スウェーデンでは公立・私立問わず義務教育は文房具までも“全て無料”!?スウェーデンの義務教育システム徹底解説
- 長谷川佑子(はせがわ・ゆうこ/Yuko Elg)
- Glolea! スウェーデン子育てアンバサダー
こんにちは! スウェーデン女王認定 認知症専門看護師/Glolea! スウェーデン子育てアンバサダー長谷川佑子です。
スウェーデンの教育制度は、その柔軟性と平等性で世界的に知られています。
さらに、公立・私立を問わず、義務教育では文房具までも“全て無料”で提供される点は、日本人の保護者にとって驚きではないでしょうか。
今回は、そんなスウェーデンの義務教育システムについて、詳しく解説していきます。
目次
- スウェーデンの学校生活は8月スタート! 小学生も志望校登録が必要ってホント?
- スウェーデンの学校システムとは?
- 年齢と学年の対応表 スウェーデンの教育システムをわかりやすく!
- 入学年を1年遅らせて始めるのもOK! 柔軟な入学年齢制度と子ども中心の教育方針がスウェーデンの特徴
- スウェーデンの幼児クラス「Fクラス(0学年)」とは?
- スウェーデンの義務教育は3段階 成長に合わせた学びの仕組み
- スウェーデンの義務教育 低学年・中学年・高学年の学習内容の違いとそれぞれの特徴は?
- 無料で提供される教育と豊富な支援…スウェーデンの学びを支える仕組み
- 学校選びと多様な環境 子どもに合った学び舎を見つける方法
- スウェーデンでは高校進学の準備はどうしている?
- まとめ:スウェーデンの義務教育制度とその魅力
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スウェーデンの学校生活は8月スタート! 小学生も志望校登録が必要ってホント?
スウェーデンでは、子どもたちの学校生活が通常6歳の8月にスタートします。日本の4月入学&新学期開始とは異なるため、新鮮に感じる方も多いかもしれません。
先日、小学校進学前の5歳の娘に「学校選びの案内カード」が市から届きました。
案内カードは子どもが入学する前年の1月頃に配布され、小学校の進学先としての志望校を1番から3番まで選び、登録するというシステムになっています。
さて、その後は、どのように決まるのか。
進学先は5月頃に決定します。
街中に花が咲き始める頃に通知が届くため、家族にとっては待ち遠しい時期となります。
スウェーデンの学校システムとは?
スウェーデンの義務教育は0学年から9学年までの計10年間で構成され、日本のような「小学校」や「中学校」の区分けがありません。
以下のような流れで進みます。
- 6歳:Fクラス(※Fクラスは「0学年」と呼ばれることもあります)
義務教育開始。
初等教育の橋渡しとしての役割のプリスクール(就学前教育)課程。
- 7歳:1学年
正式な初等教育スタート
- 15歳:9学年
義務教育修了
年齢と学年の対応表
スウェーデンの教育システムをわかりやすく!
年齢 | Grade (Swedish) | Grade (English) |
---|---|---|
6歳 | Förskoleklass(Fクラス/0学年) |
Preschool class (F-class/Grade 0) |
7歳 | Årskurs 1 | Grade 1 |
8歳 | Årskurs 2 | Grade 2 |
9歳 | Årskurs 3 | Grade 3 |
10歳 | Årskurs 4 | Grade 4 |
11歳 | Årskurs 5 | Grade 5 |
12歳 | Årskurs 6 | Grade 6 |
13歳 | Årskurs 7 | Grade 7 |
14歳 | Årskurs 8 | Grade 8 |
15歳 | Årskurs 9 | Grade 9 |
入学年を1年遅らせて始めるのもOK! 柔軟な入学年齢制度と子ども中心の教育方針がスウェーデンの特徴
実は、スウェーデンでは、義務教育の開始年齢が柔軟に設定されています。
子どもの発達には個人差があり、生まれた月によって成長のペースも異なります。例えば、1月生まれと12月生まれでは大きな差が出ることもあるため、学校生活をゆっくり始めたい子どもは、0学年の開始時期を1年遅らせて始めることもできます。
慌てず子どもに合わせて
というのがスウェーデンでは一般的で、特別なことではありません。
スウェーデンの幼児クラス「Fクラス(0学年)」とは?
