日本でも大注目!ドイツの“子供大学”って何?
- クリューガー量子(Ryoko krueger)
- Glolea! ドイツ・家族の暮らしアンバサダー
目次
ドイツの「子供大学」潜入レポート!
ドイツでは、子供達が大学の教授陣から実際の大学の講義室にて講義を受ける「子供大学(Kinder-Uni)」という取り組みが各地の大学にて行われています。
日本でも、その取組が注目され始めており、実際に埼玉県や茨城県の大学にてドイツの取り組みをモデルとした子供大学が開催されており注目が集まっています。
今回の連載記事では、ドイツ最古の大学である「ルプレヒト・カール大学ハイデルベルク(以降、ハイデルベルク大学)」で毎年2回開催される、子供大学について潜入レポートをいたします!
子供大学とは?
ハイデルベルク大学で実施されている子供大学では、実際に大学で教鞭をとる教授や研究者が、子供達に講義をしたりワークショップを率いています。
子供の対象年齢は9〜12歳。小学生中学年〜高学年にあたる子供達が、20以上の異なるテーマから、好きなテーマの授業を大学にて受講することができるのです!
ハイデルベルク大学で行われたワークショップや講義の内容の例は以下です。
- 0と1。コンピューターはこの2つの数字で機能する。0と1をどのように音楽、ビデオ、写真に変換するか。
- ジュネーブ近郊の地中に造られた30kmのトンネルは、どのように機能するか。2012年にそこで何が発見されたか。
- 地球をぐるり一周。80日間世界一周の旅。
- 地球上にある色
- 騎士と城
- マグマ、火山噴火、火山灰。君も1日火山専門家!
子供大学の講義は本格的!
当時9歳だった息子と、子供大学の「物理学」の講義に参加しました。
テーマは「ジュネーブ近郊の地中に造られた30kmのリング状トンネルは、どのように機能するか。2012年にそこで何が発見されたか」
場所は大学キャンパス内の物理学科の大講義室。大学の建物に入るのも、多くの子供達にとっては初めての体験です。
建物内には講義に関する展示物が多く設置され、講義前に物理学生が子供達に熱心に説明してくれます。
講義は物理学教授が担当。参加した子供の数は約70名。前方の大きなスクリーンに原子の図を映して、教授が子供達に質問しながら講義が始まりました。
教授は大変気さくな方で、楽しく講義が進んでいきます。
子供達は「子供大学」で活発に発言!1時間の講義で質疑応答は20分
この講義で何より印象的だったのは、子供達がよく発言すること。
子供達は何か質問したいことがあったり、知っていることがあったりすると、時を選ばず手を上げます。これを1人、2人、数人ではなく、70人の子供達が同じように行うのです。
教授は、順番に挙手をしている子供達を当てていきます。
うん、その通り。
良い質問だね。
と言いながら、子供の発言に頷き、質問に答えていきます。子供達の発言も多くが的を得ているものでした。
実験も行われ、教授と子供達のやり取りで進んだ講義は40分で終了。
教授が
何か、質問ありますか?
と子供達に聞くと、更に沢山の手が挙がり、残りの20分間全てが質疑応答となりました。
ドイツの子供達は「子供大学」を通じて自分の街と触れ合い、ホンモノに触れることで更に大きく興味を広げていく
自分の街にある大学でどういった研究が行われているのかということを、現役の研究者から直接教えてもらい、自分自身も考えて、他の子供達と話し合う機会があるというのは、素晴らしいこと。
子供達は自分の街とより深く触れ合うことで、更に大きく興味を広げていきます。
ドイツの「子供大学」、とてもいい試みです。ぜひ、日本でも更にこのような試みが拡がると良いですね!
次回の連載記事では「ドイツの小学校生活に見る、子供が毎日楽しく学校に通うための6つの秘訣」をテーマにお届けします。お楽しみに!
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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
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ハイデルベルク市公認ガイド。バイオリン教室主宰。「石油を掘りたい!」と工学を学び、日本で土木技術者として働く。その後メキシコでスペイン語を学び、日西通訳として働く。メキシコ滞在中にドイツ人現夫と出会い、2003年に渡独。現在、ラグビーに夢中な2人の男子の母。