子どもの貧困問題&ワーキングマザーの社会復帰・金銭的な自立を一挙に解決するインド教育NGOの手法とは?
- 今泉沙織(Saori Imaizumi)
- Glolea! テクノロジー&世界教育アンバサダー
今回は、
- 子どもの貧困問題
- ワーキングマザーの社会復帰
- 女性の金銭的な自立
…等を教育と仕組みで解決するインドNGO「Katha」が行うスラムの子ども向けの教育機関についてご紹介いたします。
NGO「Katha」創始者Geeta Dharmarajanさんのプレゼンテーションがすばらしく、彼女のパッションと教育理念と活動に私はとても感銘を受け、Kathaを訪れる事にしました。
この学校はインドの首都デリーのスラムにあります。
私が取材に訪れた日は雨でスラムは写真の通り水びだし。学校の向かい側の家の子も牛と一緒に暮らしているような感じで、お母さんも雨だから特に子どもに学校に行くように促しているわけではありません。
そう思うと日本のお母さんは雨でも雪でも子どもを学校に連れて行って偉いですよね!
この学校はスラムにいて学校に行けない子が教育を受けられるようにと作られ、学校を卒業した後に生徒は公立学校に入ったり、IT、刺繍、ファッションデザイン、大工、英語、起業家育成などの職業訓練教育を受けた女性は仕事を得たりしています。
この学校の主な特徴は2つ。
- ストーリーテリングの手法を使った教育
- スラムの問題解決ができるような教育
を行なっている点です。
目次
ストーリーテリングを用い識字率のアップ&習慣・文化・倫理…を学ぶスラムの子ども達
まず、ストーリーテリングですが、Kathaでは識字教育の一環としてストーリーテリングの手法を使い、子ども達に文字を覚えさせると同時にインド独自の習慣や文化、さらに倫理、環境問題、スラムの問題などを ストーリーの中で教えています。
インドでは独自の絵本などがあまりないので、Kathaでは絵本を出版しその絵本を教材として使っています。
また絵本に出てくる色々な登場人物を学校の壁画や装飾に使う事で絵本と現実世界を結び、より子どもの記憶に絵本のストーリーが残り、更に創造力を湧かせるような仕組みが出来ています。
Kathaの教育は日本での幼児教育にも応用可能
日本だと絵本を手に入れることは難しくなくたくさんありますね。
絵本のストーリーを子ども部屋や保育園の教室の装飾に結びつけると更に子ども達の記憶力に良い影響を与えられるかもしれません。
写真からも様子が分かると思いますがKathaはカラフルで楽しい学校です。
スラム問題を教育と仕組みから解決に導く手法
次はスラムの問題解決を取り入れた教育についてです。
例えば、子どもがいるために、学校で教えることを断念するなど、教えに来るのが難しい先生のために、Kathaは保育園、小学校に併設して職業訓練校まで用意しています。
先生がクラスで教えている間にKathaの保育園等に子どもを預けられるようになっています。これによりワーキングママである先生も安心して自由に子どもに教えられます。
貧しい家庭のお母さんに職業訓練の機会を与える事でお母さんが金銭的に自立できるようにし、子どもを働かせる代わりに子どもに教育の機会を与えることができます。
ポジティブなサイクルを生み出すことで
子どもの貧困&教育機会の向上、貧困から抜け出す工夫
このようなポジティブなサイクルを作らない限り貧しい家庭に生まれた子どもは教育機会が与えられず、貧困から脱出できません。
そのため、様々な問題を解決できるNGO「Katha」が行う教育デザインの仕組みはなかなかよく考えられているなと思いました。
何を教えるかではなく、どう教えるかを大切にすることで
問題解決能力を高める
またコンピューターの授業では、パワーポイントの使い方を教える際にプロジェクトという形で授業を行い、子ども達にスラムの中にある井戸の場所をマッピングさせ、
今後、井戸を作るとしたらどこに作るべきか
という問題解決に取り組ませていました。
授業の終わりには政府にもプレゼンすることになり、生徒達はこのような機会に喜んでいましたし、同時に自分たちのスラムをよりよくするという意識も芽生え、一つのコンピューターの授業が多くのよい結果をもたらしました。
何を教えるのかということ以上に、どう教えるのかがこんなにもインパクトを与える事ができるのかということに衝撃を受けました。
なお、現在NPO「Katha」は教員教育のトレーニンングを他の学校にも行なっており、彼らの教授法を広めているそうです。
今回ご紹介させていただいたインドのNPO「Katha」の素敵な教育方法が少しでもお母さんや先生方のインスピレーションとなってくれることを願っています。
日本でも色々な社会問題はあると思いますが、Kathaのように授業や学校の仕組み作りによってそのような問題を解決できるような教育機関がもっと増えればよりポジティブな社会作りができるのではないでしょうか。
記事をお読み頂きありがとうございました!
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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
- 今泉沙織(Saori Imaizumi)
- Glolea! テクノロジー&世界教育アンバサダー
- From the world
米国のワシントンDCベースで世界銀行にてテクノロジーと教育にフォーカスして仕事をしています。アメリカで起きている教育テクノロジーのイノベーション、途上国の教育現場、そして仕事をする中で出会うグローバルママ達のグローバル子育てについてレポートしたいと思います!