イタリア流「小1の壁」の乗り越え方とは?子供に寄り添う丁寧な教育システムに迫る
- 佐々木希世(Kiyo Sasaki)
- Glolea! イタリア子育て&生活エンジョイ・アンバサダー
Glolea! イタリア子育て&生活エンジョイ・アンバサダー 佐々木希世です。みんなが大好きな夏が、ヴァカンツァ・シーズンが、終わってしまったイタリアです。ブロンズの肌をたたえあい、ヴァカンツァの話で盛り上がりつつも、忍び寄る秋の気配に皆ため息をつく今日この頃です。
とはいえ、チビっ子を持つママ達が忙しくなるのもこの季節。
9月はイタリアの学年度スタートの月です。夏休みで緩みきった子供達(大人もですが・・・)の生活リズムを立て直すのと同時に、新しいクラスや先生、お友達とともに新たな学校生活のスタートに向けて子供達を励まし、鼓舞し、お尻を叩かねばなりません。新たに揃えなければいけない物もいろいろあったりして、ママ達は何かと忙しく過ごしています。
さて、我が家はと言えば、長女は幼稚園の年長(5才)クラスになりました。1学年1クラスの小さい園なので、お友達の顔ぶれは変わりません。先生の一人も去年と同じ先生です。しかし! 新たに担任になったもう一人の先生は、何と小学校の先生なのです。
目次
「小1の壁」を乗り越えやすくするイタリアの工夫
イタリアのすべての幼稚園に当てはまるかは分かりません。が、我が家のチビ達が通う幼稚園では、いわゆる「小1の壁」を乗り越えやすくするために、思い切った工夫をいくつかしています。
その筆頭が「先生の越境」です。
2年間も続く“先生の越境”でスムーズに乗り越える「小1の壁」
具体的に言うと、年長と小1のクラスでは幼稚園と小学校からそれぞれ先生がやって来てダブル担任となり、これを2年間続けるのです。
ですから、今年度は幼稚園に小学校の先生が、来年度は小学校に幼稚園の先生が「越境」し、子供達は慣れ親しんだ先生と一緒に「壁」を越えることになります。
保護者会で初めて聞いたときは、なるほどねー! と感心しきり。
小学生になるショックがなくなるわけではないでしょうが、子供達の安心材料や心の拠り所になることは確かだと思います。
長女のクラスはそんな感じで、順調な滑り出しでしたが、身構えていたのは長男に関してです。
丁寧なイタリアの幼児教育…慣らし保育は親の参加必要率も高めです!
彼は3歳になったので、今年度から幼稚園。
お姉ちゃんと同じ学校に行ける!
と本人は大喜びでしたが…
親の方は
今度は何をさせられるんだろうか…
とむしろ緊張気味。
なぜなら保育園の時に、工作をさせられたり、長ーい個人面談があったり、保育参加をしたり、何かと親の参加率の高い学年初の経験があったからです。
…と緊張していた夏休み中のこと。早速入園のお知らせが園から来ました。どれどれ、と開いてみると
お宅のお子さんは第2グループですので、初登園日は9月20日です
と冒頭に書いてある。
またか…。
幼稚園初年度の新学期は園内にて保護者見守りがマストなイタリア
幼稚園初年度の場合、新学期スタート当初の数日、登園するのは午前中の数時間のみです。そしてイタリアでは保護者も、この期間は教室内、または園内にいなければなりません。
当然、全員が一斉に登園すると園内は保護者でごった返してしまうので、クラスをいくつかのグループに分けて、段階的にスタートさせるのです。ちなみに長男のクラスは第4グループまであり、このおかげで初登園日は9月も末…。ひそかに9月の新学期を心待ちにしていた親にとっては、ガックリです。
そして迎えた登園初日。息子は緊張しながらも、保育園のお友達もいるおかげかスムーズになじみ始めました。初日は教室内で見守っていた親達も、2日目には廊下に出され、「宝箱」の工作を命じられます。
これは、あらかじめ持参するように言われていた小さめの箱に布や紙を貼ったり、絵を描いたりして作ります。チビ達が教室で寂しくなったら、廊下で奮闘する親達に会いに来られるという仕掛けでもあり、なかなか良いシステム。
この箱づくりを数日で終える頃には子供達も手離れが良くなって来、朝のお別れにもさほど時間がかからなくなってきます。とはいえ、新グループの登園初日が来ると、その子達が心細くて泣き始める→つられて泣く→教室が泣きわめく子供達で阿鼻叫喚図と化すという現象も起き、山あり谷ありです。
通常の時間割までに1ヶ月かかる!?
ワーキングママには厳しい…イタリアの新学期
こうしてクラス全員の顔ぶれが揃った所で、さらに1週間ほど午前中だけの短縮授業が続きます。この頃には長女の方は、午後3時半までの通常の時間割に戻っているので、親は朝送り、正午に長男を迎え、3時半に長女を迎えに行くというスケジュール。「今日は送り迎えしかしてないよ…」という、試練の日々が続きます。同じ状況のママ友が一人おり、彼女も
仕事に行かれない…
とゲンナリ気味。
子供の気持ちに優しく寄り添う丁寧なイタリアの教育システム…でもママはちょっと大変!?
この頃、個人面談も始まります。食事や、昼寝、オムツなど家庭での生活状況を一通り聞かれて、やっと来週(10月)から給食開始! という所までこぎ着けたのが、ただ今の状況。
ここまで来るのに、もう親としては息も絶え絶えな感じです。しかし給食が始まってから一週間は、食後すぐの午後1時に迎えに来いというお達しで、昼寝が始まるのは更にその翌週。通常の時間割になるのに1ヶ月以上かかる! 親の試練はまだまだ続きます…。
もちろん、この丁寧な方針あっての素晴らしいイタリアの幼児教育だというのは分かっています。分かっているけれど…涙。
けれど、楽しそうに園生活を始めた息子を見ると、「ま、これでいいのか」とも思います。初登園は一生に一度、親もそれに合わせてゆっくりやろうと考える(自分を説得する)今日この頃です。
記事をお読み頂きありがとうございました!
みんなの評価: (件)
この記事を執筆したGlolea!アンバサダー
- 佐々木希世(Kiyo Sasaki)
- Glolea! イタリア子育て&生活エンジョイ・アンバサダー
- ミラノ
14年8月に、イタリアはミラノに居を移す。2人の子供達を追いかけ回しながら、日本とは違う時間の流れの中でのイタリア生活を満喫中。学生時代の専門だった美術をはじめ、食事・お酒を愛する身には最高の住環境! 子育て周りをはじめ、そんなところもご紹介したいと思っています。著書『「半径5メートル最適化」仕事術 おしゃべりな職場は生産性が高い』好評発売中!