英語の早期教育にちょっと待った!?幼少期のバイリンガル・マルチリンガル教育が世間から否定されるワケ。
- 武藤祐子(Yuko Muto)
- Glolea! 「5歳までに5ヶ国語」子育てアンバサダー
目次
- 早期英語教育…第2言語導入の最適のタイミングとは?
- 世界のバイリンガル・マルチリンガル… 多言語育児でポピュラーな“OPOL”とは?
- 「いつまでに英語教育をはじめればよい?」 という問いと共に必ず問われる早期英語教育の弊害…
- 多言語育児が成功する家庭の秘訣
- 日本でバイリンガル育児はなぜ否定されるの? 人間の認知行動による根深い問題があった!
- 早期英語教育には弊害がある!? 現在でも早期英語教育に関して賛成派・反対派間でのディスカッションは過熱中!
- 英語の早期教育への否定記事… 誤訳・誤報を検証されずに日本で大きくシェアされ話題になった理由とは?
- 研究デザインからすぐに気付く矛盾
- 人々は何故この間違った解釈をした記事に飛びつき広めたのか? グローバル教育というキーワードにアレルギー反応を示す人々
- 早期外国語教育の研究で示されているメリット
- バイリンガルであることは、本当に地頭をよくするの? 「バイリンガルの脳へのメリット」の科学的根拠は強調されすぎているかもしれない!?
- たとえ、脳自体へのよい影響が科学的に立証されていなくても 多言語・多文化教育をやる意義は十分にある!
- 本質的な早期英語教育・多言語教育のメリットとは?
- バイリンガル育児を実践しているあなたが不安になる理由
- ヘンリーフォードの言葉を知っていますか? マルチリンガル育児の成功の秘訣
- 早期バイリンガル・多言語教育で混乱しているように見えるのは限られた時期 自信を持ってチャレンジしてみて!
- 世界各国には母語の混乱なく 高いレベルでバイリンガル・マルチリンガルで育つ人々が数多く存在しています
- 子どもを真の国際人に育てたい方へ
- 参考ページ
早期英語教育…第2言語導入の最適のタイミングとは?
我が家は、カナダ・台湾・日本の3拠点で「5歳までに5ヶ国語」をテーマに多言語・多文化教育に取り組んでいます。
3歳4ヶ月になる長男は、現在家庭内で
- 日本語(祖母・母)
- 北京語(祖父・父)
- スペイン語(オペアのメキシコ人ベビーシッター)
で会話しています。
さらに、フランス語の保育園に通い、外の環境(
このようにして、子ども達は常に5ヶ国語で生活しています。
世界のバイリンガル・マルチリンガル…
多言語育児でポピュラーな“OPOL”とは?
我が家が、多言語育児の方法で最も重視しているのがOPOL(One Person, One Language/1人1言語)です。
OPOLとは、ネイティブの人間が、担当言語を統一して子どもとコミュニケーションをはかること。
それを0歳から継続してきた結果、長男は3歳現在、相手によって瞬時に言語を使い分けることができています。
OPOLの実際について以下のビデオを参照してみてください。
上記は家庭内で3ヶ国語を使いわける様子を映した1分のショートビデオ(3ヶ国語字幕付き)です。
「いつまでに英語教育をはじめればよい?」
という問いと共に必ず問われる早期英語教育の弊害…
我が家は、0歳から多言語育児を始めたわけですが、多くの人が最も気になるポイントは
いつまでに外国語を開始すればいいの?
というところでしょう。
母国語が確立しないうちに外国語をいれると、混乱しないのか?(早すぎなのでは?)
何歳ごろまでの開始なら、”ネイティブレベル”の外国語習得は間に合うのか。
という質問に対して、我が家は8ヶ国語を話す地球人である夫の幼少時代からの経験を元に、一つ一つお答えできます。
しかし
早期の外国語教育は本当に大丈夫なのか?
という疑問が前提にある人との会話は、
思春期にアイデンティティが揺らぐのでは?
