ところ変われば…ヨ-ロッパ授乳事情

宇津木奈々(Nana Utsugi)
Glolea! フランス・リヨン、日仏バイリンガル子育てアンバサダー
Grazia

▲フランスの有名女性向け雑誌、
Graziaウェブ版による授乳に関する記事

ロンドンの高級ホテルでティ-タイムを楽しみに来たママが、3ヵ月の赤ちゃんに授乳ケ-プ等なしで授乳を始めたところ、スタッフに布ナプキンを渡され「他のお客様にショックを与えぬよう、布でかくしてあげてください」と言われた−−

 

というGraziaの記事を目にしました。

 

彼女はこの対応が非常にショックであり、もう二度とこのホテルには足を踏み入れない−− と。

 

初めこの記事を読んだ時、ホテルの対応をショックとも思いませんでした。他のお客様に配慮し、ナプキンで隠すよう求めただけで、授乳行為自体を禁止したわけではありません。

公共の場所で胸を隠さず授乳…フランスでは多数派!?

むしろ、いくら授乳でもカフェなどで隠すことなく胸を出すのは、授乳経験のある私でさえ、できない。が、しかしこちらの世論では彼女の意見に共感する人が多数。この事実に驚きました。日本にいたころ公共の場で胸を隠さずに授乳されている方を見かけたことがなかったものなので…。

Nov.3

▲子どもとよく行く子の公園でもケ-プなしに授乳されているママもちらほら。

数年前の話になりますが、私がまだ授乳していたころ、外出先はもとい、室内でも親戚や友達がいる空間では授乳ケ-プでかくして授乳していました。

 

そんな私のケ-プを見て「まあ、これは素晴らしい」。と言われることもしばしば。授乳ケ-プ自体この国では浸透していません

 

なので公園などでおもむろに胸を出し、授乳しているママを見ることもしばしば。授乳中の私でさえ、それはないだろ。(まさに今回のホテルの人に同感!)と思ったものです。こちらの友達も、友達同士でパ-ティをした時など、私はケ-プでかくして授乳してましたが、隠さず(おもむろに胸は出しませんが。)、他の部屋に行くでもなく、みんなのいる空間でふつうに授乳していました。

 

この状況と今回私が目にした記事からすると、ヨ-ロッパでは授乳は自然な行為なので、隠す必要はない。というのがママたちの意見なのかもしれませんね。

Nov.4

▲私はこのようなカフェなどでは、席は外さず、ケ-プでかくして授乳していました。

因みに、こちらの男性(と言っても少数の友達ですが)の意見を聞いてみたところ、私の様に隠してくれた方がいいと言っておりました。

子連れに寛容な国フランス

フランスは日本に比べて子連れに寛容で子育てがしやすい。と言われております。確かに、子連れだから肩身が狭い。という思いをすることはありませんし、子連れだとむしろ親切にしてもらえます

 

ベビ-カ-で階段を登ろうとすれば、誰かが手を貸してくれますし、バスに乗れば、小さい子連れだと席を譲ってくれたり。(ケースバイケ-スです。座っている子どもに席を譲れと言っているお年寄りを見たこともあります。) 

 

私の経験からすると、子連れに寛容です。
(私の住んでいるリヨンがパリや東京のような大都市ではないからなのかもしれませんが。)

 

記事で読むだけですが、日本ではベビ-カ-で乗って混雑したらベビ-カ-を畳んで云々となかなか暗黙のル-ルが厳しいようですね。

子連れに嬉しいおむつがえ&授乳スペースが充実している日本

でもそれに比べて、日本は出先でのおむつ替えや授乳スペ-スが充実していると思います。フランスにはほとんどありません。授乳室はおろか、おむつ替えスペ-スのある場もたいへん少ないです。

 

子育てはじめの頃は、みんなどこでおむつを替えているんだと疑問に思い、周りを観察したものです。結局答えは見つからず、おそらく長時間替えないのではないかという、あまり参考にならない結論に達しましたが。(おそらく、場所に構わず必要な時にベビ-カ-の上とか、ベンチとか、その場でササッと変えているのだと思います。)

 

私は日本で子育てをしていないので日本で皆様がどのように公共の場で授乳されているのか詳しくはわかりませんが、おむつ替えスペ-スや、授乳室の充実している日本の方は授乳室利用が大半でしょうか?

 

そんな施設の整った日本では、カフェなどの公共の場では授乳ケ-プを使用しても授乳をすると肩身が狭い思いをするのでしょうか? ケ-プを使っていれば最悪、電車などで授乳してもオッケ-なのでしょうか?

母乳育児は少数派なフランス

外出先での授乳のお話をしておいてなんですが、実はフランス、授乳するお母さんは少ないんです。(最近は授乳が赤ちゃんには一番とだいぶ見直されてきておりますが。)

 

私が出産した際も、妊娠中に「あなたは母乳で育てるの?」と医者に聞かれました。私の中ではできるなら母乳は当たり前だったので、この質問には驚きましたが、母乳で育てないという選択もあり、産後すぐに薬で母乳を止めてしまう人もいるのです。

 

産後、病院で隣の部屋だったママに、「胸が張って痛いね」と話したところ、「私は母乳育児はしないって決めてたから、痛くないわ。」と言われ、フランスでは母乳で育てないという選択肢も一般化されていることは知っていたものの、さすがに驚いたものです。

母乳で育てない選択肢が一般化しているフランスの産後ライフスタイル

なぜ母乳育児をしないのか? 

 

理由は個人それぞれあるのでしょうが、産後のライフスタイルも大きな一因なのではないかと思います。

 

フランスの子育ては、子どもと親の寝室は別々。産まれてすぐから子どもたちは自分の部屋のベビ-ベッドで寝るのが一般的です。母乳はミルクに比べて腹持ちが悪く(と私の周りのフランス人は言っていた。)、授乳も数時間おき。別々の寝室で、夜に何度も授乳をしていたら、産後仕事復帰の早い(産後2~3か月)ママにとっては大変負担になります。

 

同様に母乳を与える期間も日本に比べたらすごく短いです。仕事復帰しながら授乳を続けるのはなかなか難しいですからね。私は約1年母乳で育てましたが、6ヵ月過ぎたあたりから、「まだ母乳あげてるの?」と、驚かれることもしばしありました。後半はちょっと肩身が狭かったです。

 

冒頭のロンドンのホテルの記事を読んで、授乳スタイルから、母乳育児まで、ところ変われば常識も変わる。と感じたのは私だけでしょうか?

記事をお読み頂きありがとうございました!

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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー

宇津木奈々(Nana Utsugi)
Glolea! フランス・リヨン、日仏バイリンガル子育てアンバサダー
リヨン

フランス第二の都市リヨンで、フランス人の夫と息子と共に日仏バイリンガル生活。ワ-キングママとしても、オンラインセレクトショップ 53lyonstreet.com を運営中。働くママが圧倒的に多いフランスでのフランス流育児、教育などを中心にご紹介していけたらと思います。

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