「自分で決めたことだから」子供の選択を尊重するオランダの親
- 倉田直子(Naoko Kurata)
- Glolea! 多様性&マルチリンガル子育てアンバサダー
人生は選択の連続ですよね。
けれど、子供のうちは視野が狭いので、親から見るともどかしい選択を子供がすることもあります。
そんな時、みなさんはどれくらい子供の意志(選択)を尊重できますか?
先日、オランダの小学生がした選択に感心した出来事があったので紹介させてください。
コロナ時代の卒業パーティ
実は筆者の娘は、オランダの小学校の最上級生。
この国では夏休み明けから新学年になるので、もうこのタイミングで卒業となりました。
※最終登校日は2020年6月29日。学校により最終登校日は異なります。
それに伴い、卒業の数日前に、学年のお別れパーティがあったんです。
通常はこのイベントで、生徒たちがミュージカルを上演するのが恒例。でも今年は、コロナの関係で生徒や保護者が一堂に会するイベントは実行不可能になってしまいました。
そのため、ライブのミュージカルではなく「事前に撮影した映画」を「2日に分散かつ一晩3交代で上映」するミニマルな会に変更されたのです。
画像のような感じで家族単位でテーブルを分けて着席。
ウェルカムドリンクでお酒も選べました。前にあるスクリーンに映画を映します。映像編集が得意な先生が隣のクラスの担任だったので、かなり凝った映像に仕上がっていて驚きました。
一緒に参加できた子は少ないけど、娘が楽しそうで良かったです。
卒業パーティでヒヤリ
ただ、ちょっとこの上映会でヒヤリとしたことが。
我が家は夜7時からの会だったんですが、出かける前に
私はどのドレス着るの?
と言ってきたんです。
どうやら、パーティでは子供たちドレスアップするのが慣習みたいだったんです。卒業イベントなので当然といえば当然ですけど、私は全く考えてなくて。
たまたま、まだ着られるシックなワンピースがあったので事なきを得ましたが、ちょっと焦りました。
日本でも、外国人の子が入学式に普段着で来て浮いてしまったなんて話を聞いたことがありましたが、自分が移民だなとこういうところで実感します。
私の気が回らなかったのと、娘は知ってたのに親へのプッシュ不足だったことの二重ミスでした。
子供の選択を尊重できる?
そんな風に自分の至らなさに落ち込んでいたある日、学校からお別れパーティに出席した家族の記念撮影画像が送られてきました。
リンク先から自分で画像をダウンロードするという仕組みで、自分たちだけではなく、他のご家庭の画像もみられたんです。
同じ日に出席した人が少なかったので、子供が仲良くしている子の画像をいくつか楽しみながら見ていました。
へー、この子はこんなドレスで出席したんだ
といように。
すると、私は一人の子の家族写真に目が釘付けになりました。
その子はスポーツ万能で、とある武道で世界大会に進出するほどのアクティブな女子です。その子はなんと、普通のTシャツに短パンでパーティに出席していたのです!
けれど別に私の様に
親がうっかりしていた
とかではないようでした。
その証拠に、彼女の母親と妹はお洒落なワンピースでばっちり決めていました(父親は、シャツにチノパン)。
これはきっと、主役である彼女本人が
ドレスは着ない
と選択したのでしょう。
その証拠に、Tシャツと短パン姿で、とっびきりの笑顔を浮かべていました。本当に彼女らしい写真だったと思います。
もし私が彼女の母親の立場だったら、どうしていたでしょうね。
一生に一度なんだから
とか説得して、ドレスアップさせていたかもしれません。
そうしたら彼女は、あんな笑顔で写真に写っていなかったかも。
そう考えると、普段着で出席するという彼女の選択を尊重したご両親は、とっても懐が深いなと感じました。
子供が「自分で決めたこと」を尊重する
実は以前も、全く違う仕事の取材で、
娘が決めたことだから
と迷いなく答える母親に出会ったことがあります。
オランダの親は子供の
自分で決めたこと
を尊重するのです。
筆者自身は、自分の娘がいかに傷つかずに過ごせるか、頼まれもしないのに勝手に心配することがあります。けれど、彼女が「自分で決めたこと」ならば、オランダの親を見習って彼女の選択を尊重していってあげたいと思います。
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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
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オランダ在住ライター。2004年にライターデビュー。2008年に家族の仕事都合で北アフリカのリビアに移住。リビア在住中に、現地の生活をリポートする海外在住ライターとして活動開始。2011年8月、英国スコットランドに移住。2015年夏よりオランダ在住。2008年生まれの娘は日英蘭語のトリリンガル。