将来は、ロボットが通訳をしてくれるから、これからの時代、多言語話せる必要はないのでは?
別に日本で生きて行ければいい。
…という方向に話が向かうことも多いのです。
多言語育児が成功する家庭の秘訣
一方で、多言語育児にトライしたい人からは
どうやったらできますか?
と具体的な方法について聞かれます。
この両者の違いは一体何なのでしょうか。
実は、家庭レベルのグローバル教育において、最も障壁となるのは、経済的な問題でも、周囲に多言語環境がないことでもありません。
グローバル教育が成功するかどうかの鍵は、あなたの心の中にすでにあるのです。
これは「気合いだ!」などという精神論ではありません。
日本でバイリンガル育児はなぜ否定されるの?
人間の認知行動による根深い問題があった!
今回は、なぜ幼少期のバイリンガル・マルチリンガル教育が世間から否定されるのか、その理由について考察してみます。
この記事を書く為に、私自身多くの論文やインターネット上の意見に目を通しましたが、これは人間の認知行動の仕方による、大変根深い問題だと再認識することができました。
改めて、グローバル育児を始める意義とタイミングについて、一緒に考えてみませんか。
早期英語教育には弊害がある!?
現在でも早期英語教育に関して賛成派・反対派間でのディスカッションは過熱中!
今年1月に「英語の早期教育にちょっと待った!第2言語を学ぶのは10歳前後からのほうが効率がいいことが判明。(英研究)」という記事がネット上に登場しました。
早期英語教育に取り組んでいる世の親たちを驚愕させるタイトルですが、みなさんはどう思われるでしょうか。
この記事は、カラパイア(不思議と謎の大冒険)というブログに投稿されていたもの。
なお、カラパイアというブログサイトに書かれているサイト趣旨には
取り上げるニュースの中には、話題となっているものの、信憑性の薄いものや真偽のほどが定かでないものも多く含まれています。
(From カラパイアの歩き方)
…と、書かれている通り、カラパイアに掲載されている情報は、信頼性に足るものなのかどうかの判断は難しくありません。
また、私が記事タイトルを読んだ瞬間、2つのことを思いました。
- 1:研究自体への疑問:
こんな研究結果が出るはずがない。この研究は間違っているか、誤って解釈されている。 - 2:アカデミック界でのポジションに対する疑問:
例えこの研究結果が出たとしても、研究者が論文を学術雑誌に投稿したり、アクセプトされたりするわけがない。
特に、上記項目(2)であげた内容は本記事後半の伏線となります。
英語の早期教育への否定記事…
誤訳・誤報を検証されずに日本で大きくシェアされ話題になった理由とは?
この記事の引用元である、イギリスで1896年に創刊されたもっとも古いタブロイド紙DailyMailのオンライン版記事を読んだところ、同じ研究の話をしているか分からなくなるほど、全く異なった内容だったのです(英文サイトの要約(和訳)はあとで示します)。
しかし、実際は、この記事は世間でどう評価されたのでしょうか。
他のニュースサイトなどにも転載され、まとめサイトに掲載された結果、ネットのあちこちでシェアされ、「英語早期教育反対派」の賛成意見や「早期英語育児に不安な人」などの個人的な解釈が加わり、尾びれ背びれがついた状態で一人歩きしていたのです。
ツイッターという140字以内で発信するタイプのSNSの存在により、タイトル一人歩きという風潮が強まっていることも要因としてあるでしょう。
転載された複数のニュースサイトを含めると、誤報記事に対するコメントは100件以上、Facebook上のシェアは、ゆうに1000件を超えていました。
コメント内容としては、
やはり! 母国語を確立しないと、外国語を入れるとよくないのは、わかっていた!
