大充実!ドイツの子供達の夏休みの過ごし方とは?
- クリューガー量子(Ryoko krueger)
- Glolea! ドイツ・家族の暮らしアンバサダー
ドイツの夏休みは6週間。
夏休みの宿題はありません。夏休みの登校日もありません。先生も6週間休みで、学校に行くことはありません。
子供達は、夏休みを思う存分楽しみます。
今日は、ドイツの子供達の余暇の過ごし方と、市が主催する「夏休みプログラム」についてお伝えします。
目次
ドイツの学校は勉強する所。部活動はありません
ドイツの子供達の余暇の過ごし方で日本と決定的に違うところは、ドイツの学校は勉強する場所で、部活動が無いことです。
音楽やスポーツ活動は、学校管轄ではなく、家庭の管轄。自己責任です。各自が興味のあるスポーツサークルや音楽教室に通います。
人口3万人の街でも、100以上の多種多様な夏休みプログラム
そして、6週間の夏休み。多くの人が2週間程度の旅行に出かけますが、長い夏休みに子供達に楽しみを提供し、子供達の新たな興味を引き出すために市が主催するのが「夏休みプログラム」です。
私達が住む市の人口は約3万人。こんなに小さな街でも夏休み中は100以上の多種多様の子供向けプログラムが用意され、一人最高10個のプログラムに参加できます。
対象年齢は6歳~16歳。
人気のプログラムは、くじ引きで参加者が選ばれます。プログラムの参加申込費は、参加プログラム数に関わらず計7ユーロ。
プログラムによっては参加費が別途かかるものもあります。プログラム提供者は、市、スポーツ等の登録法人、地元企業等です。
ドイツの夏休みプログラムで体験できること
夏休みプログラムの例をいくつかご紹介します。
- 隣町の湖で水上スキー(1泊2日):
– 対象年齢:10~16歳
– 参加費:40ユーロ - 森の湖までの夜のハイキング:
– 対象年齢:6~14歳
– 参加費なし - 粉を挽いてパンを作り、パンにのせるものを作ろう!:
– 対象年齢:7~16歳
– 参加費なし - 映画館で映画鑑賞:
– 対象年齢:6~16歳
– 参加費4ユーロ - セメントで工作しよう!:
– 対象年齢:6~15歳
– 参加費なし - 山林監視官と森の中をサイクリングしよう!手ごねパンを焼こう!:
対象年齢:8~14歳
参加費:2ユーロ
「山林監視官と森の中をサイクリング」のレポート
以前、長男が「山林監視官と森の中をサイクリング」のプログラムに参加しました。息子が話をしてくれたことを書留めました。
私達の街には、ワインのブドウ畑が広がる美しい山が聳えます。この山には、このプログラムで子供達に色々教えてくださった山林監視員が1人います。ドイツには、森がある所に山林監視官がいます。
まず、子供達が全員集合すると、手ごねパンを皆で焼いて食べました。子供の誕生日会などでも、このパンを木の枝につけて焚き火で焼いて食べます。大人も子供も楽しめる美味しい手作りパンです。
その後、皆で自転車に乗り、1000年程前からある井戸へと向います。この日の全走行距離は8km。自転車をこいでいる途中、子供達が、ある声を聞きました。それは、イノシシ。成人男性くらいの大きさのイノシシが何頭かいて、木の実などを食べていたそうです。
この井戸は今も水が出ており、一人の子供が石を落として、石が落ちるまでの時間を計りました。3秒。山林監視官である先生は、「30m位深さがあるね。」と教えてくれました。L=1/2gt2です。
井戸に説明書があり、先生がそれを解説。1000年程前から、ここにはこの井戸があり、周りに20戸位の家があって村になっていたこと。村を囲う壁があったこと。子供達は先生に連れられて、今も残るその壁を見に行きました。
次に自転車で向ったのは、「アメリカ人の道」。ここは、第二次世界大戦中にアメリカ軍が街に向って戦車で砲撃した場所です。先生は以下の話をしてくれました。
第二次世界大戦中、先生の先輩である山林監視官だった人が山の様子を見回っていると、前方からアメリカ軍の戦車がやってきました。この付近には、樹齢が高く美しい木が多くあった為、山林監視官は戦車を止めて注意をしました。
こらっ!山の中の木を倒して木を傷つけたのだから、罰金を払いなさい!
すると、アメリカ軍の将校がやってきて、
そこをどけ!さもないと撃つぞ!
と言いました。憤慨した山林監視官は、戦車がハイデルベルクの方向へ走り去っていく後から、
この街から出て行けー!
と叫んだそうです。
この山林監視官は、山から街に戻ってくると、住民にアメリカ軍の戦車が山の上から砲撃するので、避難するようにと言いました。多くの住民は隣町などに避難をしましたが、そのまま自宅に留まる人もいたそうです。大切な自分の家を砲撃から守るためです。アメリカ軍は、街の市庁舎に向って何回か砲撃をし、ハイデルベルク城のある山の方向へ進んで行きました。
夏休みプログラムの良点:何かに興味をもっている人、何かの仕事をしている人は、誰でも先生になれる
ドイツで夏休みに開催される夏休みプログラムの良いところは、何かに興味をもっている人、何かの仕事をしている人は、誰でも先生になれることです。
黒柳徹子さん著『窓ぎわのトットちゃん』の「畑の先生」によく似ています。
畑仕事に従事している人は、畑の先生。夏休みプログラムでも同じです。毎日、山で仕事をして山の様子を見ている、その山の事を熟知している山林監視員の方が、山の先生になるのです。
自分が住んでいる街について、子供達が夏休みの楽しいプログラムの中で、この街の山の専門家るであ山林監視官から、この様な形で学習できる機会があることは、大変素晴らしいこと。先生と一緒に自転車をこぎ、自分の目で見ている物について先生から詳しい説明を頂く。これに勝る学習はありません。
また、夏休みプログラム開催に税金が使われるため、参加費が少額になるのも子供を持つ家族にとって大変うれしい点です。
まとめ:夏休み、いつもとはちょっと違う体験をしてみよう
いかがだったでしょうか。
夏休みは長い休みだからこそできる、子供が今一番興味を持って楽しめる、自分と子供が一緒に楽しめる、いつもとはちょっと違う体験をして、思い出に残る夏休みになるといいですね。
次回の連載記事では「外国から祖国『日本』を思う」をテーマにお届けします。お楽しみに!
記事をお読み頂きありがとうございました!
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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
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- ハイデルベルク
ハイデルベルク市公認ガイド。バイオリン教室主宰。「石油を掘りたい!」と工学を学び、日本で土木技術者として働く。その後メキシコでスペイン語を学び、日西通訳として働く。メキシコ滞在中にドイツ人現夫と出会い、2003年に渡独。現在、ラグビーに夢中な2人の男子の母。