世界中で話題!英国の11歳女子が「メガネをかけたディズニー風プリンセス」を共同制作
- 倉田直子(Naoko Kurata)
- Glolea! 多様性&マルチリンガル子育てアンバサダー
人は何歳になっても、なかなかコンプレックスから脱却できないものです。特に子供時代は、周囲の子供と自分の違いに敏感になりがちです。
今回は、コンプレックスを脱却するために行動した少女のお話をさせてください。
目次
ディズニーのアニメキャラクターにメガネをかけたプリンセスがいないのはなぜ!?
2020年7月、こんなニュースを目にしました。
Nottingham schoolgirl creates Disney-style princess in glasses / ノッティンガムのスクールガールがメガネをかけたプリンセスを生み出した
出典:BBC
ニュースの主役は、英国ノッティンガムに住む11歳のLowri Mooreさん。
彼女は幼い頃からメガネをつけて生活しています。
そんな彼女が9歳の時、
テレビに出演している人や、アニメのキャラクターにメガネをかけている人が少ないのは残念だ
と感じるようになりました。
創作物にたまに居るメガネのキャラクターは、だいたいオタク的またはオタク好みに描かれています。
そして、多くの女子が憧れるディズニー・プリンセスには、メガネをかけているお姫様はまったくいません。
そのことが、Lowriさんには
メガネをかけている子はプリンセスにはなれない
プリンセスのように美しくない
というメッセージに感じられたのです。
ディズニーのCEOに「メガネをかけたお姫様をつくって」と直訴!
これを問題に感じた彼女は、ディズニーの最高経営責任者であるRoger Igerに、眼鏡をかけたお姫様を作ってくれるように手紙を書いたのだそう。
I’ve grown up watching Disney princesses and I’ve always admired them and thought they were beautiful. Unfortunately none of the princesses wear glasses and that made me feel as though I’m not beautiful enough.
私は、ディズニー・プリンセスの物語を見て育ちました。常に彼女たちを称賛し、とても美しいと感じています。けれど残念ながら、メガネをかけたプリンセスはひとりもいません。そのことが、私は十分に美しくないのではないかと感じさせます。
あんな大企業のCEOに手紙を書こうと思い立つなんて、すごいですね!
けれど残念ながら、この手紙には返事がきていないそうです。
それでも当時9歳のLowriの訴えは2019年に各国のメディアで報道されました。私も、今住んでいるオランダの子供ニュースのアーカイブで発見しました。
Lowri (9) wil Disney-prinsessen met brillen / 9歳のLowriはメガネをかけたディズニー・プリンセスがいてほしい
その訴えを聞いたイギリスのイラストレーターが協力を申し出て、「ディズニープリンセス風」のプリンセスの物語の本を共同で作ることにしたのだとか。
上記動画はオランダの子供ニュースの映像ですが、こちらで完成した本の中身が少し見られます。
Lowriが共同制作した絵本は「自己受容」の物語
最初にリンクを貼ったBBCの記事には、彼女の母親の言葉が書かれていました。
この物語は自己受容の話。
主人公は、メガネをかけているので自分は美しくないと思っています。私が知っている誰かのようです。
そして、彼女は彼女が実際に美しいことを発見する小さな冒険に行きます。9歳の子のアイディアだけど、とても賢い。非常に誇りに感じます。
実は私の11歳の娘も、メガネをかけています。
彼女のためにも、メガネをかけていることは彼女自身の美しさに何ら悪影響を与えるものではないと認知されて欲しいと思います。
実際の本を購入
完成したLowriさんの本「Princess Rose and the Golden glasses」は、彼女のホームページlowrimoore.comから購入できます。
早速私も1冊購入しました。
ディズニー・プリンセスたちへのオマージュがふんだんにちりばめられ、本家プリンセス・ストーリーがお好きな方にも楽しめる素晴らしいクオリティでした。
そしてLowriさんの分身ともいえる主人公のRose姫がディズニー・プリンセスを連想させる「モノ」たちに導かれ、本当の自分を受け入れ愛せるようになるまでの展開が感動的です。
ぜひ多くの方に読んでほしいと思いました。
単価6.99ポンドで、現在のレートだと約969円になります。配送は、別途送料がかかります。
本の利益の30%は、社会的に弱い立場にいる子供たちが視力検査と眼鏡にアクセスするのを助けるために使用されるそうです。
同世代のエンパワメントだけではなく、メガネにリーチできない子供のサポートも行うとは、なんとも頼もしい11歳。ぜひ彼女の将来を応援していきたいです。
記事をお読み頂きありがとうございました!
みんなの評価: (件)
この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
- 倉田直子(Naoko Kurata)
- Glolea! 多様性&マルチリンガル子育てアンバサダー
- ハーレム
オランダ在住ライター。2004年にライターデビュー。2008年に家族の仕事都合で北アフリカのリビアに移住。リビア在住中に、現地の生活をリポートする海外在住ライターとして活動開始。2011年8月、英国スコットランドに移住。2015年夏よりオランダ在住。2008年生まれの娘は日英蘭語のトリリンガル。