子どもが小さいときから、目くじらをたてて英語英語と躍起になっている母親に聞かせたい。
幼少期に海外在住経験があるが、5歳前に海外に2年住んでも、結局忘れてしまい意味がなかった。
…という内容のものが大半。
留学情報サイトですら、
何となくそうなのではないか、と感じていました
とコメントをつけてFB上でシェアをしていました。
(多くの留学サイトは高校生・大学生以降も対象にしますので、客層を惹き付ける魅力的な記事だったのでしょう。)
一方で、
自分は幼少期からバイリンガルとして育ったけど、そんなことはないと思う。
と反論している人はいましたが、もちろん少数派。
残念ながら説得力がなく、研究の本質に触れていた人は皆無でした。
この記事は、日本語訳と原文を比較して、問題点を列挙せよ、という課題に最適だ。
と皮肉を込めて、記事が英語の原文と内容が異なり、解釈がねじ曲げられていると指摘したコメントがありましたが、原文を読まずに判断した人がほとんどでしょう。
この「誤報記事」に対し、1件のバイリンガル育児情報サイトが、「全く異なった解釈がされている」と理路整然とこの記事を批判していました。
しかし、そのブログの記事はシェアは0件。多くの人の目に触れられることなく、早期英語教育反対派の意見にかき消されていたのです。
これがインターネットの現状です。
研究デザインからすぐに気付く矛盾
実は、この誤報記事には、読めばすぐ気付ける矛盾点がありました。
それは、この研究では「英語単一言語話者(モノリンガル)」と「約10歳から第二言語を学んだバイリンガル」の「脳の白質の状態」を比較していたことです。
このブログに書かれた誤報記事のタイトルどおり、『第2言語を学ぶのは10歳前後からの“ほう”が効率がいいことが判明。』ということを証明したいのであれば、「10歳前後」とは別に、それより早期から第2言語を習得した集団を設定し、第2言語習得開始年齢が異なるバイリンガル集団同士を比較しないと意味がないはずです。
実際に、DailyMailが伝えた内容は以下の通りでした(要約)。
Being bilingual really does boost brain power: Learning a language after 10 years of age changes the mind’s ‘white matter’(Daily Mail Online/英文)
=バイリンガルであることは実際に“脳力”を鍛える:10歳以降から言語を学んでも脳の白質構造は変化する(和文)
・研究の背景と結果:
これまで、幼少期(early childhood)からのバイリンガルの脳力(brain power)は鍛えられることは知られてきたが、10歳以降に第2言語として英語を学んだ人でも、モノリンガル(英語のみ話す人)と比較すると、脳の白質構造に違いが出ていることがわかった。
・研究のメッセージ:
これまでの研究は、主に2ヶ国語以上を幼少期から学んだ人々を対象に行われてきた。今回は10歳以降でも脳構造に変化がおきるという研究結果が出た。脳構造の好ましい変化が起きるための、外国語開始年齢に期限はあるのか、さらなる研究が必要とされている。
・研究論文タイトル:
The effects of bilingualism on the white matter structure of the brain.
・著者:
Christos Pliatsikas (University of Kent School of Psychology)
この研究は、もちろんDailyMail以外の海外ニュースサイトでも紹介されており、別のニュースサイトを引用した日本語記事では、正しく紹介されていました。
10歳以降に第2言語を学び始めても脳の構造に影響が出るとしていますが、「イマージョン環境(両方の言語を毎日使う)が鍵」という研究者の考察は、重要なポイントです。
10歳以降に第2言語を習い始めたとしても、日本の学校英語教育環境では論外ということです。
人々は何故この間違った解釈をした記事に飛びつき広めたのか?
グローバル教育というキーワードにアレルギー反応を示す人々
日本人の多くは、何故この記事の内容を吟味することなく、盲目にシェアしたのでしょうか。
無知だから? 情報を鵜呑みにするから? 論文を批判的に読めない人間が多いから?
