プロローグ~Meはどうしてデンマークへ!?生涯教育機関「フォルケホイスコーレ」の留学を決意した理由
- 寺崎倫代(Michiyo Terasaki)
- Glolea! デンマーク大人の教育アンバサダー
こんにちは!この度、Glolea![グローリア]デンマーク大人の教育アンバサダーに就任し、連載をお届けすることになりました寺崎倫代です。
私は30代半ばにして会社を辞め、「大人のギャップイヤー」と称して現在約半年ほど、これからの生き方を模索する期間を過ごしています。
そして、この期間の目玉企画であるデンマークへの短期留学が4月から始まります。
渡航を前にして、私がこれまでの生き方の何を見直したかったのか、そしてデンマークに何を求めて渡るのか、まず初めにお伝えしたいと思います。
▲北欧諸国の一つであるデンマーク。高い生活満足度が特徴で、150以上の国や地域を対象とする国連世界幸福度報告で2016年第1位。
目次
“GNP”(経済的発展)ではなく”GNH”(精神的幸福)という尺度との出会い
これまで私が受けた日本の教育では、「受験戦争を戦い抜いて、いい会社に入っていい仕事でいい給料をもらうこと」が幸せのゴールでした。
そして私は、30半ばになるまでそのゴールを目指し疑いもなく突っ走ってきました。
でも、何故だかわかりませんが、紆余曲折を経てそのほとんどすべてを手に入れたはずだったのにも関わらず、私の「幸せ」には常に何かが足りていませんでした。
何のために、大変な思いをして売上をあげる努力をするんだろう?
何のために、朝から晩まで働いてるんだろう?
そして
何のためにこれまで勉強してきたんだろう?
という疑問。
過労死という言葉が”KAROSHI”として英単語化されてしまうような近年の過剰ともいえる資本主義の競争の最中で、その気持ちは日々大きくなるばかりでした。
そんな時、ふと手にした本で幸せな国と称されるブータンの国家がGNP(Gross National Product/国民総生産)ではなくGNH(Gross National Happiness/国民総幸福量)というものを主軸に国策を考えようとしている話を耳にして
そんな考え方があるんだ!
と強い興味を覚えました。
資本主義社会で勝ち上がること、それ以外の「幸せ」の選択肢がなかった自分にとって、「人の精神的な幸福を中心に添える」という考え方はひどく真っ当で、「今までどうしてこういう考え方がなかったんだろう?」という思いと同時に、
こういう未来を創るために生きていきたい
そう強く思ったのでした。
世界一幸せな国・デンマークを知るツアーに参加
その後「”精神的な幸福”を中心とした社会」について色々と調べていくうちに、国連の発表している「世界幸福度レポート」でデンマークが軒並み上位(2013年&2014年、2016年に1位)であることを知りました。
▲国連の「世界で最も幸せな国ランキング」レポートは、「自由度」「寛容さ」「健康」「社会的支援」「収入」「政府への信頼度」の6つの指標で測られます。
デンマークは消費税25%、所得税も約半分程度と非常に税率の高い国です。
それでも政治に対しての参加度は高く投票率は85~90%を超え、医療費も学費も無料という高福祉国家の名の元に、高い幸福度をキープしている。
日本とは随分違うその姿に興味が止まらなくなった私は、2015年夏にデンマークの視察旅行に参加。
教育や介護といった福祉施設から環境や民主主義についてまで、毎日様々な施設を巡りました。
そしてこの1週間の旅行を通して、私はデンマークという国は「経済成長至上主義」ではなく「人間が人間らしくいられること」を何よりも重視した社会制度であることを肌で体感しました。
そして何より、その根幹を支えるのは「教育」であるということを知ったのです。
オトナになっても、人生は”一生学び”~デンマークの生涯教育機関への留学を決意
デンマークの教育を知るうちに感じたことは、「つまづく事に寛容な社会である」ということでした。
例えば、デンマークでは小学校に上がる前に、「ゼロ学年」というものがあります。これは、小学校にきちんと馴染めるかどうかを診る期間で、いきなり集団生活をしっかりと送ることに戸惑う子供を少しでも減らすために設けられた「クッション」のようなもの。
同様に、高校や大学から次のステップに移る際も「ギャップイヤー」といったクッションになる期間を設けることができます。
そして、そのクッションの大人向けに当たるものが、私がこれから留学にチャレンジする「フォルケホイスコーレ/Folkehøjskole」という教育機関です。
デンマークの生涯教育機関「フォルケホイスコーレ」とは?
フォルケホイスコーレは、デンマークに約70校ほど存在すると言われ、文科系から体育系、芸術系など様々分野に強い学校が存在します。
元々はデンマークの教育の父と呼ばれるグルントヴィ氏が年齢も性別も学力や身分の(当時は農民や貴族などの階級制度でした)もなく「全ての人に教育を」という理念の元、19世紀中頃に立ち上げたのが起源と言われています。
全寮制であるこの学校は約18歳以上であれば誰でも入ることができ
- 大学卒業後のギャップイヤー
- キャリアチェンジしたい時
- 定年後
…など、様々な人生の節目において
自分がこれからどう生きたいか
という問いの答えを求めて多くの人が学びに来ます。
そして「自己」と「他者」の間で徹底的に対話をすることにより「社会の中での自己」を見出し、一歩踏み出すことがゴールです。
この話を聞いた時、
これはまさに今の自分に必要なものだ!
直感的にそう思った私は、その後1年かけて留学の決断をしたのでした。
ゴールは「自己理解×他者協力=民主主義への貢献」~そのカギとなる「対話」を学びに。
日本は自分が育ったかけがえのない大好きな国ですが、少なくとも私が受けてきた教育の過程で「もう少し身に付けたかったな」と思うもの、それは「自分を知り、よく理解する」ということ。
デンマークの教育のゴールは、まず「自分を知り、理解すること」から始まり、そこから「他人を知り、協力すること」を身に付けて民主主義社会へ貢献する、というものです。
そのために、
教育の現場においては相手を理解するための「対話」が大変重要視される
と現地では何度も耳にしました。
しかし、果たして「対話」とはなんでしょうか?
私自身、合わない人(他者)とのコミュニケーションを非常に苦手としており、分かり合うための努力を怠りがちなタイプであるため、「一度これをちゃんと学んでみたい!」と思い、デンマークに渡ってきます。
現地では成人向けに限らずすべてのジャンルの教育について、幅広く情報をお届けできるようにしたいと思いますのでどうぞよろしくお願いします!
次回の連載記事では、「デンマーク『フォルケホイスコーレ』
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- フォルケホイスコーレ
早稲田大学商学部卒。在学中に米国ワシントン大学のビジネスインターンシッププログラムで留学。その後、仏系商社、広告代理店等を経て外資系放送局で6年間勤務。2017年春より、デンマークの成人向け教育機関・Folkehøjskole(フォルケホイスコーレ)に留学。