北欧「スウェーデン流」子育てスタイル★子どもと一緒に楽しむ身近な自然
自然の中で「何もしない」という“価値ある時間”の楽しみ方
- 長谷川佑子(はせがわ・ゆうこ/Yuko Elg)
- Glolea! スウェーデン子育てアンバサダー
自然の中で過ごすことが大好きなスウェーデン人。
多くの人の夢は
森の中でひっそりと暮らすこと
だとか。
保育園の時間に「森歩き」をするのは、子どもの大好きなことで、見つけた小枝や石をポケットに詰めて帰ってくることもしばしば。
なので、洗濯の前はよく確認しないと大変ですが、子どもが森で見つけた虫の話をするときの目はとても輝いています。
そして、老人ホームで暮らす高齢者はどの季節も外へ散歩に行きます。
スウェーデン女王認定 認知症専門看護師である私。普段は、北欧最古の大学であるウプサラ大学などがある学園都市「ウプサラ市」にある高齢者ケアホームに勤務しています。
勤務先のスタッフが紅葉した葉っぱを両手いっぱい集めて車椅子に座る高齢者の膝にのせたら、
落ち葉の中に寝転がって遊んだ子どもの頃みたい
と、喜んでいました。
今回は、スウェーデンではどのように子どもと共に自然を満喫しているのかをテーマにお届けします。
本記事でお伝えするスウェーデン人の
- 自然とのふれあい方
- 根底に流れる時間の考え方
を通じて、子育て・家事・仕事などで忙しく、ちょっと時間に追われ気味になりがちな日本のママ&パパのライフスタイルであっても、もっと気軽に自然に触れ、リラックスし、豊かな日常生活を送るヒントやアイデアを得られるかもしれません。
目次
- 自然の中で「何もしない」という“価値ある時間”を楽しむ
- 約2ヶ月間のスウェーデンの夏休みは宿題なし! 長い夏休みは何をする?
- 意識的にリラックスすることは自分の「集中力」をコントロールすることにも繋がっている!?
- 自然の中で脳のフル回転をOFFしてリラックス
- 「フィーカ(fika)=お茶」しよう! ※スウェーデン語でフィーカ(fika)はお茶の時間
- 職場でも「フィーカ(fika)=お茶」タイムを大切にするスウェーデン人だけれど森で楽しむフィーカは格別!
- 子どもと共に自然を楽しむこと 大人が自然への想いやその喜びを伝えることの大切さ
- スウェーデン人が“家族や友達と共に楽しむ自然”から学ぶ「生きる力」
- 関連リンク
自然の中で「何もしない」という“価値ある時間”を楽しむ
都会から離れて自然の中に行った時には、思いっきりアクティブに楽しみたいと思う人も多いかもしれません。
しかし、積極的に何かをしなくても、木に囲まれた森の中や、静かな水辺でただ静かに座って、水の音や風になびく木の葉をみているだけで、“ストレスホルモン”の「コルチゾール」が減少します。
少しの時間でもお日様に当たれば、その日の夜はよく眠れるでしょう。
何もせずとも、自然の中に身を置くことには価値があるのです。
約2ヶ月間のスウェーデンの夏休みは宿題なし! 長い夏休みは何をする?
スウェーデンの夏休みは長く約2か月もありますが、宿題はありません。
家族や友人と思い切り楽しむ時間です。
うちの娘は湖にエアーベッドを浮かせて寝そべり、半日ボーとしてる日もあります。
な〜んにもしません。
もちろん、大人ものんびりと。サマーハウスで時々、ペンキ塗りや家の修理を楽しんでいます。
「何もしない」という価値のある時間を過ごし、リラックスするからこそ普段の仕事も頑張れる
のだそうです。
意識的にリラックスすることは自分の「集中力」をコントロールすることにも繋がっている!?
スウェーデン人は職場でも比較的のんびりと仕事をしていますが。。。ここは日本と比較してはいけません。
普段忙しい日本人は、何もしないで長い時間過ごすのは、始めは難しいかもしれません。
私がスウェーデンに移住したころ、何もしないで過ごす長いバケーションは正直、苦手でした。
でも、リラックスして、普段考えている事をすっかり忘れて、目の前の湖や鳥を見ているととってもリフレッシュします。
意識的にリラックスすることは自分の集中力をコントロールすることにも繋がっていると思います。
自然の中で脳のフル回転をOFFしてリラックス
自然の中にいるという環境の変化が、日常生活で「忙しく働いている脳」から「リラックスの脳」へスイッチの切り替えを助けてもくれます。
お子さまと一緒に、数時間ただ ぼ〜っ と景色を眺める。
そして、日常の
あれしなくちゃ、これ準備しておかなくちゃ
…という脳のフル回転状態をOFFする。
忙しい日々の中で、うまく心(≒脳)や身体の切り替えができない時こそ、自然の中で「何もしない」というリラックス時間を意識的に作ってみると良いでしょう。
「フィーカ(fika)=お茶」しよう!