私は、人は自分の考えに合った情報を無意識に求めているからだと思います。
それを社会心理学の用語で「確証バイアス」と呼びます。
「確証バイアス」とは、個人の先入観に基づいて、他の人間や社会を観察し、自分にとって都合のよい情報だけを集めて、自分の先入観を補強するという現象とのこと。
(引用: 思考を歪める心理効果 認知バイアスHPより)
この記事は、「英語教育は母国語が確立した10歳以降に始めた方がいい」と信じている人々にとっては、その自分の考えを補強してくれる恰好の材料だったのです。
日本社会には「幼少期の英語教育、グローバル教育は間違っている」という意見を持つ人がいかに多いかということが伺えます。
早期外国語教育の研究で示されているメリット
- バイリンガルはモノリンガルよりも賢い
- 多言語を操れることで、遂行機能・運動機能なども向上する
…など、バイリンガル・マルチリンガルにまつわるメリットは多くの研究で示されており、早期の外国語教育開始を支持する理由となっています。
学術資料を検索できるGoogle Scholarや、医学文献の検索が可能なPubMedなどで検索すれば、バイリンガルと脳のおいしい関係についていかに多く報告されているか分かるでしょう。
バイリンガルであることは、本当に地頭をよくするの?
「バイリンガルの脳へのメリット」の科学的根拠は強調されすぎているかもしれない!?
外国語を学ぶことは脳にとっていいと証明されている記事を多く見ると、「バイリンガル教育はいいことばかり」と思ってしまいます。
しかし、このような研究結果を盾に、多言語教育の有用性を強調することは本当に正しいのでしょうか。
…実は、ここにも別のバイアスが隠れているのではないか、と指摘した研究があります。
それは「出版バイアス」と呼ばれるものです。
「出版バイアス」とは、否定的な結果が出た研究は、肯定的な結果が出た研究に比べて公表されにくいことです。
(論文)Cognitive Advantage in Bilingualism:An Example of Publication Bias?
エジンバラ大学のAngela de Bruinらは
バイリンガルの認知・遂行機能などが、モノリンガルより優れているという研究が、両者に差がないという研究よりも多く論文報告されている。それは、バイリンガルの優位性がはっきりと認められない研究が報告されにくいという出版バイアスが原因となっている可能性がある
(Psychological Science誌 2014年12月4日掲載)
という研究結果を報告しました。
(論文内容抜粋)
バイリンガル研究において学会発表された研究と最終的に雑誌に論文掲載された研究を比較して、雑誌掲載された研究ではバイリンガルの優位性を示す研究が多かったのに対し、学会発表時点の研究データでは優位性が認められなかった。学会発表後、雑誌投稿を見送ったのか、投稿したのにアクセプトされなかったかは、研究者の協力が得られず検討できなかった。
著者は、論文内で「バイリンガルが先験的に、有益で価値のあるものだと捉えらるべきだということには異論はないが、有意差がなかったり否定的な結果が出た研究結果を無視して、教育・政治的な議論を押し進めるべきではない。研究者は現代社会で支持されている理論を補強する研究だけをやるべきではない。そして、学術雑誌のレビューワーと編集者は、通説を疑問視して望むチャレンジ精神旺盛な研究にもっと道を開くべきである。」と結んでいます。
この記事の前半で、「早期英語教育に待った!第2言語を学ぶのは10歳前後からのほうが効率がいいことが判明。(英研究)」という記事に対して、「こんな研究結果が出るはずがない。例えこの研究結果が出たとしても、論文を学術雑誌に投稿したりアクセプトされたりするわけがない。」と思ったことを書きました。
研究自体に疑問を持ったと同時に、私は「出版バイアス」が存在することを無意識に理解していたと言えます。
しかし、この出版バイアスを切り口にした研究は、結局は1つ研究グループの研究であり、他の研究サンプルやデザインで行えば、また異なった結果が出る可能性もあります。
たとえ、脳自体へのよい影響が科学的に立証されていなくても
多言語・多文化教育をやる意義は十分にある!
