スウェーデンの学校水泳では速さやフォームを競わない!? 水を楽しむ人生づくりが目標の水泳授業で学ぶこと
– 小学生・中学生・高校の水泳教育で学ぶこととその目的 –

長谷川佑子(はせがわ・ゆうこ/Yuko Elg)
Glolea! スウェーデン子育てアンバサダー

こんにちは! スウェーデン女王認定 認知症専門看護師/Glolea! スウェーデン子育てアンバサダー長谷川佑子です。

スウェーデンの水泳教育

夏は子どもから大人まで、水で遊ぶことが大好きなのがスウェーデン人

 

私は寒くて水のそばにすら行かないような気温でも、夏にお日様が出ると

水浴び行こう!

となります。

 

水浴びは多くの場合「湖」です。

一年中湖で泳ぐのが好きなスウェーデン人

「湖」は家の近くにもあるので、公園に遊びに行くような感覚で、しっかり泳ぐというより“ひと浴び”してくるような感じです

 

今回は、水を楽しむことが好きなスウェーデンならではのユニークな学校での水泳教育についてお届けします。

スウェーデンの学校にはプールがないってホント!? でも水泳授業は一年中あり!?

日本の学校のプール

日本の多くの学校にはプールがあると思います。私たちが以前暮らしていた北海道の在校生12人の小学校にも屋根付き25メートルプールがありました。学年によりクロール、平泳ぎなど正しいフォームで泳げるような指導がありました。


スウェーデンの学校にはプールがありません

 

暑い時期(6月から8月)のすべてが夏休みだからという理由もあるかもしれませんし、各校でプールを管理するコストが高いためにそのようなことをしていないのかもしれません。

スウェーデンの学校で学ぶ水泳は水の事故を防ぐ「溺れないための水泳」

スウェーデンの学校水泳は夏に限らず「通年」で市内の屋内プールで行われる

スウェーデンの学校にはプールがない

学校にプールがないので、生徒が5〜6人のグループに分けられ市内にある屋内プールへ体育の先生と補助教員(いつも担任とクラスにいる先生)とバスでプール施設に向かいます。

 

屋内プールなので、夏に水泳の授業があるわけではなく、年間を通じてグループごとに順番に水泳の授業が行われます

 

そして、学校からの引率教員とプールで働く指導員によって、すべての子どもが水に親しみ、泳げるように支援します。

スウェーデンの「小学校」での水泳教育:
まずは水に慣れるところからスタート!

スウェーデンの小学校での水泳授業

小学生の場合、水泳の授業は0学年から3年生までは、水に慣れることを目的としており、スウェーデンの学校省は具体的な授業時間ややり方の指導はなく、学校ごとに決めるようなルール設計がされています。

 

スウェーデンでは、水を楽しむ環境の多くは自然の中にある、

といった場所になります。

スウェーデン人が泳ぐ場所は湖・海・川

▲スウェーデン人は自然の中で泳ぐことが身近だからこそ学校教育では「水を楽しむ人生づくり」が水泳教育の目標になっています。

なので、スウェーデンの学校教育で学ぶ水泳授業は、

  1. 「海」や「湖」が人生を通じて楽しめる場所となること
  2. 水の事故を防ぐことと緊急自体への対処
  3. 安全に遊べること

を主な目的としています。

スウェーデンの「中学校」での水泳教育:
水上での安全性と対処を学ぶ

中学校では、

  • 水泳技術
  • 水上での安全性
  • 緊急事態への対処

が教育に含まれることになります。

スウェーデンの「高校」での水泳教育:
水上での事故に備えた処置と命の守り方を学ぶ

また、高校では

  • 応急処置
  • 心肺蘇生法

も具体的に教えられます。

速さやフォームの美しさではなく命を落とさずに水と触れ合うかを大切にするスウェーデンの水泳教育

6年生の体育で合格点を獲得するには、

  • 200 メートルを泳ぐ(そのうち少なくとも 50 メートルは仰向けで、残りは任意の泳法で泳げなければならない)
  • さまざまな季節に、補助装置を使用して水による緊急事態に対処できなくてはならない

としています。

 

多くの子どもは、息継ぎのいらない背泳ぎと、顔を上げたままゆっくりと平泳ぎをしてこの200mという課題をクリアしているようです。

 

実際に、「湖」で泳ぐとなると、途中で足をつくことも何かに捕まることもできません。そのため、老若男女200〜500mくらいは泳げないと危険です。

 

速さやフォームの美しさではなく、いかに体力を使い切らずに浮くように泳いでいられるのかが、何かあった時にも命を落とさないためには大切なのだと気が付きました。

水辺の遊びが大好きなスウェーデン人

夏の湖には、静かに水から顔だけをだしている光景をよくみます。

 

高齢者の人もプカプカと気持ちよさそうに泳いでいます。

スウェーデンでは高齢者も楽しむ水泳

マイナス10度でも水で遊ぶ!? スウェーデン人の真冬の水浴び

水に入ることは、暑い夏だけのものではありません。

 

みんなというわけではありませんが、マイナス10度の真冬に、凍った湖の氷を割ったところに入る寒中水浴をする人が、職場にも親戚にもいます

真冬でも水泳を楽しむスウェーデン人

また、学校でも娘は6年生で

凍った湖が融けかかって、クラスのお友達が氷の間に落ちてしまった

という設定の「救助」について着衣水泳を真冬にやっていました。

 

冬の湖はスケートをしによく行くところなので、冬でも水の事故の可能性があるためこの授業があるのですが、過酷すぎる環境で親の私は心配ですが、子ども達は初めての体験に大いに盛り上がっていたようです。

まとめ:スウェーデンの学校水泳はなぜ速さやフォームを競わないのか? 生涯にわたり「水」を楽しむために

スウェーデンの水泳授業

水泳という競技ではなく、水に慣れ、水の事故から自分を守るという教育方針がとてもスウェーデンらしいですね。

 

今年も湖の真ん中でプカプカと浮いている娘を、安心して岸から見ていられるのはありがたいです。

 

ただ、日本人母は、真夏でも冷たい水に耐えられず野外での水泳は今年も遠慮させてもらいます。

 

今回は、

スウェーデンの学校水泳では速さやフォームを競わない!? 水を楽しむ人生づくりが目標の水泳授業で学ぶこと
– 小学生・中学生・高校の水泳教育で学ぶこととその目的 –

をテーマにお届けしました。次回もお楽しみに!

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スウェーデンらしい水泳教育

 

記事をお読み頂きありがとうございました!

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長谷川佑子(はせがわ・ゆうこ/Yuko Elg)
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ウプサラ

2008年からスウェーデン王国、ウプサラで暮らしています。スウェーデン人の夫、3歳の娘の3人家族。森でのベリー摘み、湖での水遊び…日本とはちょっと違った子育てをしつつ、北欧文化を体験する日々です。 母親も外で働くのが当たり前の国での社会のしくみ、女性たちの生き方もお伝えしたいと思います。

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