※スウェーデン語でフィーカ(fika)はお茶の時間
もし自然の中に行く前に、少しでも時間があれば是非
- 温かい飲み物
- お気に入りのお菓子
を持って行くことをおすすめします。
もちろんお弁当を作って持っていけばより楽しいかもしれませんが、家族の食事を用意することはとても大変で、出かけることのハードルが上がってしまいます。
何もなくても行く価値のある自然の中でお茶ができれば最高だ!
と思ってみてはいかがでしょうか。
お茶をする前は、少し散歩をして居心地のいい場所を見つけましょう。
職場でも「フィーカ(fika)=お茶」タイムを大切にするスウェーデン人だけれど森で楽しむフィーカは格別!
スウェーデン人は職場でも毎日フィーカ=お茶タイムは欠かせませんが、
森の中でのフィーカは特別で本当に大きな喜びだ!
と誰もが言います。
自然とお茶の組み合わせは
人生を満喫している
という気持ちにさせてくれるようです。
子どもと共に自然を楽しむこと
大人が自然への想いやその喜びを伝えることの大切さ
スウェーデン人の義父は娘に
森でお茶をすると空気がいいから特別美味しい。
いつものコーヒーとは全く違う味だ。
と毎回言います。
娘はそれを小さな時から聞いており、彼女も
森での「フィーカ(fika)」は特別で素敵な時間だ
と信じています。
おじいちゃんの大好きな娘なので多分本当に思っているのでしょう。
大人が自分たちの国の自然を楽しみ、生活の中の喜びとしてそれを子どもの前で口に出すことは、子どもたちの自然を大切にする想いへ大きな影響を与えると思います。
おじいちゃんの森の中でのポジティブな言葉はまるで魔法のように!? 呪文のように!? 家族みんなを楽しい気持ちにさせてくれます。
スウェーデン人が“家族や友達と共に楽しむ自然”から学ぶ「生きる力」
スウェーデン人にとって「ソーセージ」は生活の中で切り離せない食べ物です。
日本人のおにぎりのような存在かもしれません。
スウェーデン人が週末ゆっくり友人や家族と自然の中で過ごす時は「グリルソーセージ」を楽しみます。
多くの場合ホットドッグのソーセージとパン、焚き火の用意をします。
子どもが大人と火を焚き、近くに落ちている長い棒をナイフを使って削り、そこにソーセージをさして、焼いたものをホットドッグにして食べます。
子どもは火のつけ方を覚え、ナイフの使い方を自然と身につけていきます。
こういったことが「生きる力」に繋がるのかもしれません。
いつもほぼ同じメニューなので、「いつも通り」と思ってしまうのは、私だけのようで、スウェーデン人は
何を食べるかよりも、誰と何をするのか
ということを大事にしているようです。
子どもとよく燃えそうな小枝を集めて、
どうしたら火がつくのか。
焦げても、落としても仕方ない。
と思って「子どもに自分でやらせてみる」ということをメインに考えれば、自然の中で食べるものはいつも同じでも美味しくて、焚き火は楽しい時間になります。
デザートにマシュマロを焼けば、子どもにとっては大満足な一日になるでしょう。
今回は、スウェーデン流の自然の楽しみ方や考え方をお届けしました。みなさんも自分に合った自然の楽しみ方を見つけて、お子さんと一緒に自然に触れ豊かな日常を楽しんでみてくださいね!
関連リンク
記事をお読み頂きありがとうございました!
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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
- 長谷川佑子(はせがわ・ゆうこ/Yuko Elg)
- Glolea! スウェーデン子育てアンバサダー
- ウプサラ
2008年からスウェーデン王国、ウプサラで暮らしています。スウェーデン人の夫、3歳の娘の3人家族。森でのベリー摘み、湖での水遊び…日本とはちょっと違った子育てをしつつ、北欧文化を体験する日々です。 母親も外で働くのが当たり前の国での社会のしくみ、女性たちの生き方もお伝えしたいと思います。