日本ではなじみのないプリスクール(就学前教育)課程ですが、スウェーデンでは6歳のFクラス(Förskoleklass/0学年とも呼ばれる)のプリスクール課程から義務教育がはじまります。
本格的な初等教育が始まる前の1年間を「Fクラス」として位置づけ、子どもたちが学習にスムーズに移行できるようサポートする準備期間としています。
Fクラスでは、 基本的な知識と社会的スキルを導入するためのより遊びベースの指導により、正式な初等教育が始まる小学校1年目に備えます。
スウェーデンの義務教育は3段階
成長に合わせた学びの仕組み
Fクラス(0学年)を経て、義務教育は正式な小学校1年生(=1学年・Grade 1/7歳)から9年生(=9学年・Grade 9/15歳)まで続きます。
なお、1学年から9学年までは
- 低学年
- 中学年
- 高学年
の3段階に分けられています。
スウェーデンの義務教育
低学年・中学年・高学年の学習内容の違いとそれぞれの特徴は?
1.【低学年】1〜3学年(7〜9歳):基礎を築く時期
- 学習内容:
読み書き、計算などの基礎的なスキルを重視します。
- 特長:
子どもたちは理科や社会などの基礎科目も学びます。
2.【中学年】4〜6学年(10〜12歳):興味と理解を深める時期
- 学習内容:
歴史、地理、自然科学などのより多くの科目を導入して、科目の知識を深めます。
- 特長:
学習方法はより自立し、より構造化されたグループワークやプロジェクトに取り組むようになります。生徒は第三言語 (スペイン語、フランス語、ドイツ語、フィンランド語など)などの選択もできます。より多くの科目と機会が含まれています。
3.【高学年】7〜9学年(13〜15歳):進路を見据えた学び
- 学習内容:
より専門的で、高度な教育、分析スキル、批判的思考を学び、高校進学の準備をはじめます。
- 評価:
A(最高評価)からF(不合格)までの成績が付けられます。
A が最高等級、E が合格となります。 F は学生が知識要件を達成していないことを意味します。
無料で提供される教育と豊富な支援…スウェーデンの学びを支える仕組み
スウェーデンでは、公立・私立問わず、義務教育期間中は全てが無料で提供されます。
0学年で学校生活が始まる際には、子ども一人ひとりに対して鉛筆などの必要な文房具が学校で準備されます。
そのため、親が用意するものは、外で遊んでも濡れず、寒くない格好と、午前のおやつに食べるフルーツくらいです。
また、高学年になると、各自にパソコンも配布され、学校からの連絡や授業の変更などは自分で確認する仕組みが整っています。病欠などの連絡も、学校指定のアプリを通じて行われ、紙や電話で連絡することはありません。
学校選びと多様な環境
子どもに合った学び舎を見つける方法
スウェーデンでは、それぞれの学校は、学校の規模によって通える学年が違います。
例えば、日本のように必ず1年生から6年生が同じ学校に通い続けるのではなく、
- A校:
大きい学校なので、0学年から9学年まで通うことができる。
- B校:
小規模な学校なので、0学年から3学年まで通うことができる。
- C校:
6学年から9学年まで通学可能。
…と、学校によって学年構成が大きく違います。
様々なサイズの学校があり、子どもの個性や性格によって、どのような環境で学ぶのがいいか、考えることも大事になります。
こうした多様な教育環境こそ、スウェーデン教育の大きな魅力と言えます。
スウェーデンでは高校進学の準備はどうしている?
スウェーデンでは、小学校(義務教育)は9年間で修了します。
その後、生徒は高校(後期中等教育)に進学し、興味や目標に応じたプログラムを選択します。
高校では、
- 自然科学
- 社会科学
- 職業訓練
…など、多様なプログラムが用意されており、各生徒が自分の将来の進路に合った学びを追求することができます。
まとめ:スウェーデンの義務教育制度とその魅力
スウェーデンの教育制度は、子どもの発達に寄り添い、柔軟性と平等性を重視しています。義務教育から高校準備まで、子どもたちが自分のペースで成長し、自立した学びを実現する仕組みが整っています。
この教育方針が、多くの国からスウェーデンの教育が注目されている理由といえるでしょう。
今回は、
ウェーデンでは公立・私立問わず義務教育は文房具までも全て無料!?スウェーデンの義務教育システム徹底解説
をテーマにお届けしました。次回もお楽しみに!
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- ウプサラ
2008年からスウェーデン王国、ウプサラで暮らしています。スウェーデン人の夫、3歳の娘の3人家族。森でのベリー摘み、湖での水遊び…日本とはちょっと違った子育てをしつつ、北欧文化を体験する日々です。 母親も外で働くのが当たり前の国での社会のしくみ、女性たちの生き方もお伝えしたいと思います。