再利用不可能なら弁償の必要も!?
教科書はタダじゃない?オランダの中学校
- 倉田直子(Naoko Kurata)
- Glolea! 多様性&マルチリンガル子育てアンバサダー
夏休み明けから新学年が始まるオランダでは、8月下旬から子供たちは新しい学年に進級しています(地域ごとに夏休みの時期がずれるため、全国一斉の新学期スタートではない)。
新学年といえば、教科書の配布がありますよね。
オランダでもそれは同じなのですが、全く違う教科書事情もあるんです。今回は、そんな驚きの教科書あれこれに関してお話しさせてください。
目次
小学校では、ほとんど教科書を使わない?
オランダは教育委員会などは全く通さず、小学校ごとにどのような教材を使って教えるか決めることができます。
そのため一概に「こうですよ」と語ることはできないのですが、私の印象としては「オランダの小学校はほとんど教科書を使わない」傾向があると思います。
オンラインのソフトウェアを使ったり、アナログでもプリントを駆使したり。
あえて市販のものを使うなら、教科書としてではなくワークブック(ドリルのようなもの)を使用していました。
こちらの画像は、子供が小学生の時に使っていた英語のワークブックです。
書き込んだりする教材なので、生徒に1冊、支給されます。
けれど決して全ての教科にワークブックがあるわけではなく、英語や算数の計算など、限られた範囲でしか使われていませんでした。
中学校は大量の教科書を「貸与」
それが一転、小学校以降は大量の教科書が使われるようになります。
この画像は、私の子供が進学した中等教育校(中高一貫教育のようなシステム)1年生に渡された教科書を並べたところです。
けれど日本と違うのは、教科書が学校からの借用であるということ。
教科書をもらえるのではなく、借りていることになるのです。
写真には教科書とワークブックが混在してしまっていますが、ワークブックは書き込みも大丈夫。
ですので、その生徒が使い切り、返却はしません。
けれど「教科書」は、学年末に学校に返却しなくてはいけません。
翌年は、進級してきた別の生徒が使用するので、きれいな状態で返却する必要があります。そういった事情もあり、教科書への書き込みなどは一切禁止されています。
それを知ってから上の画像を見ると、確かに少しくたびれて見える教科書もありますよね。それらは、先輩たちから代々受け継がれている教科書になります。
再利用不可能なら教科書代を弁償しなければなりません…
しかも驚くのは、その教科書を再利用できないほど破損した場合は、生徒が弁償しなくてはいけないということ。
もちろん、書き込みや落書きも厳禁です。
どれくらいの汚れで「再利用不可」と見なされるのかは先生の主観によるもののようですが、これには驚きですよね。
そのためオランダの中等教育校の生徒たちは、学年初めに貸与された教科書に、ブックカバーをかけます。
包装紙などでくるむのが一般的ですが、更にその上に画像のような透明なシールでコーティングすることも。
オランダ子育ての先輩日本人の方が教えてくれたのですが、このコーティングなしで包装紙のみのカバーを使用した年は、何冊か教科書を弁償することになってしまったそうです。
その金額、なんと80ユーロ(約1万円)だったのだそう。
それは、厳重にコーティングしたくなりますね。
フィンランドも教科書は学校から借りるスタイルだけれど…弁償システムはない!?
余談ですが、フィンランドで子育て中の方にお伺いしたところ、フィンランドでも教科書は学校から借りるスタイルだそうです。
同様にみなさんブックカバーをかけるそうですが、かの国ではオランダの様に弁償するというシステムではないそうです。
寛容ですね!
そういうことを聞くにつけ、ちょっとオランダは厳しいのではないかと感じます。
「教科書無料」は当たり前じゃない
オランダの状況を見てから日本を鑑みると、教科書を無料で支給してくれるなんて親切だと感じます。
国が変われば、教科書事情もいろいろですね。
うちの子どもには、(弁償しなくてもいいように)ぜひ教科書を丁寧に使っていって欲しいと思います。
今回は『オランダの中学校の教科書事情』をテーマにお届けしました。
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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
- 倉田直子(Naoko Kurata)
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オランダ在住ライター。2004年にライターデビュー。2008年に家族の仕事都合で北アフリカのリビアに移住。リビア在住中に、現地の生活をリポートする海外在住ライターとして活動開始。2011年8月、英国スコットランドに移住。2015年夏よりオランダ在住。2008年生まれの娘は日英蘭語のトリリンガル。