オランダのサバイバル水泳は
運河の多い国ならではの命を守る術だった！

▲サバイバル水泳のディプロマＡテストの前に緊張の子どもたち

多数の運河や川、そして海に囲まれたオランダ。のどかな風景がどこまでも広がっていますが、この土地は、泳げない人にとっては非常に危険な土地でもあるのです。

遊んでいたら誤って庭先の運河に落ちてしまった、歩いていたら足を踏み外してしまった、少し酔っ払って自転車を漕いでいたらそのまま運河に突っ込んでしまった、そんなことは日常茶飯事です。

3歳から水泳の特訓！？
幼児教育からサバイバル水泳に力を入れるオランダ 

そんな土地柄のオランダですが、実は子どもや大人が溺れて大変な事態に陥るということはあまりありません。何故でしょうか。それは国を挙げて「サバイバル水泳」のディプロマ取得に力を入れているからなのです。

▲サバイバル水泳ディプロマＣでは、子どもでもコートを着て泳ぎます！

オランダでは、ほとんどの子どもの初めての習い事は「水泳」です。

大抵３歳か４歳から通い始めます。

どの子どももディプロマ取得を目指し、日々水泳レッスンに取り組みます。そして約1年ほどで最初のディプロマＡを取得します。ディプロマはＡ、Ｂ、Ｃの三種類で、最終Ｃまで取得すると一人前として扱われることになります。

オランダで生きていくために必要なサバイバル水泳＆ディプロマ

ディプロマの内容は非常に多岐に渡っています。

例えば最終ディプロマＣともなれば「着衣水泳（洋服を着たまま泳ぐ）」でコートまで羽織って１００Ｍも泳がなければなりません。

それ以外にも

• 立ち泳ぎ
• 背泳ぎでの遠泳
• 障害物を乗り越える
• 水中潜り
• 何かにつかまって30秒間浮かび続ける
• 自力で岸に上る

…etc.　全ての項目は実際に運河に落ちた時、自力で助かる方法を想定して作られているのです。まさにサバイバル！　生きて行くために必要なプログラムなのです。

 オランダの水泳ディプロマ取得のテストは家族・親戚総動員！

ディプロマ取得のテストは公式行事として各地のプールで行われます。テストを受ける子どもの親は親戚にまで声をかけて、家族総出で応援に駆けつけます。

まさに盛大な発表会といったところです。

花束やプレゼントを抱えた大ぜいの人々を見て、緊張のあまり泣き出してしまう子どももいます。多くの子どもにとってこれが初めての試練なのかもしれません。

しかし、最後にディプロマを取得した瞬間、子どもは大得意顔になり、家族も子どもの成長を喜んでお祝いします。

ディプロマの効力か…夏にビーチで溺れるオランダ人は皆無！！

このディプロマの効力はやはりものすごく、夏のビーチでライフセーバーが助ける人々の多くはトルコやポーランドからやってきた出稼ぎ者などで、溺れるオランダ人の子どもや大人はほぼ皆無なのだそうです。