「生後△か月なら、これくらい大きくないと」「○歳なら、これくらいできないと」と、常に我が子の成長を枠にはめてしまっていませんか?
オランダでは、まさに
みんなちがってみんないい
–金子みすゞ
という雰囲気で、その子の成長のペースを尊重してくれています。
そんなオランダの小学校で見聞きした、子供の成長に合った学び場に導いてくれるシステムについてお話ししたいと思います。
目次
4歳の誕生日に「小学1年生」になるオランダの小学生
オランダの小学校のシステムは、日本と少し異なっています。まず、学齢の始まりが日本より早いです。4歳の誕生日を迎えた子から「小学校1年生」になります。
誕生日の翌月1日が入学日なので、
ただし、この1年生はまだ義務教育ではないので、家庭によっては義務教育になる「2年生」まで入学を控えることもあるのだとか。
そしてこの2年生(5歳)も本格的な勉強は行わず、いわゆる日本の幼稚園の様な存在です。算数や体育など、日本人の感覚の「小学校」カリキュラムが始まるのは、3年生になってからです。
学力に応じた学年で、じっくり学べるオランダの小学校
そして3年生になって勉強が始まると、半年ごとに勉強の進捗状況を把握するための試験が実施されます。
そしてこのテストの結果を元に、生徒の保護者と担任教師の面談が行われます。
驚きなのは、このテスト結果から「勉強についてきていない」と判断されたら、小学生でも留年(落第)をすることがあるということ。けれどそれは劣等生を振るい落とすというよりも
もう一度この学年で、しっかり学びなおしましょう
という意味が強いようです。
そして親と教師の思いも去ることながら、最終的に「留年か」「進級か」を選ぶのは子供自身なのだとか。日本だと「留年は恥ずかしい」と消極的に考えてしまいますが、オランダだと
じっくり学びなおすの偉いね!
という感覚で、本人も周囲も全く意に介していないのだとか。ただし、こうした学力ギャップは低学年時代に調整されることが多いようで、高学年になるとあまり留年する生徒は出ないという話も聞いたことがあります。
そして留年があるなら、理解が早い子の飛び級もあります。
筆者の子供が通うクラスには、一学年下からスキップしてやってきた女子がいます。彼女は勉強が始まったばかりの3年生の前期の確認テストで「飛び級したほうが良い」と判断されました
(余談ですが、彼女は毎週図書館から本を6冊借りて読破する読書家さんだそう)。
日本だと「もう少し様子を見てから判断しましょう」となりそうですが、オランダは判断も迅速ですね。
枠にはめない自由な国オランダ
このように、オランダの小学校は「○歳だから△年生」と年齢で判断することなく、その子の学力に合った学び場を提供してくれるのです。
それは学校のみならず、社会全体として「○○だから××でなくてはならない」というプレッシャーが少ない気がします。
男だから、女だから、子供だから、大人だから。「だから」の枠が非常にゆるく、その人の個性を認めてくれる寛容さをオランダに住んでいると感じることができます。
留年・飛び級当たり前!みんな同じでなくてもいいオランダの小学校:まとめ
子供を年齢の枠にはめることなく、留年の最終決定も子供にさせるオランダ。制度的に日本の小学校がすぐに真似するのは難しいかもしれませんが、その心の余裕は見習う価値があるのではないでしょうか。
学校が無理でも、せめて家庭では子供を枠にはめずに個性を見てあげたいですね。
記事をお読み頂きありがとうございました!
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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
- 倉田直子(Naoko Kurata)
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オランダ在住ライター。2004年にライターデビュー。2008年に家族の仕事都合で北アフリカのリビアに移住。リビア在住中に、現地の生活をリポートする海外在住ライターとして活動開始。2011年8月、英国スコットランドに移住。2015年夏よりオランダ在住。2008年生まれの娘は日英蘭語のトリリンガル。