はじめての英語絵本におすすめの4冊 vol.2「ディック・ブルーナ(ミッフィー)」編
- 中村春(Haru Nakamura)
- Glolea! 英語絵本アンバサダー
こんにちは! Glolea!英語絵本アンバサダー中村春です。「はじめての英語絵本におすすめシリーズ」vol.2は、ミッフィーでおなじみのディック・ブルーナです。
「ミッフィー」または「うさこちゃん」として有名な、うさぎの女の子のシリーズ。誰もが一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。
実は日本は、どこよりも早くミッフィーを翻訳して出版した国なのです! まだ英語版が出ていないものも、すでに日本語版は出版されていて、日本での愛されぶりがわかります。
そんなミッフィーのシリーズから、4冊をご紹介します。
目次
1.「Miffy in the Snow/ゆきのひのうさこちゃん」
ある朝ミッフィーが目覚めると、あたりは雪でまっしろ。
おおよろこびのミッフィーは、毛糸の帽子にマフラー、手袋で温かくして、そりにスケート、雪だるまづくり。でも、ちいさな小鳥が、雪でおうちがないと泣いていて…。
娘が0歳の頃、初めて雪が降った日に読んであげました。すっかり気に入って、何度もせがまれる、赤ちゃんから楽しめる1冊です。
ミッフィーの絵本は、中学生くらいのレベルの英文で訳されています。
to slide upon the ice, … An icy fall’s not nice.
の「アイス」と「ナイス」のように、韻を踏んでいる箇所がたくさんあります。
リズムを意識して、1行ごとに区切って読んであげると、英語特有のライムが体感できて心地いいです。
2.「Miffy and the New Baby/うさこちゃんとあかちゃん」
ミッフィーのお母さんのおなかが、まあるく大きくなりました。もうすぐ赤ちゃんが生まれるのです。
「やったー、わたし、おねえさん。」赤ちゃんのために、ミッフィーは絵を描いて、ぬいぐるみを編んで待ちます。
赤ちゃんの誕生は、上の子にとっては緊張するし、寂しくもあるもの。この絵本を読んで、赤ちゃんのために何か作って待てれば楽しいですね。
ミッフィーが学校へ持っていくお菓子は、オランダで出産報告に配る「ベスハウト・メット・マウシェス」というラスクのようなお菓子です。
ミッフィーの国ではこうやってお祝いするんだね。あなたが生まれた時は、こうしてお祝いしたんだよ
と、話してあげてもいいですね。
- 英語の絵本はこちら ≫「Miffy and the New Baby(Simon & Schuster Childrens Books)」
- 日本語の絵本はこちら ≫ 「うさこちゃんとあかちゃん(福音館書店)」
3.「Miffy at the Gallery/うさこちゃん びじゅつかんへいく」
美術館にやってきたミッフィー。絵に彫刻、モビール…。お気に入りの作品も見つかります。
「決めた、わたし、アーティストになる!」
この絵本には、実際のアーティストの作品がアレンジされて登場します。
たとえば、モビールはカルダー、ストライプの絵はモンドリアンの作品がモデル。ミッフィーがいちばん気に入った、カラフルな切り絵はマティス。
ブルーナさんはマティスが大好きで、その作品から影響を受けています。
美術館は、小さな子にはちょっと退屈な場所かもしれません。
初めて美術館に行く前に、この絵本を読んで、
一番のお気に入りを見つけて、ママに教えてね
とお話してみては?
- 英語の絵本はこちら ≫「Miffy at the Gallery(Simon & Schuster Childrens Books)」
- 日本語の絵本はこちら ≫ 「うさこちゃん びじゅつかんへいく(福音館書店)」
4.「Miffy and Melanie/うさこちゃんとにーなちゃん」
遠い外国のお友達、メラニーが、ミッフィーに会いに来てくれました。空港まで迎えに行って、お茶をして、遊んで、おふろに入って…。
ミッフィーは、メラニーが自分と違う色をしていることに気づきます。
「メラニー、あなたの茶色、とてもすてきね!」
ブルーナさんは、子どもに何かを考えさせる絵本も作りました。
大好きなおばあちゃんの死と向き合う「Dear Grandma Bunny / うさこちゃんの だいすきなおばあちゃん」。
ミッフィーが万引きをしてしまう「Miffy is Naughty / うさこちゃんと きゃらめる」。
小さい子には早すぎるかも? と大人が思ってしまうようなテーマを、きちんと取り上げています。
茶色いうさぎのメラニーを登場させたのも、そのひとつ。
白いミッフィーと、茶色いメラニーが仲良くする様子は、肌の色の違う友達のことを思わせます。
ミッフィーのように、違いを素直にいいものと思えると素敵ですね。
- 英語の絵本はこちら ≫「Miffy and Melanie(Simon & Schuster Childrens Books)」
- 日本語の絵本はこちら ≫ 「うさこちゃんとにーなちゃん(福音館書店)」
はじめての英語絵本おすすめシリーズ「ディック・ブルーナ」編:まとめ
いかがでしたか?
ブルーナさんの絵はとてもシンプルですが、どれも飾りたくなるほど素敵です。
それもそのはず、1枚の絵のために、100枚もの下絵を描いているのです。
シンプルでありながら、そこに人間味やユーモアが感じられるものを描きたい!
−− ぼくのこと、ミッフィーのこと p.45より
という、ブルーナさんの心が表れています。
ブルーナさんは、慈善活動のための切手デザイン、小児病棟の壁画、病気の理解を伝えるための絵本なども手がけています。
東日本大震災の時には、日本の子供たちのために、泣いているミッフィーの絵を贈ってくれました。
子どものために考え抜かれた、シンプルとユーモア、そして優しさ。誕生から50年以上たったミッフィーの絵本は、この先もずっと愛され続けていくでしょう。
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この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
- 中村春(Haru Nakamura)
- Glolea! 英語絵本アンバサダー
英語教材編集者、大学の国際交流担当職員を経て、絵本の道へ。制作をメインに、研究、翻訳のほか、自身のレーベル「えほんののはら」で絵本を愛する人たちの交流イベントを手がける。ただいま1歳の娘の育児に奮闘中。