「男子校」「女子校」が存在しないオランダ
- 倉田直子(Naoko Kurata)
- Glolea! 多様性&マルチリンガル子育てアンバサダー

▲オランダには「男子校」「女子校」といった性別に別れた学校はあるの?
日本では、有名な私立の進学校などは男子校や女子校といった、性別が分かれた学校が多い印象があります。
けれどある時、
オランダではどちらかの性別の生徒しかいない学校はあるのだろうか
と疑問を持ち、個人的な興味からオランダの状況を調べてみました。
今回は、そんなオランダの「男子校」「女子校」事情に関してお話させてください。
1996年以降オランダには「共学校」のみが存在
まずいきなり結論から書いてしまうと、オランダには「男子校」「女子校」という性別で区切った学校は存在しないそうです。
自分の身の回りで見かけないので何となくそうじゃないかと思っていましたが、予感的中です。

▲中学校の教室で講義をきくオランダの生徒たち
けれど昔から無かった訳ではなく、他国同様にかつては存在したようです。
1968年に教育改革を行うための「マンモス法」が制定され、そこから段階的に共学校に移行していきました。最後の女子校が、周辺校との合併で共学校に変わったのが、1996年なのだそう。
現在では、アムステルダムにあるユダヤ教の学校だけが、今でも校内で性別クラス分けしているといわれています(学校そのものは共学校扱いだが、クラスを男女で分けている)。
「性別」と「得意分野」はリンクするのか?
そうやってほぼ完全共学教育に移行したオランダですが、2011年にとある波紋が生じます。
オランダにおける「キリスト教教育委員会」の会長が、「男女別教育の復活」を新聞で提唱したのです。その会長は、男女の得意分野が異なるので、別々に学習したほうが良いと主張したのです。
女の子は通常、言語が上手です。男の子が女の子と自分自身の成績を比較している場合、非常に落胆する可能性があります。
空間認識能力は多くの場合、女子よりも男子の方が速く発達するため、数学には逆のことが当てはまります。数学のレッスンでは、男の子のリードを活用できます。
‘Geef jongens en meisjes apart les’ / Trouwより抜粋後翻訳
ただし、2012年に
性別の違いは個人の違いに二次的なものである
(つまり、個人の成績と性別は無関係)
という別の研究結果が発表され、この議論には一応の終止符が打たれています。
共学校でものびのび学べる
かつて私が住んでいたイギリスには、男子校も女子校も健在でした。むしろ、そのほうが学校のイメージが良かったりします。
けれど私は、女子校を必要としないオランダを好意的に見ています。
歴史的に見て、女子校が誕生したのは、男子と同じ教育が受けられなかったことが元凶のようですからね。
そしてオランダでは、共学校でもしっかり女子の「自己肯定感」が育まれ、男女差なく教育を施す世の中なのだと解釈しています。悲しいかな日本では、女子校のほうが女生徒はのびのびと学生時代を満喫できることも多いですからね。
ちなみにオランダ統計局の調査によると、中等教育(日本における中高一貫教育のようなもの)における女子の理系比率は、10年前に比べて上昇してきているそうです。
日本でもオランダでも、「女子=文系」の枠にはめることなく、興味のある分野の専攻を推奨していってほしいです。
今回は『「男子校」「女子校」が存在しないオランダ』をテーマにお届けしました。
参考
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オランダ在住ライター。2004年にライターデビュー。2008年に家族の仕事都合で北アフリカのリビアに移住。リビア在住中に、現地の生活をリポートする海外在住ライターとして活動開始。2011年8月、英国スコットランドに移住。2015年夏よりオランダ在住。2008年生まれの娘は日英蘭語のトリリンガル。