幼少期からの多言語・多文化教育は、脳にいい影響を及ぼすからやるのではありません。
脳にいい影響があるに越したことはありませんが、それはあくまで副産物であり、本質ではありません。
多言語教育と脳科学の関係の研究とは、ある集団と別の集団とを比較して、有意差があるかどうかを検討するものです。
集団の抽出(人種・国地域・教育・経済環境・年齢など)、規模、比較する項目(脳の画像所見、病理、計算・記憶・遂行能力など)など、複雑際なりなく、言語という特性上特に、誰1人として同じ言語習得人生を送れるはずがありません。
同じ家庭に生まれたとしても、兄弟姉妹で言語環境は同じではありません。
本質的な早期英語教育・多言語教育のメリットとは?
私たちが多言語育児で望んでいることは、「権威ある機関・大学の研究によって、多言語育児のメリットが科学的に証明される」ことでも、「周囲の人から多言語育児を賛美される」ことでもありません。
- 高い語学力、多文化適応能力などを備えた地球人として、グローバル社会で堂々と生きていってほしい
- 多文化を理解し、広い視野を持って豊かな人生にしてほしい
- (我家の場合は)カナダで育っても、日本・台湾の親戚と母国語で交流し、文化を理解し、ルーツを忘れないでほしい
…私たちは、多言語多文化環境の中で、子ども達の能力や豊かな人間性が最大限引き出されることを望んでいます。
育児の成果(情緒発達、豊かさ、たくましさ…等)は、集団と集団を比較して科学的数値で表しにくいという側面もあり、研究結果の黒白だけではなく、やはり個別の体験談に依存するところがあります。
多言語育児に取り組む私たちにも、「確証バイアス」は間違いなく存在します。
多言語育児を支持する情報をより多く集めようとし、その内容はあまり批判的にとらないかもしれません。そして、今回取り上げたような批判的な情報は隅々まで読み、矛盾する論点を指摘しようとする傾向にあります。
これまでバイリンガル教育に対する人々の反応を、主に社会心理学の観点から分析してみました。
賛成派も反対派も、「自分の考えを補強する情報」を偏って集めるため、意見が食い違うのは当たり前です。
日々、人間である以上、あらゆるバイアスを持たずに情報を判断することは困難でしょう。
大事なのは、自分や他人の心に存在するバイアスを認識することだと思います。
さらに、現代社会で、私たちはスマートフォンアプリから毎日洪水のごとく情報が届き、自分の好きな情報だけにアクセスしてしまう日々を過ごしています。つまり、「確証バイアス」が加速・増強しやすい環境にいると言えます。
バイリンガル育児を実践しているあなたが不安になる理由
この記事を読んでいる方は、
バイリンガル・マルチリンガル育児には興味はあるけど、実をいうとデメリットが気になる…
と思っている方も多いのはないでしょうか。
実際に、バイリンガル育児をしている方は、
子どもの日本語が遅れてきた
と不安になっているところに、
あまり早く英語を入れすぎるとよくないらしいわよ。やっぱり母国語をしっかり確立させてからがいいらしいわよ。
と、アドバイスをもらったことはありませんか?
言語教育方針に限らず、育児すべてに言えることですが、自分の子どもは唯一無二で、集団の理論は単純に当てはめられないにもかかわらず、
こんな研究結果がある
一般的にはこうするべきだ
と聞くと、不安になってしまうのが人間の心理です。
ヘンリーフォードの言葉を知っていますか?
マルチリンガル育児の成功の秘訣
あなたが「できる」と思おうと「できない」と思おうと、どちらも正しい
Whether you think you can, or you think you can’t – you’re right
(ヘンリー・フォード)
バイリンガル・マルチリンガル教育を信じるか、信じないかは、全てあなた次第です。
物事には常にメリット、デメリット、賛否両論が存在します。
ちなみにデメリットの代表として、
母国語を確立させてからでないと、第2言語を入れるべきではない、混乱するから。
という意見をよく耳にします。
早期バイリンガル・多言語教育で混乱しているように見えるのは限られた時期
自信を持ってチャレンジしてみて!
実際に4ヶ国語環境で育ち、8ヶ国語(4ヶ国語ネイティブ+1ヶ国語流暢+3ヶ国語日常会話レベル)を話す我が夫である地球人の経験と、現在進行形で多言語育児を実践している我々は、
混乱しているように見えるのは限られた時期であり、その後は頭の中で各言語が整理され、きちんと使い分けられるようになる
と説明します。
それに対し、
失敗例を知っている。
うまく行かないことが多いのでは?
多言語が話せる地球人には特別の才能があったのでは?
…と反論する方もいます。
これが、多言語育児に対する考え方の分かれ道です。
世界各国には母語の混乱なく
高いレベルでバイリンガル・マルチリンガルで育つ人々が数多く存在しています
モノリンガル・モノカルチャーと呼ばれる日本では、バイリンガル・マルチリンガルは少数派…マイノリティーのため、早期英語教育をはじめとするバイリンガル・マルチリンガル教育に懐疑的な意見が多いのは事実です。
しかし、世界各国見回してみると地政学上の問題等もあり…当たり前のように幼少期からバイリンガル・マルチリンガルで育つ地域も多々存在し、各言語の混乱なく子ども達は育まれていきます。
このように、高いレベルで2ヶ国語以上を運用するバイリンガル、マルチリンガルが存在している以上、母国語が確立していない幼少期から数カ国語並行して学ぶこと自体が、母国語や第2言語の混乱の原因になっていないのは明らかです。
成功例と失敗例の両方が存在しているからには、
- 失敗例の多言語育児の方法・環境設定に問題はなかった
- 両親のサポートは十分だったか
…など、を検討し、どのような場合に成功し、どのような場合に失敗するかを分析することが大切だと思います。
私たちはこの多言語教育スタイルのあらゆるメリット、デメリットを検討し、メリットが明らかにデメリットを上回っていると判断しました。
5ヶ国語育児を「やる」と決めたあとは、デメリットを最小限に抑える方法を考え、対処するまでです。
子どもを真の国際人に育てたい方へ
世の中の成功者の多くが、成功者を育てあげた両親の多くが、「そんなの不可能だ」という周囲の常識や意見に流されることなく、自分たちを信じて、夢を実現しています。
「できない。」ではなく、「どうやったらできるか。」を常に考えて行動していたからだと思います。
もし、子どもを真の国際人に育てたいのであれば、あなた自身がまず、多言語・多文化育児を「できる」と信じることが、第一歩です。
「できるわけがない」と思っている限り、できない理由を探すようになり、できないと力説する人たちばかりに出会い、彼らの話ばかりが耳に入り、同じような考え方をするようになるでしょう。
「できる」と信じれば、それが自分の考えとなり、それを実現するための方法を毎日考えるサイクルができます。
多言語育児を成功させるための方法を探す中で、実際に成功した人に出会い、彼らの話を聞き、同じような考え方ができるようになるのです。
参考ページ
- “マルチリンガルを育てるための7つのアイディア”を記した地球人Tetsu Yungの著書(英語版)
Pampers To Polyglot: 7 Ideas For Raising Multilinguals Like Me - 今風の子育て:バイリンガルからマルチリンガル: グローバル化世界を歩む我が子へ テツママ
- 我が家の5ヶ国語育児「OPOL(One Person, One Language)の実践」(YouTube)
- (論文)Cognitive Advantage in Bilingualism:An Example of Publication Bias?
- (論文)The effects of bilingualism on the white matter structure of the brain.
- バイリンガル育児情報サイト Fun With ABC
- 思考を歪める心理効果「確証バイアス」(認知バイアスHP)
記事をお読み頂きありがとうございました!
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台湾・カナダ・日本の3拠点で多言語育児に取り組む現役医学生ママ(2016年3月卒業予定)。8ヶ国語話せる夫(“地球人”)と、子ども達の未来の可能性を広げることを第一に考え、ユニークな多言語・多文化育児を実践中(現在5ヶ国語)。自分自身の新しい環境での挑戦と、子供の成長を通しての、ワクワクドキドキなレポートをお届けします!